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金子勝(かねこ・まさる):後期高齢者医療制度の本当の問題点 2008/4/30

後期高齢者医療制度ですが、この4月15日から始まりました。いろいろ問題が出ているようです。この医療制度は75歳以上の人を分離して作るということ。それから医療保険料は年金から天引きすること。(浜中アンカー)

この後期高齢者医療には11兆円くらいかかるといわれている。その内、1兆円が(75歳以上の方が納める)保険料になる。年金天引き以外の普通徴収の人が100万人くらいいる。
この医療制度を運営する市町村は、都道府県単位の広域連合を作って運営する。扶養家族(になっている高齢者)からも2年後を目処に徐々に徴収するとしたり、70歳から74歳までは窓口での負担が1割から2割に増加するのだか、これは当面凍結された。

年金だけにたよる高齢者にとってこの負担増は大きい。しかし、(徴収を先延ばししたり、負担率を凍結したりなど)目先だけ見えなくするのはいかがなものかと思う。

本日のタイトルにつけていただいた「本当の問題点」とはどういうことでしょうか?(浜中アンカー)

当面負担が上がるか下がるかが報道されているが、問題の本質は国保が破綻の危機に瀕していること。1980年代から破綻が始まっていた。本来農家や自営業者のために作られた国民健康保険に企業からの退職者、非正社員が加入してきたから、持たないのは自明だった。
政府は医療保険の一元化することを怠ってきて、退職者医療制度とか老人保険制度とか個々の制度をつぎはぎで作ってきて、いわいる大企業のサラリーマンが入る組合健保や公務員のはいる共済組合から(資金を)繰り入れてしのいできたが、とそれも持たなくなった。今度は(医療サービスを受ける)一番リスクの高い後期高齢者の方だけを切り離す制度を作った。

国保の保険料滞納者が増えつづけている。500万世帯に及んでいる。一年以上保険料を滞納すると保険証をとりあげられ、10割負担になる。保険証の無い末期がんの人が(病院にかかれなくて)ガマンして死んでしまう事例もある。
国民皆保険というが底に穴があいている。その事実認識から出発する必要がある。

保険料が年金から天引きされると他のものが払えなくなる。生活保護を受ける人が増えると思う。しかし、生活保護の認定は絞っているので餓死者が80人前後出ている。
小泉構造改革が全体としてこういう事を生み出してしまっている。

医療給付費は35%が75歳以上だろう。すると2015年には現在より3兆円増えて14兆円、2025年には18兆円になると見込まれる。ということは公費(税金)と現役世代の保険からの繰り入れを増やさないと、75歳以上の保険料はこれから上がらざるを得ない。厚生労働省も2015年には75歳以上の保険料を(現在の10%から)10.8%にするといっている。

もう一つは、診療報酬が下がっていることがある。これは上げると医療保険の負担も上がるから、出来ない。すると医療費削減のもとで医療崩壊が進みかねない。加えて、広域連合による医療保険制度になると今まで市町村の議会で決めていた保険料の負担率が上げやすくなったり、保険証の取り上げも安易に行なわれるだろう。

国保は収入が低い人が多く加入しているので収入に対する保険料率は10%で、それは大企業の組合健保の約二倍。後期高齢者への公的負担を増やさないとこの格差はますます大きくなる。組合健保共済組合は自分達の負担が増えるのを嫌って医療保険制度の一元化に反対してきた。しかし、いずれ誰でも高齢者になる。このままだと会社を退職して高齢者になったときに悲惨なことになる。だから今こそ世代を越えた社会連帯という発想が必要だと思う。

具体的には、低所得者には保険料を税で補填しながら、組合健保共済組合などの保険料を徐々に引き上げて全国一律の保険料率にして一元化を目指す。時間は掛かるが、その上で法人税・個人所得税を含めて公正な税負担を考えて財源を捻出する。

私は最後に言いたい。古今東西の歴史を見るまでも無く『経世済民』を忘れた政治は絶対に長く続かない。10年間で59兆円も道路に使っている間に医療費を払えなかったり、病院にもいけなかったりして人が病気になったり死んだりして良いのだろうか。全ての国民に最低限の生活を保障する憲法25条の精神に立ち返ることが求められていると思う。


2008年 4月 30日 水曜日 慶応大学教授 金子勝(かねこ・まさる):後期高齢者医療制度の本当の問題点


編者感想:私が子供の頃この国から受けた教育の柱の一つは「困っている人を助けよう」だった。恵まれた人が恵まれない人を助けて社会が安定するとも習った。自分の利益、自国の利益を他者や他国に優先することは許されないと道徳の時間に教えられた。前の戦争がその結果を示したのではなかったか。そう考えない人がだんだんと増えて来ているのは確かだ。金子勝氏の視点は大いに参考になった。関係ないけど、今度韓国の大統領になった李明博(イ・ミョンバク)氏と金子勝氏は親戚なんだろうか。よく似てるなあ。
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山下一仁(やました・かずひと):食の安全と貿易 2008/4/29

山下さんは「食の安全と貿易」と言う本を出版されたばかりですが、中国輸入餃子、輸入牛肉の事件についてどう思いますか。(浜中アンカー)

    今日の問題は二つのことが結びついて起きている。
  1. 技術進歩でおいしいものが食べられるようになった。また簡便な冷凍食品が流通している。技術進歩の反面の問題として、農薬・食品添加物がたくさん使用されている。生産方法が変ってBSEが発生した。遺伝子組み替え食品を食べることの不安がある。
  2. グローバル化した貿易が進展している。世界中から良いものを安く買える。マイナスの側面もある。日本でのBSEはヨーロッパから肉骨粉を輸入したから発生した。一般に食料品は生産者が多くいるので、問題が発生したとき何処で起こったのか特定しにくい。

食の安全の観点から見ると貿易は規制すべきということになってくるんでしょうか?(浜中アンカー)

食品の輸入を通じて病気や病害虫が進入してくるのを防ぐために衛生食物検疫措置(SPS措置)をしている。食の安全を図るためには十分なSPS措置が必要だが、逆に使われるようになってきた。というのは、いろんなGATTの交渉を重ねてきて関税や輸入制限がずいぶん少なくなってきた。国内の産業を保護するためにSPS措置を使おうという動きも出てきている。食の安全のためのSPS措置か、輸入制限SPS措置か判断しなければならなくなっている。

世界貿易機関(WTO)が出来て、このなかにSPS協定がある。SPSは食の安全と輸入制限のバランスを科学に求めている。「科学的根拠に基づかないSPSは認めない。生命・健康へのリスクが存在するか、SPS措置によってリスクが軽減されるか、それについて科学的根拠が示されないと国内産業を保護するためのものだとして規制する。」
総論的には(SPS措置の根拠を科学に求めるのは)誰も賛成だが、輸出国と輸入国の対立が生じる。科学といっても様々な見解があり、証拠も変化する。BSEと人のクロイツフェルト・ヤコブ病が関連しているとイギリス政府が発表したのは1996年になってから。それまでは誰もそれ(BSEと人の病気)に関連があるとは考えなかった。従って、1996年以前にBSEを理由にイギリスからの牛肉の輸入を禁止すると、WTOに違反すると判定された可能性が高い。

日本ではアメリカ産の牛肉については生後20ヶ月齢以下のものに限っている(日本独自の基準)。しかし国際基準ではアメリカ産の牛肉は骨がついていようが、月齢がどうであろうが輸入を認めねばならないことになっている。

今後SPS協定のの解釈・運用が大変重要になってくるのではないかと思う。


2008年 4月 29日 火曜日 農政アナリスト 山下一仁(やました・かずひと):食の安全と貿易


編者感想:GATTやWTOの仕掛けでグローバル化した経済が成立していることは良く分かった。たしかに昔に比べるといろんな食品が比較的安く買ったり食べたり出来るようになった。でもそんなに食べたいかというとそうでもない。20年程前にオランダを旅行していたとき、ある小さな港町で食べたハンバーガーがあまりにまともな味がして、それ以来マックのハンバーガーを食べたいと思って食べたことは無い。どっぷりと中年に浸かって食べ物の嗜好も固まってきたか(笑)?
GATT,WTO,SPS,グローバル化って一体誰のためのものか、誰の利益になっているのか、とつい考えてしまう。

農林水産省のサイトにあるWTO/SPS協定の説明(けっこう分かりやすく解説しています) http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/index.html








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鈴田敦之(すずた・あつゆき):消費者庁設立の意義 2008/4/28

23日に消費者行政推進会議で福田総理大臣が消費者行政の司令塔として消費者庁を発足させたい、と表明した。委員会が結論を出す前に総理大臣が具体的な行動を示すのは珍しい。
各省庁の消費者に関連する法律・人員を移管して消費者行政の司令塔にしようということ。消費者庁は金融庁と同じ扱いで内閣府の外局とする、というもので、この秋の国会に法案提出し、来年度から実施したいと言うのが政府の考え。

このところ福田内閣は、年金問題・後期高齢者医療保険の問題など前の内閣の懸案処理に追われてきた。こんどの消費者行政の問題では前向きな審議を出そうとしているのだろうと思われる。

先ごろの農薬入り餃子事件がきっかけで消費者庁設立の背中を押したと言っていい。子供が重態になったが保健所から厚生労働省に届いて動き出すまでに一ヶ月掛かった。これは(役所の)問題意識の薄さであり連絡体制の遅さ・不備だった。縦割り行政の弊害といっていいかもしれない。ほかに、(対応に時間が掛かったものは)「牛肉偽装事件」「ガス瞬間湯沸し器による一酸化炭素中毒事件」などがある。
これは、生産者を対象とする産業育成行政と消費者行政を行なうと相反性があるからで、同時にやるのは難しい。世の中の変化とともに消費者行政も変えていく必要がでてきた。
    消費者行政がクローズアップされたのは、1960年にアメリカのケネディ大統領が就任早々に出した「消費者主権宣言」がきっかけだった。
  • 安全を求める権利
  • 知らされる権利 
  • 選ぶ権利
  • 意見を聞いてもらう権利 
  • 救済を受ける権利(後に追加された) 
  • 消費者教育を受ける権利(後に追加された) 

今日はグローバル化していて水際の税関による取締りでは限界があり、業者のモラルに頼るのでは問題がある。
市場主義経済化で企業は当然利益を(最優先に)考える。IT化は便利ではあるが、犯罪などの悪いことにも使われる。現代の日本社会は高齢化・少子化・環境問題などなど非常に複雑化している。各省ばらばらではなく、迅速統一的に運用することが必要。

単に「消費者庁」という組織を作ればいいという問題ではない。環境、福祉などの問題に対応する行政はみんな縦割り。(この消費者庁の設立によって省庁横断的に対応している)このような横割の問題を重視することが必要。

産業育成から国民・消費者主役の行政への転換、輸出主導から内需主導の経済への転換、様々な面で今日本は転換を求められている。(今回の「消費者庁」発足が)そうしたことに起爆剤になればいいと思う。

関係省庁はこぞって反対の声を上げている。役所は「法律」つまり権限、人員、予算の3つを奪われてしまうことに危機感をもっている。しかも、問題が起これば消費者庁の指示を業界に取り次ぐだけの存在になってしまうかもしれない。
反対の理由として「専門性が必要」「役所の業務全体が関連しているので消費者関係の部分だけを取り出すのは難しい」など。これをどう処理するか。
民主党は、内閣から独立して各省庁に勧告権を持つ消費者保護官を新設することを提唱している。これは行政の組織に入れるのではなく、外側から監視して勧告する。
私は、どちらが効果が上がるのかという点で議論したらいいと思う。消費者も注目して大いに発言して欲しい。

この構想の実現は福田首相の指導力次第。環境庁を作ったときも関係省庁はこぞって反対した。時の佐藤栄作首相がこの反対を強く押し切って作ったという経緯がある。

形だけの組織になって機能しないようなことになるのが一番問題。最近の改革は看板だけ変ったけれど本質的には変らないようなものも目立つ。
消費者行政を本当にやろうとしたら消費者の意見を広く取り入れると同時に、調査権限とか罰則なども必要になってくる。大規模なものにならざるを得ない。それだけのことをやる決意があるのか、出来るのか大きな問題。注目していきたい。


2008年 4月 28日 月曜日 評論家 鈴田敦之(すずた・あつゆき):消費者庁設立の意義


編者感想:今までの政治・行政は付加価値をつけて生産する産業・企業の支援をしていた。「消費者庁」の設立は、サービスを含む生産物に最終的な価値を与える消費者が主役で、消費者の側から産業・企業が優良なとなるように育成し、そしてよりよい日本社会になることを目指している。あたりまえと言えばそのとおりだが、経済のためにも日本でも遅ればせながら消費者主権宣言を踏襲して立派な「消費者庁」を作って欲しい。福田首相、民主党しっかり議論してね。

不勉強で「消費者主権宣言」なんてものがあることを知りませんでした。英語のwikipediaにはそれが載ってたけど、日本語には無い。日本語のwikipediaの関係者はぜひ日本語に訳して欲しい。

Consumer Bill of Rights(消費者主権)の Wikipedia 記事(英語) http://en.wikipedia.org/wiki/Consumer_Bill_of_Rights

消費者主権宣言」の解説記事 http://homepage2.nifty.com/shokuiku/subspecial0407.htm

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水谷研治(みずたに・けんじ):政府による景気の下支え 2008/4/25

この4月から水谷研治さんは中京大学から東京福祉大学に所属が変りました。(山下アンカー)

少しづづだが景気が悪くなってきた。政府は期待を込めて「踊り場」と景気状況を判断しているが、下がってくるのではないかと思う。

サブプライムローン問題でアメリカ景気が下がり、日本にも輸出に響いてきて頭打ちになってくる、ドル安円高も進んだので輸出産業にもマイナスになてくる。
輸出は景気を支えて押し上げてくれた。じゃあ輸出が翳ってきたらどうしても景気が悪くなる。今まで良かった地域・業界も悪くなり、悪いところは悪いまま。困った。

困っているところはほんとに困っている。細かいところを言えば、後期高齢者医療制度で年金から保険料を引き落とされること。決まっていたとはいえ、乏しい年金がさらに減る。社会全体としてはたいした事(負担増)は無いとはいえ、マイナスになる人(年金受給者)がいる。
そこで、きめ細かい施策を政府に求めてマイナスになって痛い思いをしている人を救うべきだと思うのは誰もが考えること。それは最終的には役所で何とかして欲しいという事になり、対応しようとすると役人の数をふやさなくてはならなくなる。多くの役人は一生懸命やっている。

あまり細かくやると経済活動が麻痺してしまう。たとえば去年、建築基準法を改正して細かく規制するようになった。そしたら建築(の手続き)が(スムーズに)出来なくなった。本当は「きめ細かく」ではなく「大きな動きで」景気を下支えする・押し上げる政策が求められる。

どうやったら景気が良くなるか。それは政府の出番。政府は金融政策財政政策景気対策をする。ところが、金融政策は力が無い。日本中でお金が余っていてお金を借りてくれない。金利はもう下げられないくらい低い。お金を供給しても使ってくれない。日銀総裁の問題ではない。
それに比べると財政政策は力がある。しかし財政赤字で、減税・公共投資はできない。そういうわけで政府の政策では景気対策が出来ない

政府は目先のことをやる余裕はない。従って国家百年の計を考えてやって欲しい。
目先のこと、周りのこと、景気のことについてももはや政府にお願いすることは出来なくなっている。

我々は今まで政府に頼んで景気を良くして貰っていた。政府はお金が無いので(赤字国債という)借金をして(公共投資などをして)景気を良くして来た。その繰り返しだった。

我々は今まで国・県・市町村に対して甘えていた。しかしもうこれからはそうはいかない。景気が悪くなっても個人が、企業がそれぞれで対応しなくてはならない。


2008年 4月 25日 木曜日 東京福祉大学大学院教授 水谷研治(みずたに・けんじ):政府による景気の下支え


編者感想:政府に力が無いというならせめて消費税・税金・社会保険料を下げられないものか。取れるところから取るだけとって、「今まで必要なところに回しています(でも救うべき人の対応は出来ません)」「お役人さんは相変わらず(役所のルールのみに従って市民のほうは顔を向けず)一生懸命やっています(窓口対応などで市民にぞんざいな対応をするのはその結果です)」というのは納得できない。私は、政府が無力だから期待すべきでない、という話には乗れない。景気が悪くなれば否応なく個人や企業がそれぞれ対応しており、国・地方自治体はそれぞれのレベルで対策を考えている。もし国にその対策が無いのなら「国家百年の計」なんてことは政策研究の専門家にまかせて、国民は景気対策から目をそらさずに衆議院の解散・総選挙を要求すべきだろう。今日の日があるのは小泉政権から現政権まで続くこの改革路線の結果で、過去の選挙で政権を選択した国民の責任なのだから。

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伊藤実(いとう・みのる):後期高齢者医療制度 2008/4/24

新制度を実施するときの準備が不十分で混乱が見られる。
日本の社会制度はいろんな修正を加えるので非常に複雑になってしまう。だから相当時間を掛けて説明しなければならなかったが、それが不十分だった。
保険証が届いてないとかの行政ミスも重なった。
感情的に納得できないのは、保険料を年金から天引きされること。

少子高齢化社会が進んでいる。深い社会の変化がある。どうやって医療費を負担するのかという点も含めて今回の制度改正がある。
国民一人当たりどれだけ医療費を使っているか。年齢によって差が大きい。年間に64歳以下は15万9200円、65歳以上は65万5700円。どうやって負担するか。

混乱しているときに、行政側から「制度改正に伴って医療費の負担は下がるんだ」という説明がなされている。確かに低所得者層の負担は下がるように設定されている。ただ、(全ての所得層の)全員が下がるのかというと、そうではない。所得の高い人は増える。

今まで国民健康保険は市町村が運営していた。(地域が狭いと高齢化などで)ばらつきが出てくるのでもう少し広くしようということで都道府県単位で運営する広域連合に移管した。一方、都道府県単位では福祉政策をやっていた(シルバーパス、条件を満たした場合の医療費免除など)。そういう政策は全国一律ではなく都道府県単位で行なわれていた。この政策ががはずされた。

また、今まで息子・娘の扶養家族になってい(て医療保険料を払っていなかっ)た方が、突然保険料を負担することになった。自民党が前の選挙で負けたので医療保険料支払いの猶予措置を設けた。これでまた複雑になって行政ミスの背景になった。

保険料が下がるといわれているのに上がって驚いている人もいる。それはおそらく都道府県単位で優遇措置を講じていたのがなくなったから。ではなぜなくなったのかというと、これは後期高齢者医療制度とは異なって、地方自治体の財政問題による。地方自治体が財政破綻するのを未然に防ぐため、地方財政健全化法が作られ、この2008年度から実施されるため。この法律で地方自治体が赤字隠しが出来ないようになった。例えば、地方自治体が温泉会館を建てて第三セクターで運営して、そこの赤字を表に出ないようにしていたとか、そういうのをごまかせないようにした法律。いままで住民のために良かれと思ってやってきた政策も、地方自治体の財政が苦しくなるとそういう(福祉)政策を止めたり縮小したりし始めている。この負担増は今回の医療制度改革とは別のところから来ている。それが今全国あちこちで起こっていて、「こんどの医療制度改革はけしからん」という混乱が生じている。

少子高齢化にもとなうより大きな問題は年金制度で、誰が負担するのか支援するのか。

あまりふれられないが、今回の医療保険制度の改正に伴って、現役世代からかなりの財政支援をしている。大企業を中心に組織されている健康保険組合から相当な財政支援している。

地方自治体全ての借金を合計すると200兆円くらい。さらに国も800兆円くらいある。あわせて1000兆円くらいの借金がある。この状態で今の世代がただで公共サービスを受けてその付けをあとの若い世代にみんな押し付けるのか、という問題もある。単なる制度のごたごた(今回の混乱のこと)よりも、日本全体(の福祉・医療制度)をどうデザインするのかという問題が出てきたといえる。

日本は大量の国債を発行しているので、金利が1,2、3%と上がると、デフォルト(国の借金棒引き)の最悪の事態もありうる。いま日本は根拠の無い楽観主義に覆われている。「ゆで蛙」にたとえられる。知らない間に温度が上がって(すぐに対応せずに問題から目をそらし)茹で上がってしまう。

本当は、木(後期高齢者医療制度)を見てわあわあ騒ぐのではなく、森(少子高齢化していく中での財政赤字)を見て日本全体の将来のデザインを考えるべき重要な岐路に来ている。


2008年 4月 24日 木曜日 労働政策研究研修機構統括研究員 伊藤実(いとう・みのる):後期高齢者医療制度


編者感想:今回の医療制度改革はなるほどある程度工夫されているとは思う。この混乱を報道した番組で、ある官僚が「二年前から準備してやってきたのに、何で今になって騒ぎ出すんだ」とぼやいていた。そんなこといったって、日本の指導者層は最終受益者(負担者)に十分な説明をしない伝統があり、また報道メディアもお上の情報垂れ流しと国民の感情を煽り立てるような番組作りをするから大騒ぎになっている。日本国民は日本全体のデザインを考えるのは苦手なんだろうけど、なんとかしないとね。

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白石真澄(しらいし・ますみ):労働市場の開放  2008/4/23

今年の夏、外国からの看護師・介護師が来日する。インドネシアから2年間を目処に看護師が400人、介護福祉師600人を受け入れる予定。日本とインドネシアが結んだ経済連携協定EPAに基づいたもの。フィリピンとも同じ協定を結んだ。批准の手続きの遅れで、来日はまだ不明。

看護師・介護師を外国から受け入れる背景には、少子高齢化に伴う労働人口の減少がある。どの分野にも人手不足の問題がある。看護介護の分野では深刻。高齢者はますます増え、ニーズも多様化する。
(介護する側としては)高度な介護と比較的簡単な初歩的な研修さえすればになえる業務とで人材を使い分けていこうとする動きも出てくると思う。介護保険、医療保険の診療報酬も下がっているので、介護の現場ではいかに人件費を抑制をしていかということも大きな問題。

今後は、厚生労働省から委託を受けた国際厚生事業団が、日本で勤務をする外国人の看護師らを受け入れを希望する全国の医療機関に紹介することになっている。今回受け入れの対象となるのは、看護・介護分野ともに母国の看護専門学校もしくは大学の看護学部を卒業した学歴を有していてかつ二年以上の実務経験のある人となっている。来日後、2年間の日本語研修をし、看護師は3年・介護福祉師は4年間助手として病院や施設で働いてもらい、それぞれ国家試験を受けてもらう。合格すれば日本の永住権が得られる、という内容。ただし、国家試験を合格できなければ帰国してもらう。ハードルとしては相当高いと思う。

門戸解放しているように見えて、実は国としては慎重な姿勢でしょうか?(山下アナウンサー)

はい、外国人の福祉人材に対する積極的な支援制度はなかなか見えてこない。例えば、国家試験に出る医療関係の用語では「骨粗しょう症」「大腿部」のような日本人にも難関な漢字や用語が多い。実際に、関係者の話しではこのままだと合格者は極めて少ないのではないかという意見もある。

看護や介護を受ける側では外国人の皆さんの参入を歓迎しているのでしょうか?(山下アナウンサー)

ある独立法人系の大学の研究班が、300以上のベッドを有する全国の1604の病院を対象に行なった調査では、6割の病院が外国人労働者を受け入れたくないと答えている。その理由は、患者とのコミニケーションが不安、指導に人手や時間を取られる、など。また賃金が低いほうへ流れるのではないかという不安がある。

昨年の末、東京都が100人の看護師介護福祉師を受け入れて国家資格用の英訳本・専門教師を派遣するプログラムを作り、入国から受験合格まで手厚く支援すると発表した。横浜市・川崎市も協力して教育面から日常生活まで支援するとして今年度の予算にも数千万円を計上した。また福岡県の民間病院でも外国人看護師を助手として雇い、看護師の資格取得を支援する構想を持っているところもある。

これからさらに高齢化してくとこうした人材の需要はさらに高まる。現在、こうした看護や介護の資格をもっている方たちの中にも相当仕事をせずに家庭に潜在化をしている人たちも多いと思うし、国内だけでこうした需要を満たすことは出来ないと思う。
在宅(介護)では外国人の方との一対一のコミニケーションは難しいが、(外国人の方に)大きな施設や病院でグループで入ってきてもらいコミニケーションや日本人の嗜好にあうサービスができるように、研修をまずしてもらい、そこから在宅看護の人材になってもらうという方法論もある。そういう点では外国人を受け入れた介護・医療機関の現場の手腕が問われている。

一方で、英語で教育を受けているフィリピン人の看護士などは、年間8000人以上が中東やアメリカに渡ってもう戦力となっている。今回はインドネシアからの人材、日本の国としてもこの1000人に対して助成金といった支援制度を確立するなど、この1000人が魅力ある人材として定着するための課題を試行錯誤して(見つけ解決する)ことが必要だ。


2008年 4月 23日 水曜日 関西大学政策創造学部教授 白石真澄(しらいし・ますみ)


編者感想:外国人が日本で看護・介護福祉の仕事をするには「2年間日本語研修をし、4年間助手として働き、国家試験を受けて合格してから。合格すれば日本の永住権付与」と言うのはちょっと厳しすぎる。15年くらい前にも同じような話題があったような記憶があり、そのとき国が発表した受け入れ制度とそっくりなように思う。デジャブか?それとも政治家が政策を考えていないものだから担当の官僚が前例を探してきてコピーしただけなのか?「アメリカ国籍がほしい外国人は、米軍に入隊しアフガニスタンなどの前線で兵士としてして戦って生き残っていらっしゃい、そしたらあなたもアメリカ人」というアメリカのキャンペーンと似ているぞ。

フィリピンから外国に行って働いている看護師を「戦力」と話した論者の使った言葉に違和感があった。男社会に伍して子供を保育園に送り迎えして大学教授としてやってきた白石真澄氏なのでそのように表現したのだろう。温暖化で熱くなった夏を過ごすには省エネのエアコンを開発しなくてはいけない、と考えて科学技術信仰の泥沼・袋小路にはいるように、国の人口構成が高齢化することを「問題」と捉えるとその解決の反対側に軸足を置くことになりはしないか?外国人受け入れというやり方は取るべきだと思うが、その受け入れる側の日本の社会も高齢者・外国人のほうへ軸をずらしたほうがいいんじゃないか?東京都や地方自治体がやろうとしている外国人の看護師・介護福祉師の受け入れ・教育施策の行方にも注目したい。

*昨日のビジネス展望は録音できなくて記事のアップは無しです。来週NHKのホームページで聞けるようになったら要約した記事をアップするかも知れません。

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諸富徹(もろとみ・とおる):洞爺湖サミットの課題 2008/4/22

洞爺湖サミットでは何が話されるでしょうか?(山下アンカー)

最大の話題は、地球温暖化問題をどうやって解決していくか、ということ。とりわけ、2013年以降は京都議定書の期間を超えるので何も国際的な取り決めが無い。それをどうやって作っていくか、これが最大の話題。
    テーマとしては
  • 2050年に全地球の温室効果ガスを半分にするといわれているが、国際合意としてやっていくのか。そのためのスケジュールは?
  • それが合意されたとして、国別の削減数値目標をどうやって決めていくか
  • 途上国(特に排出量の多いBRICSの国々)がどうやってこういった国際的枠組みのスキームに入ってくるか

対立点は、ヨーロッパは2050年に半減という目標を掲げている。ところがアメリカはそのスケジュールだと経済に打撃を与えるので反対。アメリカは2025年までに増えるのを止め、その後へらす。ヨーロッパとはぜんぜん違う。
数値目標を立てることについては日本はあいまいにしていて明言していない。議長国として(やる気があるのかとヨーロッパから)問われる点だと思う。
    途上国と先進国の対立がある。
  • 特にアメリカは、インド・中国は大量排出国だから途上国は削減義務を負って減らし始めねばならないことを強く求め、でなければ私たちは排出削減義務を負わないと明確に言っている。
  • 途上国は、先進国はこれまで温暖化ガスを排出して地球温暖化をもたらしたのだから先進国が先にやるべきだと主張している。

日本が議長国としてこの難しいパズルを解いていくことをしなくてはならない、逆にいえばチャンス。
2009年末に京都議定書の締約国協議(COP-15:コップ・フィフティーン)が開かれ、ここで(次の温暖化対策の)成案を得ることになっている。そこへ至る大きな位置付けとして洞爺湖サミットがある。ここで方向性が決まるとそれに沿って進められるだろう。重要なポイントだ。
    そのポイントとは
  • 2050年に(温暖化ガス排出)半減、2030年には25~40%削減することを国際合意を得ることが第一点としてある。
  • 国別数値目標があるということでまとめていく。(産業)セクタ別アプローチなどの合理的(と思われる)方法・ルールで各国別の数値目標を決めるのだ、という方向を参加国に同意させること。
  • 途上国の参加に道筋をつけること。途上国は量的削減義務は持ちたくない-アメリカは途上国が削減しないと参加しないといっている。私の考えでは、現段階ではエネルギー効率を改善するような目標を持ってもらって、技術移転と資金援助をするというスキームを立ち上げる(のではないかと思う)。

こういった項目についてサミットで合意できるかどうかがポイント。

2009年の COP-15 に向けて、アメリカ、日本、ヨーロッパ、途上国のそれぞれ異なる利害と方向性を持った国々がどうやって合意点を見出すか、という非常に難しいパズルを解いていくことになる。


2008年 4月 22日 火曜日 京都大学大学院准教授 諸富徹(もろとみ・とおる):洞爺湖サミットの課題


編者感想:2009年末に「気候変動枠組み条約第15回締約国会議」が開催され、その会議のことを COP-15(コップ・フィフティーン)と呼ぶようです。
つまり、この洞爺湖サミット地球温暖化問題・温室効果ガス削減以外の話題を政府が流し、マスコミが頓珍漢な報道を多く流し始めたら、議長国として福田首相は全世界から「あいつは頼りにならん」というレッテルを貼られてしまったということになる。がんばれ、福田首相。おれは応援するぞ(見てるだけだけど)。

地球温暖化温室効果ガスの問題は実は明らかになっておらず、先進国が政治的な(安定支配の)ツールとして使っていることも見逃すべきではないと思う。地球物理学的に言うと、地球温暖化の原因はわかっていないし、100年以内に解決される問題でもないと思う。また、温室効果ガスの影響もしかりで、マスコミはそのように宣伝しているが温暖化の原因とは証明されていない。京都議定書にもそのように表記されている。そこには科学者の良心が残されていて「地球温暖化の原因はわからないけど、今出来ることをやろう」と表現されている。
温室効果ガス削減」は先進国にとって政治的にとても有効なツールといえる。







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高木勝(たかぎ・まさる):日銀人事と今後の政策課題 2008/4/21

日銀総裁・副総裁の任期は今年の3月19日に切れることはずっと前から分かっていた。4月9日に日銀総裁が決まった。3週間空白だった。今でも副総裁、審議委員がそれぞれ一人決まっていない。

福田政権・与党はこの問題についてリーダーシップが取れなかった。財務省OBの起用にこだわって民主党を中心とする野党の空気を読めなかった。財界・民間企業の経営人OBを見ると、金融政策、国際金融に精通した人はかなりいると思う。
民主党も日銀人事を政争の具にした感があることは事実。財金分離、天下り禁止という理由付けをしたが、私は正しくないと思う。最適な人物は金融政策・国際金融に精通している事、独立性の確保、国民に対して十分な説明責任の能力、リーダーシップ・実行力、組織の運営力、十分な国際感覚が要件だと思う。

3週間に及ぶ総裁の空席、海外の評判は悪い。アメリカのサブプライムローン問題で日本は政策協調の対象外の国になったのではないか。先般、アメリカ・カナダ・ヨーロッパが同時に市場に資金の大量供給を行なったが、日本はパスされた。
国内政策を見ると、金融対策をとれず、株価も下がった。マーケットにも心理的な面から悪影響が及んだのではないか。

当初白川氏は副総裁として任命された。総裁適任者不在と見られていたため、結局新たに総裁として任命された。白川氏は金融理論の大家、日銀理事を4年間勤めた。いまのところ、総裁の器であるのか、リーダーシップがあるのか(分からないので)間に合わせ人事ではないかといった見方も出ている。私は、もう総裁になったのだから物価の安定・通貨価値の安定、持続的な安定成長、金融システムの健全化に全力を傾けて欲しい、そして着実に成果を上げていくことが必要と思う。
一説には、白川氏は利上げ論者であり、量的緩和に懐疑的といわれているが、予断を持つことなく、適宜適切な金融政策を展開していくべきだと思う。

    今後の政策課題、優先課題は
  1. 誤りのない政策をすべき。従来のの日銀は楽観的な見方が多く、「景気の拡大が長く続く」「需要超過でこれからもプラス基調が続く」といった表現が支配的だった。しかし、白川氏が最初に参加した4月の金融政策決定会合では景気判断を下方修正し、景気拡大の言葉を削除。景気判断がようやく国民の受け入れられる状態になった。
  2. スタグフレーション(景気沈滞下の物価高)の回避、「いかにインフレ下の成長を目指すか」に尽きる。財政政策、金利の上げ下げ、大変難しい難しい判断を迫られる。
  3. 金融秩序の維持に全力をあげる。サブプライムローン問題のなどから日本の金融機関の損失額も増えてきている。かるく1兆円を越えた。
  4. 国際金融危機にどう対応していくか。4/11にワシントンで行なわれたG7で世界的に金融の混乱は根深く、かつ長引いていると表明された。この状況に対して日本政府の対応、日銀は政策協調を図っていくのか。協調利下げ、協調介入、市場における流動性の確保、大手金融機関に対する日米欧の共同監視、アメリカへの公的資金投入の説得などの課題がある。


2008年 4月 21日 月曜日 明治大学教授 高木勝(たかぎ・まさる):日銀人事と今後の政策課題


編者感想:日銀総裁を決めるときに確かちょうどアメリカでサブプライムローン問題が大きくなってFRBが金利を下げたり大騒ぎをしていた。振り返って日本では日銀としてはすでに利下げできない状態まで低金利だったのでほかに打つ手は無かったのは誰もが分かっていたと思う。そこで、私が思うに、もともと自民党の仲間同士の福田康夫首相と民主党の小沢一郎党首が「サブプライムローン問題を大騒ぎしているけど、日本ではもうなにも打つ手は無いんだから、アメリカには別のことで手一杯だと見せかけておいてブッシュからはせっつかれないようにしておこう」とこっそり合意して、後は嵐が過ぎるまで茶番でもしておこう、と言う筋書きではなかろうか。そんな風に世間一般とは別の解釈をするのも一興です(笑)。でもこの嵐、まだまだ長引きそうだ。

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寺島実郎(てらしま・じつろう):JPOWER電源開発に外資 2008/4/18

開国か攘夷かみたいな話で、外資をどれくらい迎え入れるべきか、大変大きな論点になっている。ついに政府の方針が出て外為法の外資規制の最初の事例になった。
JPOWER電源開発(編者注:民間の上場会社)にイギリスの投資ファンドのTCIという会社が、今までも9.1%の株を持っていて筆頭株主だったが、さらに買い増して20%にしたいという要求していた。政府としてそれはダメだという勧告を出した、という状況。

話は複雑。私自身、両者の当事者の方々とじっくり話しをしたことがある。
まず、JPOWERは上場する2004年より前は一種の国策会社、国営企業のようなもの。資本主義の会社としてもスタートしたばかり。
TCIのほうは The Children's Investment Fund(ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド)という名前で、この会社はいくつかの個性を持っていて、アフリカの子供たちにエイズ対策などに日本円で500億円を超える寄付をしている。社会貢献を極端にやっている会社。また、ハゲタカファンドなどの短期的な売り買いに対して批判的、企業を育てる中長期的な視点が必要、と主張している会社。

我々(の政府)は、安全保障を持ち出して外資がこの分野に入ってくることを望ましくないと結論を出した。
安全保障を持ち出す前に、たとえば電鉄会社は国民の安全を第一に考えるべき会社であり、電力会社も国民の利益を考えて経営をすべき会社である。そういう会社が株主のために利益を最大化して配当を最大化して株主に利益を還元するという目的だけで経営されていいのか?(という問題を考えてみるべきだ)
要するに、今までの日本の資本主義は株主に対して配慮が無かったことへの反動もあって、コーポレート・ガバナンスで「会社は株主のものだ」というアメリカ流の資本主義に沿って、配当が多く・透明性が高く・利益を最大化している会社がいいということで走ってきた。

さて、ほんとにそれでいいのか?資本主義をとりまいている利害関係者は株主だけではない。事業が行なわれている地域住民、国家、地球環境、取引先、ほかいろんな人が企業を取り巻いている。その人々たちにバランスよく利害を配分する経営、それが企業として正しいのではないかという考え方も一方にはある。
したがって、安全保障を理由にして外資を入れる/入れないの議論の前に、日本の資本主義のあり方についてこの問題は大きなヒントになる。

こういうグローバル化の時代なので開かれた資本主義・外に対して開かれた改革解放路線で外国の人からも投資が入ってくるような開かれた資本主義でなくてはならない、というのもまた正しいひつとの判断だろう。東京証券取引所の上場企業の株の28%は外国人投資家が持ってくれているのが現実で、外資を呼び込むとことも日本の発展に対しては重要だ。
そうはいってもやまはり、日本の資本主義の個性は「産業資本主義」つまり、物を生真面目に作るということをベースに発展してきた国で、金融主導のマネー・ゲームの資本主義とは違う。日本らしい資本主義のあり方を考え、筋道の通った考えを外に対しても説明する・説得する必要がある。たとえば、短期保有株主と長期保有株主の議決権の重みを変えるとかしておかないと、経営が筋道の通った国民の利害になる判断から逸脱していく可能性をはらんでしまう。

従って、電源開発きんしあい(編者注:漢字不明)問題は新しい様相に入った。この話って結構他人事ではなくて、日本の経営・会社・資本主義は今後どう進んで行くのだろうかという大きな問題をはらんでいる。要注目だ。


2008年 4月 18日 金曜日 財団法人日本総合研究所会長 寺島実郎(てらしま・じつろう):JPOWER電源開発に外資


編者感想:安全保障を持ち出して外為法の外資規制の最初の事例にするほどのことだったその理由は何なのか、これからの第二ラウンド(があるとすればだが)を注目していきたい。
ペリーが来て開国を迫ったとき、幕府の旧守派の役人が外国に対して方針を明確にせずのらりくらり先延ばしにして、とうとう困ったら感情的な国粋主義者(グローバル化の歴史イベントに必ず現れる)に肩入れしてみたりするが、結局自律的に舵取り出来なくなって投げ出してしまった。そんな先輩たちの姿がちらと二重映しになった。

TCI(The Children's Investment Fund)のホームページ 英語と日本語の両方で読める http://www.tcifund.jp/index.html
2008/3/28にTCIが発表した『J-POWER事業計画 - 経営陣が検討するべき事項』 http://www.tcifund.jp/pdf/news_jp14.pdf
いたってまともなことしか書いていない。JPOWERってこんな会社だったのかとよく分かりました。
Thank you TCI !
それにしてもこの文書、句読点の位置が文字配置の中央で意表をついている(笑)。でも文章はきれいな誤解の生じにくい良い日本語で書かれている(と思う)。

J-POWERは1952年設立、2004年東証一部上場。火力・水力の発電所を持ち、電力会社へ電力を卸している。原子力発電所も建設中。本社東京銀座。格付けはAA(SP),AA+(RI)など。最新ではTCIが9.9%の株を保有。株の保有比率は、外国人39.9%,投信2.1%,浮動株6.6%,特定株38.2% 
ホームページ http://www.jpower.co.jp

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関志雄(かん・しゆう):インフレの高騰で変調する中国経済 2008/4/17

中国のインフレの現状と見通し
今年の第一四半期の消費者物価指数は(CPI)前年比8%の上昇でほぼ12年ぶりの高い水準。
中国におけるインフレの今後の見通しをめぐって楽観論もあるが、私は個人的にインフレの高騰による景気への悪影響を心配している。

楽観派はこのインフレは一時的なものであり加速することはないと見ている
    その根拠は以下の4点、
  1. インフレの主な原因は食料品価格の上昇による。それを除けばインフレは低水準。先進国では気候変動などに左右される食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率が重要視される。
  2. 人民元の切り上げペースが加速している。それにより輸入価格が抑制される効果が期待される。石油を始めとする原材料の輸入依存度は高いが、ドルベースの価格が人民元の切り上げである程度相殺される。
  3. 景気循環の観点から、今過熱の状態からソフトランディングに向っている。それに伴い需要が弱まりインフレも弱まる。
  4. 一部業種で設備投資がのびて生産能力の過剰が顕在化している。製品の供給が需要を上回る状態になっている。このような市場環境では、賃金・原材料価格などの投入コストが上昇しても、産出価格への転嫁は困難ではないか。

    私は次の理由から物価の上昇が食料品にとどまらずに全面的インフレに発展するリスクを警戒する。
  1. 食料品価格の上昇は天候要因ではなく中国経済の工業化と都市化が進展する中で、耕地が急速に減っていることを反映している。石油価格が上昇している中で代替エネルギーとしてトウモロコシからできるバイオ燃料が注目され、そのための耕地の転用も食料価格の高騰に繋がっている。この傾向は中・長期にわたって持続する。
  2. インフレと賃金の悪循環が懸念される。中国はまだエンゲル係数(家計支出全体に占める食料品の割合)の高い発展途上国。CPIに占める食料品の割合は33.6%で、たとえばアメリカの13.9%と比べて高い。食料品価格の上昇は直ちに実質所得の低下を意味し、社会不安にも繋がりかねない。これを防ぐには名目賃金の上昇を容認せざるを得ないが、これは逆に生産コスト、ひいてはインフレを抑える(編者注:「押し上げる」ではないかとおもう)要因にもなる。
  3. サプライ・チェーンの川上に当たる石油を始めとする資源価格の上昇は、タイムラグを持ちながら次第に川下の消費財に波及すると見られる。
  4. インフレは、教科書にかかれているように常に貨幣的現象(インフレの原因は通貨供給量の急増という貨幣的な側面と、物資の不足・需要超過という需給面があること)。人民元はいま強い上昇圧力にされされている。中国当局はこれを抑えるため人民元を売り、ドルを買っている。その結果、中国国内でのマネーサプライが急速に増えてこれはインフレの圧力にもなっている。当局のこのような介入を止めない限り、言い換えると変動相場制に移行しない限り、この過剰流動性の問題は解決しない。

中国政府のスタンスは、天安門事件のおきた1989年のようにインフレの高騰は社会を不安にさせる要因にならないのか、ということを懸念して、中国政府にとってインフレをおさえることは最重要なマクロ経済の課題となっている。
2008年に開催された全人代において、温家宝首相は今年の消費者物価指数を昨年の実績と同じ4.8%前後に抑えるという目標を発表している。しかし、足元のCPI指数の上昇は既にこの数値を大幅に上回っている。
インフレ抑制のため、当局は金利を引き上げなどで金融引締め政策を実施すると同時に、最近になって人民元の切り上げペースを加速させている。しかし、このような政策はサラなる資金の流入を誘発し、インフレ要因の一つである流動性の膨張に拍車をかけかねない。この政策は有効性が限られている。
そのうえ、利上げと人民元の切り上げを受けてこれからの景気の減速も懸念される。

世界経済の減速と人民元の切り上げを受けて、中国の輸出の伸び率は最近になって鈍化している。しかも貿易黒字も減り始めている。その上株価がこの半年で約50%近く急落し、不動産価格もやや調整局面にかかっている。その結果として、投資と消費も鈍化するだろうと見ている。これらをあわせて考えると、もはや中国において成長率の低下が避けられないという状況になってきている。

このように、中国オリンピックの開催も待たずに中国経済は景気の転換点を迎えようとしている。


2008年 4月 17日 木曜日 野村資本市場研究所シニア・フェロー 関志雄(かん・しゆう):インフレの高騰で変調する中国経済 


編者感想:関志雄さんの話しは毎度明快で分かりやすい。経済だけでなく政治の面から見たコメントもあるので新鮮だ。
関志雄氏プロフィール 香港出身の人でした。 http://www.nicmr.com/nicmr/researchers/rs_kwan.html











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関満博(せき・みつひろ):中山間地域の農産物直売所 2008/4/16

道の駅などで直売所を良く見かけるようになった。一説によると年間4000億円くらいの市場規模になっている。年間の増加率が10%を越えている。現在わが国唯一の成長産業とも言われている。

当初は農家の夫人達が農協に出せない農産物を自主的に販売するというところから始めた。現在それが進化して、むしろ特殊な農産物は直売所に置かれるということで消費者に歓迎されている。
進化・歓迎された要因は二つある。
1.農家のご夫人達が日本の農業市場初めて預金通帳を持ったこと。農協に出していると、売上は全て農家の世帯主の預金口座に振り込まれるが、直売所の売上はご夫人達自身の口座に振り込まれること。モチベーションが上がった。
2.レジ(売り場)に立つので消費者に直接接触して市場の要請を知ることにより彼女達が工夫を重ねたこと。農協に出すと(流通の)取り扱いが簡単なように品種が限られてくるが、消費者のニーズを知ることで、今は栽培されなくなった作物や新しい野菜を栽培するようになったこと。残ったものは加工品にするとか、農家レストランに展開していく傾向がある。このことが新しい雇用も作り出していて、中山間地域では希望の星となっている。

島根県の出雲地方にある3つの直売所を訪れた。
1.島根県飯石郡飯南町 「青空市ブナの里」始めは週末市場から2002年より道の駅に隣接する店舗へ。会員は67人、半数は70歳以上。月一回休みの通年営業。昨年の来店者数は9300人、売上高7500万円。直売所の会員一人当たりの年間売上高は100万円を目標とされるので、それを超えている。個人ベースでは500万円以上の人もいる。「自分で値段をつけて売っている。それが元気の素」。
2.出雲市に合併された旧佐田町 「NPO法人まめだかネット」1998年に地元のスーパーに女性グループが野菜を持ち込むところからスタートした。合併により今は農協を中心にNPO法人化してている。会員約240人、平均年齢70歳。2005年度の売上は5200万円、会員一人当たりの平均売上は30万から40万円(年間)。生産者みずから生産物を持ち込むことが多いが、中山間地域の高齢者にとっては難しい場合もある。そのため32箇所の集荷場所を決めて週三回NPOの車が集荷している。高齢化と人口減少が進む中山間地域の直売の究極の形かもしれない。
3.出雲市に合併した旧加茂町(編者注:旧加茂町は出雲市の南に隣接する雲南市に合併されている)の市街地に展開している「加茂遊学ファーム」 もともと加茂町には小規模な直売所が5ヶ所あって、それらを網羅するようなものに変えて行くため6人の有志が集まり株式会社にした。出荷する方が134人、出荷する人は販売には立たない、遊学ファームに委託する。年間売上が約6000万円、出荷者一人当たり45万円。出荷者の多くが農協系の直売所にも生産物を出している。遊学ファームの店舗は道の駅などではなく住宅街の中にあるので、住宅街の人の希望にも応える意味で直売所とミニスーパーの役割を期待されている。バナナなどのよそからの仕入れ品が15%ある。近年近くに農協系の直売所が出来たので方向性(直売所かミニスーパーか)を模索している。

地域条件が違うので直売所の形も様々。いずれにしても中山間地域の農業生産者に希望を与えている。これまで農協に依存していた生産者の方たちが自分達で(販売して現金を得ることを)考え始めた。


2008年 4月 16日 水曜日 一橋大学大学院教授 関満博(せき・みつひろ):中山間地域農産物直売


編者感想:四国の山間地に住んでいる私の両親もほんの少し農産物直売に参加している。地域内の直売所と、道の駅、そして確か農協が音頭を取って100Kmも離れたニュータウンのスーパーに直産コーナーを設けて週一回出荷している。直売所の方は地産地消で購買者も地元の人だ。悪いわけではないが、性格が煮詰まった年寄りよろしく(笑)「作ったから買え。出来た物を買え」というスタンスで、買う側・食べる側に立った工夫をしてない。道の駅では、観光客を想定していて地元の人間から見たら価格設定が高い。これではリピーターになってもらえない。また、遠く離れたスーパーで売ったら輸送費が大変だろうと聞いてみたら、そのとおりで輸送業者が儲かっているだけだという。
 農産物は利益率がとても低くて、(自分の人件費をのぞいた)肥料、自動車・機械の燃料などの原価を差し引いた残りの利益は、物によれば売上の1,2割だとか。耕地の少ない山間地なので生産量は少ないがとてもおいしい米、お茶、蜜柑、豆などを生産している。それを季節ごとに送ってもらって東京で味あわせてもらっている私としては、うまく流通させて正当な対価を得られればいいのにと思う。しかし、たまに帰省して見ると、よそでやっていることを真似するだけで、地元独自に産地直売で活性化しようとする・それを支援する人材が全くいない。しかし足を引っ張る人はまだいる。市場規模が4000億円にもなったのなら、いろんな中山間地域に本気で取り組む人が出てきて欲しい。

青空市ブナの里 直売所 http://www.r-yamanami.com/rest/buna.html
加茂遊学ファーム法人化の記事 http://www2.pref.shimane.lg.jp/nogyogijutsu/gijutsu/genti-jirei/fukyu-jyouhou/07039unn003.html










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林康史(はやし・やすし):ドル円相場の動きの特徴について 2008/4/15

驚かれるかもしれないが、ドル円レートには季節性がある。
1月か4月にマーケットの相場性が変ることがある。1月か4月にドルが最安値・最高値になってそれから反転するということが多い。
過去18年間を調べてみると1月が反転する月であるのが二年に一回くらい(五割の確立)、つまり一月が天井か底になる。4月も3,4割の確立で底・天井になる。

その原因を推定すると、年あるいは年度代わりのせいではないかと思われる。
人間(の心)は新しい年、年度になると「よし、今年もがんばるぞ」といって過去とは異なる動きをする。そういうのがマーケットに反映されるのではないか。
12月はアメリカの会社の決算が終わり、3月は日本の年度の終わりなので、皆さん新しい年度になると新しい行動パターンで始めようとする。

ドル円の相場変動の時間サイクルは5年、2年の期間のものがあるが、1年の期間のものは季節性ということになる。

今回の円高の局面は、オーバーシュート・行き過ぎといえる。一年間の平均から考えると、マイナス方向(円高方向に)14%離れた。1990年以降では2,3番目のおおきさということにる。
95年の時には1ドルが80円にまで行くことがあったが、そのとき(の乖離率)も(マイナス方向に)16%行っただけだった。
今回もこの辺から円安方向に反転する可能性がずいぶん高くなっている、と思っている。

95年の(円高)の時は特に理由は無かったが、どんどん円高が進んで日本の機関投資家が決算でドルを売り(期末の3月で)みんながドルを売り終わったら、4月から反転が始まった。そのとき何も理由は無かった。マーケットは行き過ぎると反転する、という癖がある。

今回もサブプライムとか問題があってドル安になってきた。理由はある。(一年間の平均値からの乖離率が)14%まで下落しているからそろそろ円安方向に反転してもいい。

過去、プラザ合意(1985年9月22日)の後でも乖離率で言うと17%までしかドルは下落しなかった。今回はプラザ合意のようなショックはあったかというとそうではなかった。
先日のG7では、ドル安はまずい、サブプライムローン問題もどうやら乗り越えていけそうなめどが見えてきたということで一致した。ある意味で言うと、十分なドル安円高を達成したのではないかと思える。これからさらに下落することがあってもそれは想定内のことだろう。

長い時間軸で大きく見ているとゆったりと考えられるので、(どのあたりまで戻るか冷静に考えられて)目先にとらわれない。


(遠田アナウンサー)皆様からのお問い合わせが多いのですが、内橋克人さんのビジネス展望はご本人のご都合によりましてしばらくお休みです。

2008年 4月 15日 火曜日 立正大学経済学部教授 林康史(はやし・やすし):ドル円相場の動きの特徴について


編者感想:林康史さんは投資関係の話題となった訳本や著書を沢山書いているので、その道の人には良く知られた人だ。大学教授になっていたとは知らなかった。ま、株や外国為替などは自分の欲望と恐怖との戦いをするギャンブルともいえるので、博才(バクチの才能)のない自分としては今日の話題は話しとして聴いておくことにする。間違ってもFXの取引口座を開いてドルを買うようなことはないだろう。才能のある人はやってみてね。

内橋克人さんのビジネス展望が一番聴きたいのだけれど、残念だ。NHKラジオの大幅な番組改変でプロデューサと意見の食い違いでも出たのだろうか。










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鈴田敦之(すずた・あつゆき):G7の金融危機処方箋

今回のG7が従来と大きく違うのはアメリカ・ヨーロッパの金融危機が燃え盛る中に開かれたことだった。
前回2月のG7では抽象的な作文で終わっていたが、今回は危機の根深さと対応の遅れを認めて混乱長期化懸念を打ち出した。
100日以内にやるべきこと、今年中にやることなど行程表、いわいる処方箋を作り、世界主要金融機関10行の首脳を招いて官民協調して危機を乗り切る姿勢を演出した。
効果のほどはどうかわからない。

特徴は、規制監視を強化した。これまでは「自由競争こそ全てだ」といっていたのが、サブプライムローン問題が出てきたので規制監視を強める必要が出てきたということだ。
市場安定化のために金融機関の情報開示を求め、損失を確定して資本増強を求めて不安を除去する、という方針。

100日以内にすることは2つあって、
1.金融機関の情報開示を徹底すること
2.連結対象に入っていなかった運用会社・特別目的会社(投資ファンドなど)の開示基準を改善すること

今年中に実施することは
1.国際展開する金融機関ごとに共同監視チームを設置する(健全性、資金繰りの監視)。日本の3つのメガバンクも入る。
2.格付け会社は複雑な証券化商品と一般の社債などの債権に格付けに違いをもうけるようにすること。(ようするに別カテゴリーで格付けして評価の混乱がまともな債券市場に及ばないようにする)

これらの処方箋は即効性はないだろう。実施する上での問題点は大きい。
各国ごとに監督・検査基準は異なるので、どこまで機能するか疑問。開示・損失の確定をしようとしても証券化商品には今市場で値がつかないので出来ない。
損失を確定して早期に償却しなさいといっても、損を沢山出しなさいということだから、自己資本の健全性は両立するのは難しい。今回は公的資金の導入は見送られている。オイルマネーに依存するのかも知れない。

株・為替の反応は今回のG7がおこなた対応についてそう高い評価を下さないだろう。
今週の株・為替の反応は注目しなけりゃならないが、まあ、いい反応はしないだろう。金融市場の混乱はまだまだ続く。

現在の所、サブプライムローンの損失が円換算で一兆円を越えたところは、7つある。最高はスイスのUBSの3兆7400億円、2番目がアメリカのCITI、3番目はメリルリンチ。
4月16日以降、アメリカの1-3月期の決算が発表されて来て、(損失の)増額修正が続出するするだろう。

日本はサブプライムローン問題の影響は軽微だろうといわれていたが、先週みずほフィナンシャルグループがサブプライムローン関連で5600億円の損失を出したと発表した。最終的には利益を出すようだが。
他にも損失をだすところが現に出てきている。日本でもその打撃の影響は少なくない。

アメリカの住宅価格は下げ止まってて以内ので、どこまでという限界は見えていない。損失が2~3000億ドルを越えるという全体金額もさることながら、不安感・不透明感が長引く事は実体経済にも影響するので注目しておかなくてはならない。


2008年 4月 14日 月曜日 評論家 鈴田敦之(すずた・あつゆき):G7の金融危機処方箋


編者感想:アメリカの住宅価格は何処まで下がるのか。暴落の基準となる「半値八掛け二割引」= 0.5X0.8X(1.0-0.2) = 0.32 つまりピーク値の1/3を目安とすると、アメリカの住宅価格の下落グラフを大雑把に外挿すると1年から2年後にその値に達することになる(S&P/Case-Shiller Home Price Indices )。現在は下り坂のちょうど中間点に相当している。それまでガマン(ダメージコントロール)しつつ、体質改善と新たな価値を創出する努力・研究にいそしむことになるのか。それって失業中の自分のこと?(笑)

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藤原直哉(ふじわら・なおや):借金経済の終わり

株式・債権が下落し不良債権が雪達磨式に膨らんでいる。それで金融市場では「貸し渋り」「貸しはがし」が横行している。個人から国まで、お金を借りにくくなって、借りた金の返済を迫られている。そのため、消費・投資が出来なくなって景気の減速が急速に起きている。

日本・中国・ヨーロッパはサブプライムローン破綻の直撃を免れていたが、株価下落など景気悪化が見られている。
金融システム危機が世界的規模で起きていて、銀行同志がお金を貸さない状況が継続している。

アメリカは住宅ローンの破綻から発生したことなのでその救済・支援をやっているが、サブプライムローンの破綻の金額が大きすぎて、その救済も間に合わない。対策も実効性が乏しい。
破綻>貸し渋り・貸しはがし>不景気 この(悪)循環はまだ拡大するようだ。

私は今年後半に景気が回復することは全くないと思う。
そもそも今回の不良債権が発生しているのは、金融テクノロジーを駆使して作られた金融商品の値段が下げ止まらないこと。この商品はアメリカの住宅価格を元にしているので、住宅価格が下げ止るまでは不良債権の増加はとまらない。金融テクノロジーの不信感も募っている。

これからはアメリカ政府、アメリカの家庭はこれ以上の野放図な借金は出来なくなった。1971年の変動相場制から巨大な借金を重ねて今日まで来ている。
アメリカが借金をして物を買ってくれるから日本・中国・ブラジルなどが輸出をして景気が良くなる。一方、中東・ロシアなどはアメリカに売るための物作りをする国に資源が売れて儲かる、という構造になってている。従ってこの3,40年の世界経済はアメリカ人が無謀な借金をするから回っていたという部分が間違いなくある。アメリカだけを責める事は出来ない。どの国もアメリカの借金に乗って(経済発展して)来た。

ブプライムローンの破綻は、結果的にもうこれ以上アメリカ人が無理な借金が出来ないという現実を突きつけている。ドルも下落しているので国家としてもこれ以上の借金は出来ない。借金で出来ていた需要が一夜にして消えてしまったことになる。これは大変なこと。物を作っても売れない。資源の使い道もなくなる。とてつもない不況が来る。

世界経済全体を作り直す必要がある。健全な経済に戻す必要がある。今のように借金で成り立つグローバルな経済は無理。成長速度は下がるだろうが、各国の基礎的な力に根ざした健全なローカル経済を復活させるしかない。
今みたいに高度経済成長できるのは世界的にグローバルに借金できるので可能だったが、もう無理になった。21世紀型の経済はフラットな、グローバルでないローカルな、エネルギー消費も少ない経済。また、各国それぞれが(国内で)不均衡を作り出さずに経済をまわしていかなくてはならない。かなりアナログな、その国独自のやり方を重視しないと経済は回らないだろう。
19世紀に植民地を経営していたヨーロッパ諸国が植民地を失ったときのようなことが今起きている。かなりダウンサイジングして縮小均衡した経済にして、それでも品質を高めながら経済を活性化させる道に行かざるを得ない。

日本経済はまだグローバリゼーションとかデジタル化とか言って走っているが、アメリカが借金できない以上それに見合う需要はないと思うので、早く気持ちを切り替えて、量から質へとか、ゆっくり品質のいいものを作るとか、根本的に考え方を変える必要がある。それから、地方から振興させることを考えないと、東京だけでは経済を支えきれない。

そうやって根本的に日本を再生することを考えないと、この不況から再生することはできないのではないかと思う。


2008年 4月 11日 金曜日 経済アナリスト 藤原直哉(ふじわら・なおや):借金経済の終わり


編者感想:多くの企業がグローバリゼーションと称して正社員をパートに切り替えたり、ITと称したシステムは価値を高めることよりも(主に労働などの)コストダウンにしか目が向いてなかった。それでも最終的に買ってくれるアメリカ人がいたので世界の経済は回っていたということか。わかってはいたが、他人から言われるとより明確になるもんだ。
借金が出来ないというのは、経済でいえば最も大きな問題になる。よくもまあ3,40年も借金で世界経済をまわしてきたアメリカはたいしたものだと思う。一方、自分に振り返っては、これからはロハス(LOHAS)がらみの仕事も注目してみるか。










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黒瀬直宏(くろせ・なおひろ):タイの工業団地へ進出しようと日本の企業が熱い視線を送っている 2008/4/10

タイには3,40の工業団地があり、先月私はタイアマタ・ナコーン工業団地を尋ねた。バンコックの南東60kmくらいのところにあり、800万坪(26.6km2)のタイ最大の工業団地。
バンコックから比較的近い、7年間法人税免除の条件もあって、現在進出している500社のうち6割が日系企業。

日本の場合、国や地方自治体が工業団地を開発するが、この工業団地はアマタコーポレーションという民間企業が開発した。この企業の特徴は、工業団地を造成して販売するだけでなく、発電施設・水処理施設・ガス供給・物流基地などのインフラ整備にも責任もっている。さらにホテルや住宅を建設して工業団地を街として開発しようしている。

2006年6月には東京の財団法人大田区産業振興協会と連携してこの一角に大田区中小企業のための工場アパートを完成させた。大田区産業振興協会の担当者が、アマタ・ナコーンの会長にサポーティング・インダストリー(中小企業)の役割の重要性を説明し、太田区内の企業に生産の東アジア化を支援する必要もあって、タイ・日本両者の思惑が一致し、オオタ・テクノ・パーク(OTA TECHNO PARK)を建設することになった。

ハード・ソフトの面で日本の中小企業に使いやすくしている。床面積を320平米に設定した(タイの標準の3分の1)。賃料は最低水準。共有のオフィス(受け付け、会議室などを共有)。ソフト面では、工場の立ち上げて続き業務の支援。会計・税務・その他法務事項をアマタ社が代行してくれる。もちろん有料だが、何しろタイ語で書かなくてはならないので、最も大変なことを安い費用で済ますことができる。生産と営業以外はアマタ社が代行してくれる。
「スーツケース一つで来れる、ホテルのような生産拠点だ」とアマタ社側は言っている。

3期にわけて建設している。1期は8ユニットを建設し大田区から既に4社が入居し埋まっている。従業員40人のシリンダー製造企業、従業員12人のエンジン用パイプ製造企業、従業員20人の精密プレス企業、従業員8人の電極製造企業。中小企業というより、小零細企業。
現在第二期の建設をしていて、9ユニット。既に2社が入居を決定している。3期工事が終わると全部で33ユニットにな、合計20社の入居を見込んでいる。

アマタ社には広島、名古屋、横浜などの中小企業からも問い合わせがあり注目を浴びている。

日本にも賃貸工場アパートは古くからある。国の中小企業支援策として工場アパートの建設がはじまったのは1975年。国の財政支援を受けて県や市という地方自治体が建設(造成)し、中小企業が買い取るというものだった。日本では住工混在が進み、工場の拡張が出来ない中小企業が、郊外の工業団地でなく、街中にいながら近代化した工場に入居できるということで規模の小さい企業に喜ばれた。私もこれの推進に携わったことがあり、大田区でも大田区の中にこの工場アパートを建てたことがある。

工場アパートを建てた理由は)かつては住工混在問題の解決だったが、いまやグローバル経済への対応と変ってきた。また、推進の主体は国だったが、いまや地方自治体と民間企業が連携してやっている。時代は変ったという印象を持った。


2008年 4月 10日 木曜日 専修大学商学部教授 黒瀬直宏(くろせ・なおひろ):タイの工業団地へ進出しようと日本の企業が熱い視線を送っている


編者感想:中小企業の海外進出は以前から良く聞くけど、日本の地方自治体と現地の民間企業という組み合わせでお膳立て(工場アパート建設)をしているとは知らなかった。中小企業の現場を知っている者同士でやっているわけか。感心したのは大田区の中小企業支援する財団法人大田区産業振興協会の活動。理事のリストを見たら元大田区職員の山田伸顯氏(中小企業支援では有名な人らしい)が専務理事で残りは企業経営者と大学教授だった。大田区の人活躍してるねぇ。ちょっと前に大阪市の職員が工場アパート事業に裏金をつかったニュースがあったけど、きちんとやってね。

オオタ・テクノ・パーク完成の記事 http://ascii-business.com/zeisei/ohtaku04.html
(財)大田区産業振興協会 http://www.pio-ota.jp/










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十市勉(といち・つとむ):日本の長期エネルギー需給の見通しについて 2008/4/9

経済産業省は3/19にわが国の長期エネルギー需給見通しをまとめた。その注目点についてお話いただく。(山川アンカー)

背景は(15から20年先の)長期エネルギー需給見通しは3,4年おきに見直されて作られている。
今回は、原油価格の上昇などをはじめとするエネルギー・資源価格の高騰で国際的なエネルギー市場が大きく構造変化していると思われ、それに対応することと、地球温暖化対策を進めるために、エネルギー需給見通しが見直された。

2005年を基準に2020年、2030年までのエネルギー需給見通しが出された。
前提条件の経済成長率は2005年から2020年までは年平均2%、2020年から2030年までは1.2%とした。
原油価格は2020年で1バレル(159リットル)90ドル、2030年で100ドルとし、今のような価格が将来も続くとした。

将来の姿を3つのケースで考えた
1.現在の技術のまま変らずに行く場合
2.技術はそのままで、省エネ努力を継続した場合
3.最先端の技術を導入した場合

一番注目されるのが3で、まだ実用化されていない省エネ技術を入れていくケース。
2020年までに、2005年を基準にして10%マイナス。GDP当たりのエネルギー消費量も30%改善する。原子力、風力、バイオマスなどの新エネルギーをできるだけ増やそうとする。
そうやって努力しても、2020年のCO2排出量を2005年に対して13%マイナス、京都議定書が基準にしている1990年を基準にして3%マイナス、CO2を減らすのは相当大変。

最大の鍵は、今のところCO2排出が増えている民生部門の家庭・ビルとか輸送・自動車をどうやって減らすか。

3の最大導入ケースを実現するためには、2020年までに減らすための投資は52兆円の社会的負担が必要であると見積もられている。
具体的には、住宅・ビルは最も断熱性のよい施工をする。太陽光発電を2020年までに現在の10倍の住宅に普及させる。家庭・オフィスの機器も省電力タイプにする。ブラウン管テレビを止めて液晶・ELなどに変える。白熱灯を2012年までに蛍光灯に全て変える。給湯器もエネルギー効率の良いヒートポンプタイプに変える。自動車は排ブリッドタイプにする。燃料電池車なども。2020年には新車販売は半分をこういった省エネタイプにする。

低炭素社会に向けて、日本では技術を梃子に暮らし・産業・経済の構造を変えていく必要がある。それにかかる52兆円のコストをビジネスチャンス、新たな投資機会と捉えて日本社会を省エネに持っていく。また、その技術を海外に輸出する、ということが大事。消費者・企業・行政(国自治体)が一体となっての取り組みが大事。


2008年 4月 9日 水曜日 日本エネルギー経済研究所専務理事 十市勉(といち・つとむ):日本の長期エネルギー需給の見通しについて


編者感想:環境問題は人類の行く末を支配しており、そのことは原油が高騰したからではないのは明らかなんだけど、環境問題への対策の一つである省エネ技術を開発する絶好のきっかけになっている。昔は原油が安かったので省エネ技術なんて見向きもされなかった。ちょうど今、投機資金が原油・資源に回って高騰しているのは、運命の神が人類に一度だけ生き延びるチャンスを与えたということか。私の次の仕事はその辺を探してみるといいかも。


経済産業省/資源エネルギー庁の発表した『長期エネルギー需給見通し(案)について』 http://www.enecho.meti.go.jp/topics/080321.htm

このレポートについては原子力発電について全く問題ないかのようにかかれているので参議院で野党議員から質問されています。参議院議員川田龍平さんのプログ http://ryuheikawada.seesaa.net/article/90906337.html







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霧島和孝(きりしま・かずたか):アメリカ・サブプライムローン問題と日本経済への影響  2008/4/8

先週、日銀短観(全国企業短期経済観測調査)が発表され、企業の業況判断が大きく悪化した。
要因はサププライムローン問題だろう。これによりアメリカ経済は大きく減速するので、アメリカ向けの輸出が減少し始めている。
間接的な影響として、円高・石油をはじめとした原材料高が起こっている。アメリカから資金が逃げて円高、原材料などの商品市場に流れて原材料高になっている。

3月末にアメリカの証券会社ゴールドマン・サックス社から、世界の金融機関が抱えているサブプライムローンの損失総額が1兆2000億ドル(120兆円)になる可能性があると発表された。
少し前にIMFが同じような試算をしたが、そのときには78兆円だった。わずか1,2週間で40兆円くらい増えた。4ヶ月前にはOECDの発表した数字は38兆円だった。

先週末に日米で株価の上昇が見られた。この原因は、証券会社のリーマンブラザーズが資本増強を大きくした(30億ドルから40億ドルへ引き上げた)ことと、最も大きな損失を出したといわれているスイスの金融大手UBSが150億スイスフラン(1兆5,000億円)の資本増強を行なうと発表した。これで金融機関が立ち直るのではないかという観測も出ている。これによりNYダウ、日経平均ともに上げていて現在もその流れを引き継いでいる。

先行きの予測としては、『真理は中間にあり』ということで考えてみる。
悪い数値は、
3月のアメリカ雇用統計の発表:2月に比べて8万人減少した。三ヶ月連続の減少。非常に大きなマイナス。 
3月の失業率:前月に比べて0.3%悪化した。現在5.1%。これもまた大きなマイナス。
不思議なことに、これだけアメリカの実態経済に減速観が見えてきたのに株価は下がらない。一体どっちなんだろう?

日本のバブル崩壊の時のように長期化はしないだろう。アメリカ経済は一年くらいは調整するかもしれない。
その理由は、アメリカの金融機関が積極的に情報を開示していること。損失を表に出している。日本は(バブル崩壊のとき)ひた隠しにした。隠し切れなくなってはじめて損失額を明らかにしていた。
アメリカは会計の制度が年々厳しくなっていて、昨年11月にも変更している。少しでも損失が見込まれるものは早く開示をするようになってきている。
それと、アメリカの政策当局の対応が早いこと。ベアストーンズ破綻の対応も早かった。
情報開示」と「政策対応の早さ」で大きな危機には陥らないだろうと思う。

日本経済への影響は悲観的になることもないだろうが、油断もしてはいけないだろう。


(山下アンカー)ビジネス展望は先週の一週間の放送を月曜日の朝から番組のホームページで聞くことができるようになっています。

2008年 4月 8日 火曜日 城西大学現代政策学部教授 霧島和孝(きりしま・かずたか):アメリカ・サブプライムローン問題と日本経済への影響


編者感想:なるほど、経済指標は悪いのに株価が下がらないのはアメリカの企業が損失の開示をちゃんとやっているからなのか。日本の企業経営者もきちんと損失を開示して欲しい、株価が上がるんだから経営者は正直に発表しなきゃ。それと、政策対応が早いのでサブプライムローン問題は長引かないと予想するわけか。確かに、この問題がクローズアップされ始めたとき、アメリカの経済政策担当者たちは日本のバブル崩壊の事例を詳しく研究している、といったニュースを聴いたことがあった。一方では財務省の息のかかった人物を日銀に送り込んで(財政赤字対応を最優先する)政府の意のままにしようとする政治家がいる日本。失敗に学んでいるアメリカと、失敗を繰り返す日本と、面白い経済ドラマが展開している。

霧島和孝さんプロフィール→ http://biz.sbrain.co.jp/keyperson/K-5026.htm

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高木勝(たかぎ・まさる):景気について 2008/4/7

景気の現状は、昨年の秋以降厳しさを強めている。
日銀が今年の3月発表した金融経済月報によると、「景気は減速しているが、基調としては緩やかに拡大している」といっている。
内閣府の今年3月に発表した月例経済報告では、「景気回復はこのところ足踏み状態にある、先行きは輸出の回復などで景気は緩やかに回復すると期待される」といっている。
日銀、内閣府ともに景気判断を下方修正しているが、今後も景気回復は持続するだろうと見ている。

私は今回の景気は去年の9月ごろがピークで、その後、後退局面に入ったと思っている。そうだとすると、好況の期間は68ヶ月になり「いざなぎ景気」を越て戦後最長になったことは事実。

先行景気指数は50%を切っている。一致指数をヒストリカルIDで評価すると昨年の9月がピーク。景気合成指数(CI)は昨年の8月がピーク。最新の日銀短観では企業規模・業種を問わず悪い。
言ってみれば総崩れの状態。とくに大企業の製造業は2四半期連続で悪化している。個別の指数を見てもピークアウトしたものが多い。

景気後退の要因は複合的。
1.サブプライムローン問題からアメリカの景気がおかしくなり日本の輸出が減少
2.急激な円高、株安、エネルギー・穀物高などによる「購買力の海外流出」、物価高、逆資産効果
3.政策判断にミス。官製不況。
4.政局の混乱。適時適切な政策が取れない。

景気は年内一杯は後退が続くと診ている。

この局面での対策は
対外的にはサブプライムローン問題を解決すること。最終的には(アメリカが)公的資金の注入する必要があるのではないか。
国内的には定率減税を戻すとか、利下げを行なう、量的緩和をもう一度実施する、セイフティネットを構築しながらさらに規制緩和を行なうことが必要ではないか。



2008年 4月 7日 月曜日 明治大学教授 高木勝(たかぎ・まさる):景気について 2008/4/7


編者感想:普通の暮らしをしていると去年まで長い好景気が続いていたようには思えない。これから本格的な不況になるんだろうか。確かに景気のいい話は一つも耳に入ってこない。こんなときは地道な努力と工夫・学習をして周りが好転したときに花を咲かせようとするのがいいと思うんだか、そんな(気長な)政策を口にする政治家や学者はいないんだろうね。おっと、人のことより自分のこと(失業中)を心配しなきゃならないんでした。

セイフティネットといえば小泉内閣時代に金融担当大臣などを務めていた竹中平蔵氏が良く口にしていた。規制緩和と抱き合わせて「セイフティネット」の仕組みを社会に作るんだと言っていたが、今でも(最初からか?)何処を探してもそのカケラすら転がっていない。あれは政治家が行なった詐欺じゃないかと思う。ただ、竹中さんはそのあと政治家をやめているので、私の頭の中では(あのキャラクターは別にして)一応『言ったことが出来なくて、責任を取って辞任したまっとうな政治家』の仲間入りをしている。







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田中直毅(たなか・なおき):道路特定財源の一般財源化 2008/4/4

たまたま法案(道路特定財源暫定税率)が成立しなかったのでガソリンの値段が25円ほど下がる。ガソリンは「蔵出し税」なので、ガソリンが精製された時点でかかる。従って4月1日からすぐにガソリンスタンドで値下げになるものではない。
「この暫定税率を連立与党で今月末に再可決して、また25円引き上げる」という可能性がある。

もう一つは、揮発油税として取っている税金を道路整備に充てると決めている法案がある。これも(連立与党は)衆議院で再可決しなくてはならない。

福田康夫首相はこの3月末に、「一般財源化」という姿勢を示された。第二次世界大戦後の政治の流れから言うと大きな決断だとおもう。
小泉元首相、安部前首相も一般財源化したいという意向は表明されたが、内閣挙げての仕事として提示されたのは福田さんが初めて。

背景には厳しい財政収支状況、高齢化が進めば財政赤字もさらに進むという状況で、特別に掛けた税金を特定目的(道路整備)だけに注ぎ込むのはおかしいではないかというのが一般世論。

この流れは「ガバナース改革」といわれる。日本語では統治改革。
ポケット(お金を使うジャンル)がいくつもあって、このポケットからはこのために使い、別のポケットはまた別の用途に、なんてやっていると監視の目が届かない。
もし、家計で赤字が続いていれば、お母さんは倹約に心を使う。お父さんはとにかくいろんなポケットを集めて不用不急などの判断をして、赤字の家計にとってよりふさわしい支出になることを目指す。
そうすると、特定財源を作ってきた理由は、(道路整備などの)特定目的にエネルギーを使う議員(族議員)さんが、我田引水をしたいからではないか。本来国会議員に要求されているのは、統治として全体を目配りして優先順位をつけていくことではないか。
この4月末に「暫定税率」と「道路特定財源」の二つの法案を衆議院で再可決することに、連立与党(自民・公明)の議員中にも疑問を出す人もいる。

道路特定財源を10年間延長する法案をどうするのか、国会議員の中でどんな議論が行なわれるのか、今後の政治を占う上でも重要だ。どなたがどういう発言をするのか注目したい。

展開次第によっては5月に入って参議院で福田首相の問責決議がなされる可能性もある。

暫定税率」と「特定財源」全部を含めて4月中の国会議員の議論によっては、政局の新たなシナリオができるかもしれない。


2008年 4月 4日 金曜日 評論家 田中直毅(たなか・なおき):道路特定財源一般財源化


編者感想:「道路特定財源」「揮発油税」は、1953年・昭和28年に田中角栄らの議員立法によりつくられた。当時の日本の道路はとてもひどいもので、継続的な予算執行と言う点ではそれなりに意味があった。地方では、道幅は広いのに未舗装で土ぼこりの舞う道が多かった(思い出すと懐かしいけどね)。いまでは野生の動物しか歩かないような山奥にも立派な道が出来ている。これからさらに財政収支が悪くなるというのに、さらに「道路は別よ」といって作りつづけたいと思う国会議員がいることに驚く。小学校程度の計算能力に問題のある国会議員が与党には多いのか?ちゃんと考えて予算を組んで欲しい。あの世に行ってだいぶ経つ角さん(田中角栄元首相)に感想を聴いてみたい。

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中北徹(なかきた・とおる):役員報酬とグローバリゼーション 2008/4/3

今回のシティグループの経営者が総退陣したのだが、高額な退職金を取っていくので話題になった。報酬の根拠は何処にあるのか。

事実関係は、日本の上場企業役員ベースの平均では社長は年収3000万円。アメリカのCEOは20億から30億といわれている。単純に比較すると100倍ぐらいの差がある。
日米ではトップマネージメントに違いがある。日本では社長というとサラリーマンの終着点というところがあるが、アメリカではトップマネージメントをする人が移動する市場が作られていて、厳しい株主の監視にさらされている。
問題は、この日米の開きが近年拡大してきて、倫理的にも許容しがたい程度に広がったことだと思う。

純粋な経済理論では、ゲーム論的な分析だと、同じように(勤勉に)働く単純労働者と経営者には4倍の差をつけないと企業は合理的に存続できないといえる。
トップがヘットハンティングされたり、渡り歩く状況ではこのモデルは使えない。

結論からいえば、アメリカ経済が最もグローパル化が進んでいて、その便益・利益をぬきんでて享受している。アメリカだから。
グローバリゼーション(貿易・資本の自由化)が進んでくると、世界から安い製品が大量に入ってくる。そのコンテンツとして含まれている労働サービスが世界の低い水準に均等化(差寄せ)される。そうすると、アメリカの単純労働者の実質賃金が中国など新興国の低いレベルに差寄せが進む。

資本に対する報酬率、高級頭脳サービスは上がる。金融サービス、高等教育、IT産業、宇宙航空、先進医療、会計士・弁護士、グローバル企業のトップ経営者の報酬はおのずと上がる。
アメリカではグローバリゼーションの仕組みは非常にクリアに使える。一流企業は企業収益を高めるために、金に糸目をつけず優秀な経営者を確保しようとする。ライバル企業に引き抜かれたら大変だから。

日本・ヨーロッパは、経営サービスを生産要素の一部と考えると労働力とほとんど同じ取り扱いになる。(経営サービスは)会社組織に閉じ込められていく。
こういう分けで(経営者報酬の)日米間の格差は倫理観から見てもとても容認できないないほと開いていく。

グローバリゼーションの効果を享受したのがアメリカで、中国などの脅威として捉えたのが日本。

アメリカでは経済を引っ張っているのは富裕層である。彼らに追随するのがミドルクラス・それ以下であって、模範にしたがっているに過ぎない、という見方が(アメリカ)では支配的。
ただ、前面肯定するわけでもない。ブッシュ大統領もアメリカの経営者報酬が高すぎると批判した。

邸宅、クルーザー、自家用ジェット機、執事を雇うなどでアメリカのなかに独自の国を作っている、そういう人たちを「リッチスタン」と(皮肉って)呼んでいる。

最後に、サブプライム問題で大幅な株価下落から景気調整に進んでいくとすれば、いま申し上げた(アメリカの高報酬経営者の)イメージがどのように変っていくか注目したい。



2008年 4月 3日 木曜日 東洋大学大学院教授 中北徹(なかきた・とおる):役員報酬グローバリゼーション 2008/4/3


編者感想:以前勤めていたあるベンチャー中小企業の社長は気さくな人で、「僕の年収は○千万くらいなんだよね。低いっていわれちゃったよ。アハハ」と話してくれたことがあったっけ。経営者を会社組織に閉じ込めて、社長をサラリーマンの上がりと考えるとその程度の年収でおかしくないか。また、別の会社で専務だった人が、その後いくつかの会社の経営者として働き、最後に自社株公開して数億円を手に入れてリタイヤした。社長も転職できるくらいでないと金持ちになれないってことか。











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金子勝(かねこ・まさる):影の銀行システムが崩壊する危機 2008/4/2

普通の銀行は与貸業務、中央銀行は銀行を対象に規制・資金の出し入れ・融通をする

90年代以降、欧米の銀行は店頭取引のデリバティブ(金融派生商品)が収益源として大きくなってきている
銀行は表向きの(与貸)業務とは違う業務をやるため、連結決算の対象にならない「投資ビークル」という運用会社を作ったり、ヘッジファンドとこういう証券取引を行なう・資金を貸したりするという関係が主になってきている。
98年以降、証券化・デリバティブが膨らみ、(銀行の連結決算の対象外にある)「影の銀行システム」の部分が肥大化している。

影の銀行システム」は3つの特色を持っている。
1.オープンなマーケットを持たない。取引相手と相対で取引している。透明な市場を使わない。
2.投資ビークルヘッジファンドは非公開で実効資本規制の規制もない、金融当局の監視もない。つまり野放し。
3.高いリバレッジで運用している。しかも短期資金を調達し、高利回りの長期の債権に運用している。

今回のサププライム問題では、サブプライムローンを担保にしてコマーシャルペーパーを発行して資金を調達したり、銀行から資金供給を受けたりする。(その資金でサブプライムローンなどの債務担保証券を買い)またその債務担保証券を担保にして、またコマーシャルペーパーを発行して、、、永遠に買いつづけることができる。

高レバレッジで規制の効かないここ(投資ビークルヘッジファンド=>影の銀行システム)が破綻している。債権が下落したりいっせいに解約が起きたり、逆回転が始まると資金難になり、持っている債権が投売りされてしまう。債券市場自身を麻痺させている。

世界中でクレジットクランチ信用収縮)が起きている。
3/29のフィナンシャルタイムスによると、債券発行が去年の第一四半期(2007.1~3)に2兆ドルあったのが、今年の1~3月では1兆ドルになってしまった。銀行のシンジケートローンも1兆ドル越えてたのが6000億ドルに減った。

FRBなどが猛烈な資金供給しているのはそういう背景がある。本来ありえない、中央銀行がノンバンク(ベア・スターンズ)を救済せざるを得なくなっている。
FRBは4000億ドルでTSLFという制度を実行している。
TSLFとは、銀行ではなく優良な(証券)ディーラー相手に、住宅ローン担保証券・その関連証券を担保にして28日間の担保つきで、FBRの持っている財務省証券と交換するというプログラム。
FBRがウォール街の最後の貸し手になるということ。

最近FRBが銀行だけでなく、証券会社、投資銀行を監督・調査できることが決まった。それは「影の銀行システム」が崩壊して、やったことのない博打みたいな介入(ベアスターンズのこと)をしたために起きていること。日本のメディア、学者は取り上げていないが、これは危ないこと。ドルの崩壊になりかねない。そんな危険な領域に中央銀行(FRB)が踏み込んだ。日本はまだ金融立国、構造改革とかいってぼうっとしている。失敗した人も堂々としゃべっているし、いつもだけど。

現実に起きてることと向き合って問題性をきちんと認識することが大切。20年遅れでアメリカの真似をしているとこの国の行く先はないと思っている。



(浜中アンカー)内橋克人さんはご自身の都合でしばらくの間お休みします。


2008年 4月 2日 水曜日 慶応大学教授 金子勝(かねこ・まさる):影の銀行システムが崩壊する危機


編者感想:アメリカ、ヨーロッパの株式市場が値を戻したのはそのせいか。日本の株式も今日は大きく上げている。FRBが最後の貸し手になったまま、うまくこの危機を乗り切れなかったらドルの崩壊、アメリカの凋落へとつながる。そうなったときに日本はどうするか。東アジアで孤高を保つか、中華システムの一部になるか、オーストラリアなどと組むか、どんなふうになるんだろうか?












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山下一仁(やました・かずひと):農山漁村のサービス産業化

山下さんは昨日まで農林水産省農村振興局次長でした。(浜中アンカーの紹介)

農山漁村の問題は中央との格差が拡大しているということ。
・全国の有効求人倍率が1.06なのに、地方では1.0以下
・人口5万人以下の地域では6割(の市町村)が光ファイバーを全く使えない。
・高齢化で1400の集落が今後5年間で消滅する恐れがあるという調査もある

この10年間で広域合併が進んだ。都市部より農村部で多く進んだ。長崎、広島などでは7割を越える市町村が(広域合併により)消滅した。
広域合併の良い点は、狭い区域で市町村ごとに学校・病院を作り無駄な事業を重複してやっていたが、広域的な政策調整ができるようになること。
悪い点は政策が人口の多い中心部に行きがちになること。行政サービスの空白地帯が生じる。

この問題は農山漁村に十分な所得が得られる雇用の場が確保されることにより解決される。
その為には農山漁村のサービス産業化に期待している。

1960年頃に農家所得が勤労者所得を下回るようになり、政治問題化した。農工間の所得格差の是正が問題となり農業基本法が作られた。
その法律では農業所得を増大させて格差是正を解決しようとした。
70年代に入り農村の工業化が進み、農業以外の所得増加によりその問題は解決した。

しかし、この方法は今では使えない。工業のGDPに占める割合は2割以下。第3次産業が7割。
食料品の国内総生産の内訳を見ると、農漁業(1次)は11%、加工業(2次)35%、飲食店(3次)21%、流通業(3次)28%。
第3次産業は食料品の帰属割合でみても5割以上になっている。

農山漁村はそこに農業があることが強み。それをもとに地域起こしをする。生産だけでなく、漬物を作ったり(加工業)、直売所(流通)、レストラン(飲食店)、グリーンツーリズムなどの取り組みが大切。

農業の6次産業化 1次産業+2次産業+3次産業=6次産業

グローバル化の中で農業の生き残りは規模拡大でコストを下げ、農産物を安く供給する必要がある。
(農家一戸あたりの)農地を拡大するとはじかれた人が出てくるが、小さいボートにみんなが乗り込めば、みんなで沈んでしまう。

農山漁村のサービス産業化に取り組むことにより地域全体の所得を増やすことができれば、農業を辞めた人も農産物の加工に、グリーンツーリズムに取り組むことができる。


2008年 4月 1日 農政アナリスト 山下一仁(やました・かずひと)


編者感想:この人の話は漢字が多い、理路整然として分かりにくい。数字を出して問題を明確にしていると思うけど、所々に仮定があって(望ましい)結論に結び付けている。山間の村で子供時代をすごした私からみると、日本の農政は農業の労働生産性を上げることのみ力を入れてきて、スイスやドイツ、フランスにある「満遍ない国土の発展」という思想が最初から抜け落ちていると思う。今になって3次産業化なんていわれると、それは正しいんだろうけど、(農政の)先輩達がした仕事に『猫の目農政』と呼ばれるわかりやすい評価があることも忘れないでよ。また、棚田の保存をボランティア任せにし、花粉症の元となる杉・ヒノキを一面に植えっぱなしにした後で「グローバル化」だなんていうのは責任回避だよ。

 山下一仁氏プロフィール→ http://www.rieti.go.jp/users/yamashita-kazuhito/index.html
 農林水産省農村振興局→ http://www.maff.go.jp/j/nousin/index.html







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当ブログの編集者は東京都在住40代後半男性(現在失業中)です。就職したら頻繁には更新しなくなるかもしれません。

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