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田中直毅(たなか・なおき):サブプライムローンに発する世界的な信用収縮は避けられるか 2008/5/30

アメリカ・日本の今年の経済成長は横ばいではないか。中小企業の集まりでは、石油・原材料の値上がりと、消費低迷で販売価格が上げられないことにより利益が出せないという悲鳴が上がっている。
一方、証券化商品の値付けが難しくなって、銀行が与信を簡単には増やせないようになってきている。従来値上がりしていた住宅・不動産などには、今度は値下がりの危険があるというのでその分野には融資を手控えるようになる。
すると倒産が増えているときに、銀行としてはそんなところに融資は出来ないとなって信用収縮が起きる恐れはある。

企業としては、原材料の値上がりは「前門の狼」とすると、簡単には融資をしてくれない(銀行)「後門の虎」がある。いいアイデアはあるんだけど、だから設備投資が出来ない。

石油・食料はずいぶん高いところまで上がっていると思っている人も多い。経済がこのまま横ばいとなれば、買い上げすぎたという見通しが膨れ上がってもおかしくない。そのときには値崩れする。
おそらく、この年央、夏から秋にかけてだと思うが、国際的にもものすごく上がった水準の原油価格などが値崩れすると見るべきだろう。これだけガソリンが上がると消費量がへるし、企業ではもう少し燃料を使わない方法を考えるだろう。これが出てくると需要の面でも抑制できそうだ、それにくらべて値段が上がりすぎている。そうなると価格調整が起きる。これで「前門の狼」がなくなりインフレ懸念が抑制できるということになる。

これまで景気対策をなんとかしろと言う議論が多かったが、今は騰がりすぎたものが沈静化するのを待つという見極めをせずに、政府の景気対策が前面に出ると問題がややこしくなる、と言う考え方が広まっている。市場における調整を待ってから次の事態(への対応)を考えよう。夏に掛けては様子見と言うかんじが広がっている。

去年の8月は1バレル80ドルだった。サプブライムローン問題が大きく懸念されたのは去年の8月上旬だった。そのときに、世界の銀行は流動性が心配だ(お金が必要になるぞ)という狼煙が上がった。先週、原油価格は1バレル135ドルに迫った。ドル安が進むとドル建ての国際商品については上がると見た人たちが「買い」のポジションを持ったわけである。しかしこれはどこかで処分しなくてはいけない。あるいは既に処分した人もいるわけで、最後に買った人は高値掴みになる可能性がある。そんな見方が広がれば、早く処分した方がいい。

何かをきっかけに、(高騰している石油・資源・食料の暴落が)明日起きても不思議は無い。この夏にかけて、みんないろいろ情勢展開を考えるので、一度調整が起きても不思議は無い。


2008年 5月 30日 金曜日 評論家 田中直毅(たなか・なおき):サブプライムローンに発する世界的な信用収縮は避けられるか


編者感想:国際石油価格を決めるWTIの先物は、ニューヨーク商品取引所のほかにロンドンにあるICEという企業が運営するネット上の先物取引市場でもが取り引きされている。そこでの取引はWTI先物の30%を占めていて、アメリカのヘッジファンドや投資銀行がWTIの先物を買い、原油価格を高騰させている。
 この問題は2000年から取りざたされていたがブッシュ政権は何の規制もしないままだと言う。1バレル50ドルが正常価格だとすると暴落の変動量『半値・八掛け・二割引=1/3倍』を当てはめると、1バレル当たり150ドルになったときに暴落が始まることになる。
さて、この夏、石油は下がるでしょうか?
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金子勝(かねこ・まさる):アメリカ経済の悪循環が始まっている 2008/5/28

サブプライムローン問題はまだ続いている。信用収縮、貸し出しの縮小、債券市場の縮小がとまっていない。
サププライムに関連する住宅関連証券の損失が巨額に上っている。ピッチという格付け会社のレポートを見ると、サブプライムの損失が大体4000億ドルくらい。日本円だと40兆円くらい。その半分くらいは銀行が持っていて、その8割は処理したと言っている。(サブプライムローン問題の山は越えたとする楽観論は)それを根拠にしている。

しかし、大手銀行の資金不足はとまっていない。FRBの対策で一時的に止っているに過ぎない。いま猛烈に企業倒産が増えだしている。2007年の企業倒産は大体2万8300件くらいだが、2006年より43%増加している。
それから5月12日付けのテレグラフと言うイギリスの新聞記事だと、米国の企業の債務不履行が増加している。90年代初めにも不況があってそのときは40%くらいだったが、債務不履行の企業は今は75%くらいで投機格付け・ジャンクになっている企業が4分の3に昇っている。要するに住宅バブルの最後の1年半くらいは猛烈に企業債務が膨らんだ。それが今縮小に入ってきている。

石油、穀物が高騰している点が今までの不況と違うところ。ケンブリッジ・エネルギー研究所のヤーギン(ダニエル・ヤーギン)という楽観論で有名な人がいるが、この人も年内には石油1バレル当たり150ドル行くだろうといっている。ゴールドマン・サックスはこの2年以内に150ドルから200ドルになるだろうと予想している。

アメリカの石油業界の700億ドルの利潤を除くと残りの企業のこの間半年の利潤は26%落ちている。エネルギー企業が利益を上げれば上げるほど他の部分は利益が減っている。
石油メジャーの(油田)開発コストも高くなっているので、石油の1バレル当たりの利益は落ちてきている。(石油業界の好況も)持続できないだろう。

ガソリンと食料が値上がりしているので個人消費が落ちてスタグフレーションの様相を呈している。コアインフレ指数と言うものがあるが、食料とエネルギーが抜けているので意味が無い。(楽観論者は、コアインフレ指数は上がっていないので大丈夫といっている。しかしこれは無意味だ。)FRBも(そのことが分かっているので)利下げどころか利上げ説すら出てくるようなジレンマに陥っている。 

サブプライムローン問題、石油・食料高騰問題のほかに注目すべき点は何処でしょうか?(浜中アナウンサー)

景気が悪くなっているので景気が下げ止まっていない。住宅価格の下落率は15%で、ニューヨークは下がっていないが、これから下がり続けるだろうという見方は(多くの人が)一致している。

サブプライムの次に「オルト・エー(Alt-A)」というサブプライムより一つ上の中間層向けの住宅ローンがある。サブプライムの1.5倍の規模をもっている。このグループの半分くらいが担保割れになっている。また、S&Pがオルト・エーが絡んでいる住宅担保証券の格付けを下げると予定されている。また、2009年から2011年にかけて、オルト・エーの「ゆとりローン」(借りた初めは金利が安い)の上がって来る時期に当たる。この時期にサブプライムローンと同じようにどんどん債務不履行が増えてくるだろうと言われている。

さらに、商業用不動産の価格は落ちていないが、消費がこのまま冷えてくると、カラのショッピングモールが増えてきている。日本のバブル崩壊の時もそうだったように、これも下がるのは時間の問題だ。
3つある住宅金融公社に「ファニー・メイト・クレディ・マック」「ファニーメイ」と「フレディーマック」の決算では相当損失を出している。自己資本3800億ドルだが、5兆ドルもの住宅関連証券を持っているので、これも資本増強しないと危ない。向こうの新聞はそのように報じている。

こうやって見ていると、かつての日本のバブル崩壊と似ていることに気づく。
景気の悪化が住宅市場を悪化させて、住宅関連証券の損失を膨らます。すると金融機関が自己資本が少なくなるので貸し出しが減少したり、債券市場が縮小して企業倒産が増えて、また消費者もローンが組めなくなり返済が出来なくなって、損失が拡大してまた信用収縮を起こして、また住宅が下がって・・・
こういった信用収縮と景気後退の悪循環が始まったというのが現状だ。

イギリスのテレグラフの記事を読んで、一番悪いシナリオは2008,2009年にアメリカが景気回復する前にイギリス・ヨーロッパ、日本・中国が不況になるとグローバルなレベルで不況になってしまう、と言うことだった。怖いシナリオだが、今のデータを見ていると危険性はないとはいえないんじゃないか。


2008年 5月 28日 水曜日 慶應義塾大学教授 金子勝(かねこ・まさる):アメリカ経済の悪循環が始まっている


編者感想:歴史は繰り返す。目の前で日本のバブル崩壊の光景が場所を変えてアメリカで今起きようとしている。アメリカのバブル崩壊の影響は世界を覆うことになるのか?財政赤字をメタボのごとく身にまとった日本はどうなるんだろうか。

オルト・エー」を含むサブプライム問題の報告がありました。(財)日本証券経済研究所 佐賀卓雄氏による http://209.85.175.104/search?q=cache:rJlJvEPjTVUJ:www.econ.hit-u.ac.jp/~trade/jsie/papers/2007/saga.doc+%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4&hl=ja&ct=clnk&cd=2&gl=jp

米国の住宅金融公社の名前が違っていました「ファニー・メイト・クレディ・マック」ではなく、正しくは「ファニーメイ」と「フレディーマック」です。「通りすがり」の方からご指摘受けました。教えてくれて有り難う。(2008/6/18訂正)

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山下一仁(やました・かずひと):食糧危機への対応 2008/5/27

穀物の国際市場は各国の国内市場と分断・隔離されている市場だと言う特徴がある。
各国とも、(穀物の)国際価格が低迷しているときには自国の農業を保護するために関税を張って安い輸入農産物を入ってこないようにする。他方、国際価格が高騰すると輸出税をかけたり、輸出禁止・数量制限などで国内消費者への供給を優先する。現在、インド、ベトナムは輸出禁止。ロシア、中国は輸出税を掛けている。

自動車はその生産量の50%が貿易されるが、穀物は生産量のわずか15%程度が輸出されるに過ぎない。従って、15%が天候で不作になったとしても、各国が自国の供給に優先することになると、貿易量がゼロになる。1973年に穀物が高騰した。調べてみると全世界の穀物生産量はわずか3%しか減少していない。3%の減少が3,4倍にもなる穀物価格の高騰をよんだ。

日本は、最近のWTO交渉で輸出制限について輸出国・輸入国で協議が不調に終わったときには専門家委員会を開いて判断する、と言う提案をした。しかし、(日本は)国内農業を保護するために関税をかけ、(食糧不足で)困ったときには輸入させろと言うのは、いくらなんでも虫が良すぎるとインドの代表からいわれた。

日本の食料自給率は60年(1960年か?)で79%、今は39%に低下している。

戦後日本の農政の特徴というのは「米の値段」つまり米価を上げて農家の所得を確保しようとした。しかし、米の値段が上がったので、この40年間で一人あたりの米消費量は半分に減っている。そういうわけで米は過剰になり生産制限を実施している。その面積は、水田面積が260万ヘクタールあり、その4割の110万ヘクタールで生産制限をしている。このことは米あまりとともに農地も余っているという認識が定着し、農地が宅地に転用されたり、耕作放棄ざれたりして、いまでは農地として460万ヘクタールが残っているだけ。ここにカロリーを最大に出来る芋だけ植えて、やっと日本人が生命を維持できる。戦後、食糧難の時代、人口は7000万で農地面積は600万ヘクタールあったが、それでも飢餓が生じた。いまの農地が460万ヘクタールと言うことは危機的な状況。さらに生産制限をすると、現在39万ヘクタールという耕作放棄地がさらに増えることも心配される。

今までは一人あたりの(米の)消費量が減ってきたが、人口が増加してきたので総消費量の減少はめだたなかった。しかし高齢化と人口減少で米の消費量は相当減ってくる。すると2050年頃には米の総消費量は今の850万トンぐらいから350万トンくらいですんでしまう。生産制限を210万ヘクタールくらいに拡大して50万ヘクタールで米作をすればいいと言うことになってしまう。

私が以前から提案しているのは、米の生産制限を止めること。そうすると今の米価は60kg当たり1万4000円くらいであるのもが、9500円程度に下がる。日本が中国から買っている米の値段は1万円くらい(60kg)なので、これよりも低くなる。米作農家にこの価格を補填すれば1600億円くらいで済んでしまう。現在、生産制限に参加させるために農家に払っている補助金と同じ額。同じ補助金の額を使ってしかも米の価格は下がるわけで、財政負担は変らず、消費者は価格低下の利益を受け、(中国の米と価格で同じくらいなので)さらに米を輸出できるようになる。

輸出をすれば国内だけでなく海外の市場を取り込むことができて農業を縮小しなくても済む。日本も、食糧危機が生じたら、現にインドや中国がやっているように、輸出に向けていた米を国内に向けて飢えをしのげばいいと言うことになる。自給率が31%ということは69%を国際市場で調達していることになり、輸出している途上国の飢餓を増幅していると言うことに他ならない。

生産制限を廃止して輸出によって農業を縮小から拡大に転じると言うことが、日本が食糧難時代に行なえる国際貢献であって、なおかつ日本の食料安全保障に繋がる政策ではないかと思う。


2008年 5月 27日 火曜日 農政アナリスト 山下一仁(やました・かずひと):食糧危機への対応


編者感想:食料安全保障はいまだに軽視されているとおもう。田畑つぶして住宅や工場・会社用地にしても、海外への生産移転や不況になったら食べるものを作れないじゃないの、といつも思う。今回は山下一仁氏の持論でもあっただけに、話として分かりやすかった。一度この方法で食料自給率が上がるか、日本の農業が生き返るかやってみたらどうだろうかという気になった。









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水谷研治(みずたに・けんじ):国民一人一人の負担をどう考えるか 2008/5/23

負担は困るが大きな問題を処理しようとすると誰かが犠牲を払わざるを得ない。
家計が大変だと小遣い減らそうかとか、会社が大変だとボーナス返上で頑張るとか。
国の将来のためと言うことだと国民一人一人の協力が必要だ。

にもかかわらず自分が損をする事には賛成しない。得になるともちろん賛成。後期高齢者医療保険制度もしかり。

だれにも損をさせないようにする方法が全く無いわけではない。弱い人を救ってあげようというと誰も反対とはいえない。これは政治で(立場が弱く)損する人は特例で救いまょうと、いうことで制度が複雑になっている。複雑でよく分からないのだから、ゴネ得ということもある。

弱い人を強い人が救ってやるべきだというのは本当だと思う。一番強いのは国で国民に負担させないようにしている。今のままだと国は借金しながら救ってきているので、このままでは救うのは不可能。

国は税金では足りないので(国債という)借金で負担している。借りてきた借金はどんどん膨れ上がっている。すると借金の金利を将来に渡って税金で支払わなくてはならない。ものすごい増税にならざるを得ない。しかも年金・医療(制度)は破綻していくので、これも税金で補填していかなくてはならない。将来の重い税金は借金の金利に消えていく。

ならばどうすればいいのでしょうね?(山下アナウンサー)

結局、この国の状況を国民に説明するしかないのでしょうね。繰り返し、繰り返し。北海道の夕張市が(破綻した自治体として)話題になったが、国のほううが夕張市よりもはるかに財政状態は悪い。夕張市民は今大変なことになっている、将来の国民はそれよりも大変になる。

国は、今国民が負担しないと将来もっと大変なことになると説明しなくてはならない。国民も国の財政状態を知るべき。このままでも生活できると思っているのはまちがい。

我々(国民)は今犠牲を払うべき。増税、消費税アップは必至である。その覚悟、準備をしなくはならない。個々の生活を自分達で救っていかなくてはならない。


2008年 5月 23日 金曜日 東京福祉大学大学院教授 水谷研治:国民一人一人の負担をどう考えるか


編者感想:いつもながら辛口のコメントだが、間違ってはいない。これまでの国債残高の推移をみると、1970年は0円、1980年は約100兆円、1990年の約200兆円、2000年には約500兆円、2007年には900兆円弱。一本調子に積みあがってぜんぜん減っていない。借金の穴埋めに借金を重ねるというまるで多重債務者のような状態になっている。もう道路やハコモノといった無駄遣いをする時代じゃない。人口も高齢化とともに減少するんだから、縮小均衡しつつ不安なく暮らせる社会ビジョンを考えないといけないな。
それにしてもその国債という借金は何に使ったんだろう。

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伊藤実(いとう・みのる):後期高齢者医療制度 2008/5/22

前回もこの話題を取り上げたが、それ以後も混乱している。
その原因はいくつかある。

政治の場でのやり取りが、まるでテレビのワイドショーのようになっている。本質論には触れず印象的なことを論じている。「姥捨て山」とか、当事者の人が聞いたらドキッとするようなことを言っている。その結果、選挙をすると、高齢者の人口は多いし投票率も高いのでいままでの予想とは異なる選挙結果が出る。ますます「ワイドショー」の威力が高まっている。
年金についても本質的な議論をせずワイドショーみたいなことをやっている。これではヨーロッパ諸国のような本質的かつ大胆なな改革は出来ない。

行政も、かなり本質的な改革をしたにもかかわらず、揚げ足取りをされるようなことをしょっちゅうやっている。「医療保険料が下がると言っているのに、上がるじゃないか」ととい人が結構出ている。個別にきめ細かな説明を市町村の窓口でやるべきなのにやっていなかった。
そもそもネーミングが無神経すぎる。「高齢者」の「後期」なんてつけるから「姥捨て山」、「長生きするなと言っているのか」と上げ足をとられる。そしたらあわてて「後期」を「長寿」と言い換えたりする。
また、ある市町村でやったことだが、通知の封書に黒い枠を付けていて、受取った人の気分を害した。

一方、この制度に腹を立てている高齢者が制度を理解しているかというとほとんどの人は内容を分からないで怒っている。

社会保障というのは世代間の助け合いが大原則。ところがいままでの制度でやってみたらうまくいかない。
通常(サラリーマンとして)働いているときには健康保険組合などの職域保険に入る。定年後は国民健康保険(などの地域保険)に入る。すると高齢化に伴い国民健康保険は高齢者が増えてきた。それに対して健康保険組合から財政支援したら、8割くらいの健康保険組合が赤字になってしまった。
そんなわけで、医療費を沢山使うのは高齢者の方々だから、いろんな組織が支えようと言うことになった。それで今の制度に移った。1割が高齢者、5割が国(税金)、4割が健康保険組合で負担しようとなった。高齢者の負担が大きいわけではない。

引退した高齢者の中には基礎年金しかもらっていない人もいる。こういう人に保険料を払えと言うのはむり。所得、資産のある人は上乗せして払い、基礎年金でやっと生活している人には軽減するなり免除するといった細かな対応が必要だった。国はいまそれを検討している。最初からやっていれば大混乱にならない。

財源はヨーロッパ諸国を見れば分かるように消費税になる。ヨーロッパの消費税は20%前後。しかし良く見ると食料品は定率にするなどの配慮をしている。その配慮が大切。


2008年 5月 22日 木曜日 労働政策研究研修機構統括研究員 伊藤実(いとう・みのる):後期高齢者医療制度


編者感想:行政はサービス業なんだから国民という客に配慮した仕事をしなければそっぽを向かれる。制度を作り上げるキャリア官僚から役所の窓口担当者まで、国民・住民を幸せにしようと思って働いて欲しい。

以前から思っているんだけど、「消費税」と言う名前はいいかげんに「売上税」に直すべきじゃないか?英訳したら Sales Tax なんだから。消費税と言う名前を聞くたびに誤魔化されている気分になる。

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諸富徹(もろとみ・とおる):福田ビジョンに期待されるもの 2008/5/20

6月はじめに温室効果ガス排出削減に関する日本の方針が福田総理大臣から発表されるといわれています。その内容は?(山下アンカー)

これまで2050年頃に向けて温室効果ガスを減らす中長期目標を明らかにしていなかったので、報道によると「福田ビジョン」と言う文章はサミットに向けて長期目標を明らかにするという目的をもっている、といわれている。
具体的には2050年に60~80%を現状から削減するということが打ち出されている。そのために国内の(温室効果ガス)排出量取引制度を入れるかどうかの文言がはいるか注目されている。

6月下旬に発表が予定されている「福田ビジョン」にはどんな背景があるのでしょうか?(山下アンカー)

7月に洞爺湖サミットが予定されていて、日本は議長国として議事をまとめていかなくてはならない。リーダーシップを発揮するためにも日本が率先して排出削減目標を掲げる必要があった。そのぎりぎりのタイミングが6月下旬になる。
なぜ、60~80%削減なのかというと、ITCCが2050年までに温室効果ガスを半減しなくてはならないと警告していて、この数字を基にして国際合意を取り付けようとすると、発展途上国の工業化で排出量が伸びて行くので先進国はその分も減らさなくてはならなくなり、それで60から80%削減という数字が出てきた。
非常に(実現するのは)厳しく、実現可能なのかと言う数字。

 [-ここで関東地方では大雨と強風による交通機関への影響について放送が入り中断する。-]

そのままの状態では議長国としてサミットで、世界でこうしましょうと提案しても「じゃあ日本はどうなんですか」と問われたときあいまいにならないように具体的な数字を発表することにした。そうすればリーダーシップを発揮しやすくなる。
さらに、それを実現するために排出量を確実にコントロールできる国内排出量取引というような制度の導入が不可避になる。ただ、経済界の反対が極めて強い。

野心的な福田ビジョンには経済界からはあまり大きな反対や大きなコメントが出ていない。静観している。それは、経済界の人達が、福田ビジョンが2050年というかなり遠い先の目標を掲げた理念的なもので、今すぐ我々を縛るものではないと考えているからではないか、と私は思う。
但し、2050年に60~80%減らすためには、2020年2030年頃には中期目標が考えられるが、この点については福田ビジョンには含まれないとされている。それで経済界の人々は楽観しているのではないか。

より現実的に温室効果ガス排出削減を実施するために中期目標が設定できるかどうかが問題になってくる。

 [-ここで関東地方では大雨と強風による交通機関への影響について放送が入り中断する。-]

政府部内では、この60%~80%削減という数字を入れるために調整が行なわれているといわれている。


2008年 5月 20日 火曜日 京都大学大学院経済学研究科准教授 諸富徹(もろとみ・とおる):福田ビジョンに期待されるもの


編者感想:温室効果ガスの排出量算定はどうやるんだろうか?セクタ別(業界別)で削減目標を立てるんだろうか?どうやって、何を持って排出量算定や削減目標の公平性を国民的に合意するんだろうか?洞爺湖サミットまであと数ヶ月だが、日本国内で具体的な削減目標の議論の無いまま一気に数値までまとめるのは無理なんじゃないかな。
「サミットでもこんなふうに決まったから、これで行ってよ」と政府から発表して引っ張っていく気だろうか。なんだかすっきりしないまま結構大事なことが決まっていってるように思える。






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高木勝:サブプライムローンの現状と見通し 2008/5/19

信用力の低い個人向けの住宅融資=サブプライムローンの問題は長期化、深刻化している。
S&Pが出している住宅価格指数はアメリカの主要都市で13.6%の下げを記録している。まだまだ下げ止まる兆候は見えない。

ローンの延滞率・差し押さえ率も大きく上昇している。昨年の10~12月期で見ると17.31%と異常に高い数値。差し押さえ率も8.56%で、今年になっても高いままである。
4月のアメリカの住宅着工指数は年率換算で103万戸。一年前とくらべて30.6%も落ちている。新築・中古の住宅販売も落ち込んでいて依然として底が見えない状況だ。

昨年の7月にアメリカのバーナンキFRB議長がローンの焦げ付き・証券化商品の下落による(金融機関の)損失は最大1000億ドルと指摘した。しかしその損失はこの3月までに2800億ドルに達した。
最大はCITIグループの460億ドル、UBS(Union Bank of Switzerland)の370億ドル、メロリリンチが320億ドル、AIGが320億ドルとつづいている。
こういう中で全米5位の大手証券会社のベア・スターンズが事実上倒産した。

このダメージはアメリカ・ヨーロッパだけでなくアジア・カナダにも損失が発生している。日本はまだ数字は確定していないが、1兆5000億円の損失が発生したと見られている。最大はみずほフィナンシャルグループの6450億円。以下、野村ホールディングス、農林中金、三菱UFJフィナンシャルグループと続く。損失額は欧米と比べると小さいが、そもそも邦銀の収益率は欧米の金融機関と比べて劣勢なので収益全体に及ぼすインパクトは予想以上に大きいのではないか。損失額は日本の邦銀全体の純利益の3割強に相当するのではないか。

欧米の金融機関は資本増強(増資)を行なって、損失の穴埋め・自己資本比率の維持に全力をあげている。ただ、この方法は将来的に配当や株価形成に問題をこのしている。
CITIグループはこれから2,3年で4000億ドルを越える資産売却を予定している。非中核事業の資産を売却して世界規模で事業の再編を図ろうとしていて、日本にも影響を及ぼすだろう。

FRBは昨年の9月以降7回も利下げをしている。フェデラル・ファンド・レートは5.25%から2%になっている。流動性確保のために大量の資金供給も行なっている。個別の金融機関の救済にも乗り出している。
ブッシュ政権はこれまでに緊急の景気対策をとってきた。個人・企業への減税で15兆円くらいになる。それ以外には、住宅金融公社による民間住宅ローン債権の買取、連邦住宅局による住宅ローン保証制度の拡充、政府機関による住宅ローン担保証券の買取をやってきたが、もっと公的資金を使ってブッシュ政権によって思い切った資金注入・担保証券の買い支えが必要ではないかと思う。

サブプライムローン問題の現状、今後については一部に楽観論も出ているが、まだまだ楽観を許さない状況にあるのではないかとみている。


2008年 5月 19日 月曜日 明治大学教授 高木勝サブプライムローンの現状と見通し


編者感想:CITIグループの資産売却は噂になっていて、リストラされた銀行員が一時的に労働市場にあふれるのではないかという話だが、どの程度ほんとかどうかは分からない。
4月14日時点のビジネス展望 http://business10.blog96.fc2.com/blog-entry-34.html ではこの損失は1位がUSBだったが、今月に入ってCITIがトップになった。

2008年11月4日に大統領選挙が行なわれ、ブッシュ大統領は年内でその任期が終わる。次期大統領はイラク・アフガンなどの海外派兵の尻拭いを済ませ、長く続くと思うサブプライムローン問題に対応することになる。小泉元首相がねじれ国会、道路財源などというとんでもないやり掛け問題を残して行ったが、ブッシュ現大統領もその点では引けを取っていない。

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寺島実郎(てらしま・じつろう):中国をどう考えどう向き合うか 2008/5/16

胡錦濤総書記訪日、中国四川省大地震、北京オリンピック・チベット問題などがあり大きな転機に来ている。

21世紀に入って中国の経済の飛躍は大変なものだった。この7年で中国のGDPが2倍になった。昨年は名目GDPではドイツに並んだ。今年はドイツを追い越して日本のすぐ後ろ、世界第三位になるのではないかと見ていた。

ところがここのところ中国が抱えている「もろさ」と「ひずみ」を見せ付けられている。チベット問題では少数民族に対する中国のスタンス・閉ざされた国という印象で何やら見えない。今回の地震では住環境の劣悪さも見られた。

社会主義的市場経済、コントロールされた市場経済、理論的にそんなことあるのかと我々はよく話題にしていた。中国は弱点を覆い隠しながら政府がうまくコントロールして市場経済を展開することで今まで成功してきたと思う。

ソ連が崩壊する5年前の1986年、チェルノブイリ原子力発電所の事故があって、この情報の管理を巡ってソ連の限界・問題点があふれ出てきて、その後(社会主義コントロールと対極にある)情報公開という言葉さえ出てきた。ソ連崩壊の引き金をチェルノブイリの事故が引いてしまった。
中国政府は(チェルノブイリの事故のような)大災害に対してどう対応するのか、特に国際社会との対応をとても気にしている。そんなソ連崩壊の教訓を中国の人と議論していて感ずることがある。

1997年に江沢民主席が訪日して歴史認識、日本の戦前の責任を問いただすメッセージを発信して、日本人にも反日的な空気を感じた。その反動で「中国になめられてたまるか」という空気が出てきて、当時の小泉首相の靖国問題を大きくしてしまった。そこから日中関係が冷え込んできた。

胡錦濤さんは若いとき共産主義青年団の責任者として日本に何度も来ている経験がある。日本に対するイメージが明らかに良い。日本のODAに対して中国の近代化を
支えてくれたと感謝のメッセージを発していた。中国の指導者で、日本が中国のODAで協力してきたことに対して発言して感謝した人は私は記憶にない。今までとは大きく違う、それが未来志向の戦略的互恵関係に大きなプラスになってくれればいいと思う。

日本人はとかくチベット問題、ギョウザ問題、東シナ海のガス田問題など、じりじりするような苛立ちを中国に感じている人が多い。ここで、腹をくくって、中国に対して日本人としてどう向き合うかを考えなくてはならない。それは、中国を国際社会のルールに引き込んで、国際社会の建設的な参画者になってもらうようにすること、それが日本の最大の国益になる。

胡錦濤さんが、環境の問題で、日本の主張している(産業)セクタ別(排出量削減)アプローチに理解を示すと発言したのは大きな意味があったと思う。また、知財権の問題で、コピー品をつくることについて国際社会のルールに従ってもらう必要がある。そういう意味で、細かい問題はあるだろうが、日本人はこの国(中国)を長い目で見て国際社会のルールに従う国にするように付き合うことが基本スタンスだと思う。


2008年 5月 16日 金曜日 財団法人日本総合研究所会長 寺島実郎(てらしま・じつろう):中国をどう考えどう向き合うか


編者感想:四川省の大地震には驚いた。中国西部はプレートテクトニクスの理屈で言うとインドとユーラシアの大陸プレートがぶつかっているところというわけか。
確かに日本人としては細かい問題に気をとられずに中国と向き合うべきだろう。その意味でも、ギョウザ・チベット・ガス田のニュースのほかに中国と日本のちょっといい話を探し出して報道してもらいたいものだ。

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関志雄(かん・しゆう):加速する人民元の切り上げ その背景と日中経済への影響 2008/5/15

2005年の7月に人民元がドル連動制(ドルペック制)から簡易変動性へと移行した。その後元はドルに対して上昇傾向をたどっている。
簡易変動性へと移行したとはいえ、為替政策の重点は変動よりも管理におかれていた。このため為替レートは単に市場の需給関係だけではく通貨当局のスタンスにも左右されている。

急激な元高に伴う輸出や雇用への悪影響を懸念する当局は、ドル買い人民元買いで介入することにより何とか切り上げのペースをおさえようとしてきた。
こうした為替介入に伴う通貨供給量の拡大はインフレに拍車をかけている。今年の2月以来消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年比8%を越えている。これをおさえるのが中国の重要課題になっている。こうしたインフレ抑えるために当局が元高を容認するようになった。
    人民元の切り上げによってインフレを抑えていくとは次の3つの作用による。
  1. 原油など輸入に依存している資源の価格がドル建てで急騰しているが、人民元がドルに対して上昇すれば人民元で換算すれば値上がり幅が抑えられる。
  2. 他の通貨に対して安くなっているドルの安定にこだわれば日本やヨーロッパからの輸入品の価格が高くなる。人民元が対ドルで上昇するとドル安に起因するインフレ圧力が幾分緩和されれる。
  3. 人民元の切り上げ幅と為替市場への介入規模はトレードオフ関係にある。元高を容認すればそれだけ市場介入する規模が減少し、それにより貨幣供給量の上昇に歯止めがかかる。

インフレを抑えるために当局は利上げをはじめとする金融引締め政策を取ってきた。世界中が低金利の時に金利が高いと中国に大量の資金が流れ込み、その結果(通貨)流動性が抑えられるどころか逆にいっそう膨張する。そこで当局は利上げでなく元切り上げを重視するようになった。

人民元の切り上げは中国経済にインフレ抑制の効果が期待される一方で経済成長率にはマイナスである。中国の輸出の伸びは抑えられる。輸入は増えるが物価の低下にともない国民の実質賃金の上昇により消費が増えると思う。

人民元高は外需主導型成長から内需主導型成長への転換のきっかけになると思う。

数年前、中国脅威論が盛んだった頃、日本とアメリカは同調して中国に対して人民元の切り上げを求めた。しかし、元高の恩恵を受けるのは中国と競争しなければならない企業か一部の産業か、中国で現地生産・現地販売をしている企業だけ。中国で生産し日本や第三国に輸出する多くの日系企業にとっては元高は国際競争力の低下を意味する。

人民元切り上げによる日本産業全体への影響は、日本政府の期待に反してむしろマイナスではないか。さらに日本の消費者にとって中国製品が高くなるより安いほうが良いに決まっているので、元高が日本のためにならないのは明らかだと思う。


2008年 5月 15日 木曜日 関志雄(かん・しゆう):加速する人民元の切り上げ その背景と日中経済への影響


編者感想:円が固定相場制から変動相場制になって外国の通貨に対して大きな変動を繰り返してきた。その荒波を技術革新や経営努力によって日本企業は乗り越えてきた。それが日本の経済を評論する人々一般の日本経済への評価だとおもう。それって内需主導(消費者重視ともいえる)の経済へと転換する努力を無視し、馬鹿の一つ覚えともいえる輸出依存・外需主導型成長を信仰のようにもちつづけてきただけのことではないかと思う。
中国は人口も国土も大きな国だから、この人民元高をきっかけに内需主導型成長へと転換すると長く繁栄する時代に入るではなかろうか。
日本は明治維新より今日まで全体としてみると輸出を重視した政策の方を優先して取っていたと思う。円の変動相場制移行が内需主導型成長への転換のチャンスだったがそれを逃した。中国は日本の過去を「他山の石」と見て欲しい。








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一橋大学大学院教授 関満博(せき・みつひろ):中山間地域の食品加工業の展開 2008/5/14

最近食品を巡る不祥事が続いている。安心安全に対する関心が深まる傾向にある。また、食料自給率がエネルギー換算で39%ということで食を巡る議論が活発化している。この状況から日本の食を廻る環境が変ってくるのではないかと思う。

条件不利地域と思われている中山間地域で興味深い取り組みが行なわれている。
安心安全こだわり高付加価値ネット通販、若い後継者がずいぶん出てきている。
    島根の中山間地域で注目した実例をあげると
  • 島根県雲南市の旧木次町(きすきちょう) 山の中の工業団地の一角に有限会社本田商店 5代目34歳の社長 ソバ製造(乾麺、有機栽培、無添加。何も入れないおいしいそば)。五年前には売上1億9千万円(従業員15人)、今年は20人で売上は4億2千万円。半生面で常温で90日保存可の技術がある。40%は東京の高級スーパーなどに下ろしている。
  • 雲南市旧大東町(だいとうちょう) ツチヤ養鶏 玉子一個145円 38歳の専務 24年位前から通販に取り組む。いまは一切卸しをしていない。現在は1万人の固定ユーザーをつかんでいる。売れ筋は5Kg(玉子約80個)の商品がよく売れている。一個40円くらい。ユーザーの大半は首都圏。鶏の数は1万2千羽。145円の玉子は玉子を生み始めて3週間までの親鳥が生んだ玉子。これが一番おいしい。
  • 雲南市旧三刀屋町(みとやちょう) 再仕込み醤油「紅梅醤油」39歳の7代目社長 2年かけて作る。雲南のエリアを御用聞きの形で届けている。千軒ほどの得意先がある。高齢化地域なので醤油以外の重いものも一緒に軽自動車(軽トラックか?)で届けている。最近では通販も手がけており、30%占めている。御用聞き・一般の卸売り・通販とある意味時代を先取りするやり方。梅酢を入れて塩分を抑えた醤油も作っている。
  • 雲南市の旧木次町(きすきちょう)の「木次酒造」 30代の社長が蔵元杜氏 山梨大学のワイン醸造学を学んで帰って来た5代目 将来は酒米も自分で作りたい。一切手を抜きたくない。

この地域では30歳台の若者がこだわって独特の存在感を示している。ここから日本の食も変って、中山間地域も変っていくのではないか。


2008年 5月 14日 水曜日 一橋大学大学院教授 関満博(せき・みつひろ):中山間地域の食品加工業の展開


編者感想:島根県雲南市にはそんな食品加工業があったのか。行ってみたい。本田商店の蕎麦は KINOKUNIYA でも売ってるという話だからのぞいてみるか。
本田商店の蕎麦 ネットショップで売ってました。 http://store.shopping.yahoo.co.jp/dandan-netshop/hn-2546-y.html
紅梅しょうゆのホームページ http://kobai-shoyu.co.jp/
木次酒造のホームページ http://www.kisukisyuzou.com/









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林康史(はやし・やすし):中国経済はバブルか 2008/5/13

一昨日上海から帰ってきたが、中国四川省から留学している大学院生が昨日の中国の地震のことで家族と連絡が取れなくて気の毒だった。今日は連絡できるといいのだが。

上海の経済状況を見てきた。上海の北に隣接する江蘇省(こうそしょう)太倉市(タイカンし)(林さんは「タイソし」と呼んでいた)に港湾施設を見に行った。日本の下関からも航路が開通している。3時間弱でいける。長江の沿岸に21kmにも及ぶかなり大きな港を作っている。

中国バブルも心配されていますが?(浜中アナウンサー)

中国社会科学院によると2007年のGDPは2006年を越えて二年続けて11%台の伸び、2003年以降3年連続10%の伸びなので、中国はマクロ経済のコントロールを強めながら高度経済成長を実現していると思っている。
過熱しすぎではないか、という意見もあるが、今年もその成長の勢いは終わっていない。何度も中国に行くと実感する。

急速な発展の一方で環境問題が心配になってきますが?(浜中アナウンサー)

私も短期滞在だったが、のどが痛いとかそういう大気汚染は気になった。
    今、中国が失敗するとしたら三つの懸念がある。
  1. 環境問題
  2. 人口高齢化
  3. 汚職

    それぞれの問題は次のように解決されるだろう。
  1. 中国は発展のスタートからその問題に気づいているので、早く気づいて早く手を打てば環境問題は解決の方向に進んでいるのだと思う。
  2. 地方にいる何億人もの人が中国の高齢化を解決する可能性が高いと思う。
  3. 汚職はアジアの他国と同じように発展とともになくなってくるだろう。

1990年代、私が中国の大学で先生となって教え始めた頃、中国のGDPは日本の1/4の規模しかなかった。この十数年で日本のGDPの半分に追いついた。これから十数年で日本と同じ経済規模の国が出来ることになる。

中国の成長は日本にとって脅威だという考えの人もいるが、私はそうは思わない。日本は中国の成長に伴って恩恵を蒙ると思う。例えば環境問題などでも技術協力で乗り越えられる。

オリンピック特需が終わると中国経済は失速するという見方もあるが?(浜中アナウンサー)

そもそもオリンピックや万博は成長している国で行なわれるイベント(の一つ)だから、そういうシナリオは間違っているだろう。


2008年 5月 13日 火曜日 立正大学経済学部教授 林康史(はやし・やすし):中国経済はバブルか


編者感想:この春、四国西部に住んでいる私の両親が「70年以上ここに住んでいて初めてこんなスモッグに見舞われた。中国から来たということだが、中国の環境対策はどうなっているんだ」とぼやいていた。テレビでもニュースにでていたが九州でも広い地域でそのスモッグが見られていた。解説によると中国沿海部の工業地帯からの排煙だろうということだった。下関から3時間弱でいける(船で?本当か?)そうだから工場から出る煙もすぐに日本に来てしまうということらしい。

林康史氏は中国の大学でも教鞭をとっているからか、少し中国経済を楽観視しているように思える。歴史的に見ると中国の最大関心事は内政であり、国内をまとめていくムーブメントの繰り返しの期間がほとんどで、たまたま地球の気候が恵まれた時期に強力な為政者が現れた時に大発展した。Google Earth で北京周辺を見ると緑や木がほとんどない。大丈夫なんだろうか?上海の方は水に恵まれて緑が多いので農地もありそうだが・・・。中国が発展するのは大いに結構だと思うが、急速な発展が富の編在を極端にすると革命が起きるかもよ。

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鈴田敦之(すずた・あつゆき):オリンピックで消費は盛り上がるか 2008/5/12

オリンピックは4年に一度の国際的大イベント。今回は地理的にも近い北京で行なわれるので(日本の景気に好影響を及ぼすのではないかと)関心が高い。
政府は景気を一進一退と表現しているが、3月の景気動向指数によると景気の先行指標・一致指標・遅行指標がそろって50%を割り込んだ。50%以下だと景気が悪い。速報段階とはいえ、3つの指標そろって50%をきったのは6年3ヶ月ぶり。景気は曲がり角にきていると私は見ている。

個人消費だけが底硬いといわれている。それが今後オリンピックでどうなるか。
民間のシンクタンクは前回のアテネオリンピックよりは盛り上がりは少ないだろうと見ている。アテネの時には金メダルが16個と予想以上だったので盛り上がった。7~9月の消費押し上げ効果は約4千500億円あった。それに対して北京では3千400億円~4千億円がいいところか。予測はその辺が多い。
テレビ・デジカメなど家電製品の動向は半導体需要から予想される。シリコンサイクルは4年周期で、オリンピックの年に盛り上がるということで一緒だった。しかし、今年は動きが鈍く盛り上がっていない。
電子情報技術産業協会がまとめた電子部品の世界出荷額は1月には前年同月比で1%減と3年ぶりのマイナスとなった。2月も4%減で、オリンピックの年としては異常な低さ。先のマクロな景気予測を裏付けているようだ。

背景には生活必需品の値上がりがある。これは原油価格の値上がりと食料品価格の値上がりから来ている。しかもそれをうけて今年の賃上げは低かった。だから家計はきびしさをましていて消費マインドの減退・節約ムードの高まりがみられる。

企業が財布を締めている。3月期の決算を相次いで発表しているが、今期つまり来年の3月期の決算は減益と見ているところが多い。企業はこれからボーナスをおさえようとする姿勢が見える。

チベット問題が尾をひいているという話や、テレビなどに関しては値下がりがつついているのでもう少し安くなるまで買い控えという動きもある。

アメリカでは住宅価格が下がっていて、住宅価格の上昇分を担保に金を借りた「ホーム・エクイティ・ローン」というのが出来なくなっている。借金で消費を積み上げることが出来なくなっている。アメリカのTVコマーシャルで「もっと節約してよい暮らしを」といったフレーズが流れさて話題になっている。これは安売りを看板に掲げたスーパーの広告。消費不振が深刻なようだ。

日本はオリンピックは景気の盛り上がりが少ないだろうがその分オリンビック後の落ち込みも少ないだろう。むしろ、物価上昇の影響と消費者心理の行方が今年の後半問題になる。

アメリカはサブプライムローンの底入れがいつになるのか、これが最大の問題。私は長引くのではないかと思う。

中国はインフレが激しく、金融引締めをやっている。オリンピック後の景気は若干落ちるだろうと見られている。中国でのオリンピックでGDPをどれだけ押し上げたかというと、0.4から0.5%でたいした事は無い。日本や韓国のようにオリンピック後に不況がやってきたという事は多分無い。中国のGDPで北京の占める割合は4%程度。日本は東京のGDPに占める割合が20%あった。そこで建設需要が落ちると日本全体にがたっと響いた。中国では全体で見るとそんなに影響は出てこないと思う。

中国の景気が落ちないとなれば日本の輸出はそう大きな影響を受けずにすむかもしれない。これはプラスとおもわれる。


2008年 5月 12日 月曜日 評論家 鈴田敦之(すずた・あつゆき):オリンピックで消費は盛り上がるか


編者感想:企業は派遣やパートで労働コストをいいかげん下げているのに、ボーナスまで削ろうとしていのか(もっとも失業中の私はもともと無いが)。頼みの個人消費が消えてしまう。アメリカみたいに借金までして消費を盛り上げる必要は無いが、あまり長く続くようだと悪いムードに日本全体が包まれるようで心配だ。
グローバル経済のルールに従った輸出頼みで景気を浮揚させる発想をきりかえて、日本経済自身で自分を潤すことができるような経済システム(要するに内需と内需拡大の仕組み)を作るようにはならないものだろうか。外国からグローバル化どうこう言ってきたらお付き合い程度にしておいて、肝心の自国が自分の足で立てるようにしないといけないんじゃないか?輸出先の国の景気で自分の国の景気が左右されることは、グローバル経済のルールが日本に適用されているということなのか。なんだか、国も企業も自国の日本を大事にする気持ちと知恵がたりないんじゃないか?

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田中直毅(たなか・なおき):世界的な食料品価格の高騰の背景 2008/5/9

世界の中で食料飢饉、食糧不足を理由とした政状不安がどうして広がるのか?
今回新たに地球温暖化防止という原因も加わった。

食糧不足・飢餓の起きる原因を正面から説明したのはインド人のノーベル経済学受賞を受賞したアマルティア・セン(Amartya Sen, 1933年11月3日生まれ)
という学者。ベンガル出身。1943年に大飢饉がベンガルであった。彼は幼児体験として飢饉を体験し、その体験をもとに背景を説明した。
飢饉は農産物の収穫が異常に下がるから起きるのではなくて、不作が穀物価格の急騰を起こし、それが飢饉になる。収穫がべらぼうに減るわけではないので、被害者は貧しい農民ではなく、食品価格が急騰することによって都市のサービス業従事者・貧しい労働者が打撃を受け、結果として飢饉に至る。
その仕組みは、不作だと(食料品の)値段が上がる。値段が上がると人々は生活の自己防衛に走る。すると高騰した食費をまかなうために不要不急の支出は抑制する。例えば散髪の回数を減らしたりやめたりすると、散髪屋は売上が減る。このように大都市のサービス業従事者に飢饉の影響が一番厳しく出る。

そこでセンによると、食料品価格が上がると買いだめ・価格高騰が起きるが、供給量がべらぼうに減るわけではないので、(食品の価格が高騰したという)市場と(失業や収入減で食べ物が変えないという)政治的な抗議の声を聴いたら市場メカニズムに介入して、量を抑えて(確保して)必要なところに食料が配られる仕組みを作らなければならない、という議論になる。

今回起きている飢饉の原因は不作・旱魃もあるが、食品価格の急騰から来ている。

地球温暖化対策も(飢饉の)原因となっている。再生可能なバイオ燃料が本格的になるとどうなるか、今回示された。アメリカではトウモロコシの4分の1がバイオエタノールになっている。食べ物と再生可能バイオ燃料が綱引きになっている、という面がある。では、バイオ燃料はどれくらい使われているかというと、ほんのちょっぴり。

ドルの下落の中で原油が上がり、原油が上がる中で食品価格が結果としてバイオ燃料を媒介項として入るので食品価格が上がってしまった。そうすると、地球温暖化に対応するために、バイオ燃料でしのごうという理論は難しいのではないか。
もちろん、バイオ燃料も食べ物ではない稲藁とかセルロースなど今まで廃棄されていたものを原料とするのならいいが、まだ十分な技術開発が出来ているわけではない。コスト上もエネルギーバランス上も。トウモロコシ・サトウキビなど食料と競合するものを原料としてバイオ燃料を生産するのは早すぎたかなというのが世界的な動きになっている。

食品高騰のデモがフィリピン、ハイチで起き、アフリカでは暴動になっている。そういう意味では、温暖化防止に何から出来るのか。

どうやって食料問題に世界が対応するのか、特に価格の値上がりが生じたときにどうやってそれに対応するのか、重い(問題)だと思う。


2008年 5月 9日 金曜日


編者感想:食べ物を自動車の燃料にするという発想は、戦後の食糧危機を聞かされてしかもその名残を蒙っていた私としては絶対に出てこない。何が出来るというわけではないが、ひもじい思いをしている人がこの地球上に大量に発生してしまっていることは心配だ。






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黒瀬直宏(くろせ・なおひろ):中国の発展を支える商人活動 2008/5/8

中国は世界の工場といわれるようになって久しいが、中国の工業化に商人が大きな役割を果たしている事はあまり知られていない。

上海から南西に300kmのところにあるぎゆう(義烏市のことか?)という町があって浙江省の中心に位置している東京都23区ほどの広さ、その中心に日用品を中心とする卸売市場が広がっているる。
さらにその中心をなすのが、「中国小商品城」(小商品=日用品)で1982年に創設された市場、一日の来客数が20万人を超えるというからすごい。全世界からバイヤーが来る。取引額の68%が輸出。日本の100円商品のふるさと(ここで仕入れている)でもある。

その商品の70%は地元の浙江省で作られている。この巨大市場(いちば)を販路として地元の工業が発展してきた。3800社以上のアクセサリの生産者が集まっており、中国のアクセサリー製品の70%を占めている。現在義烏市の一人当たりGDPは30年間で200倍以上にもなった。

鶏毛換糖(けいもうかんとう)」という行商活動が行なわれていた。1970年代の中ごろまでは、行商人や農閑期の農民が義烏特産品の砂糖で作った飴を他の地域に運んで鶏の羽や骨と交換していた。良質な羽根は飾り物やハタキにし、それ以外は畑の肥料としていた。貧しい計画経済時代の農村では、物々交換で貨幣が流通していなかった。
1970年代末の改革開放政策が始まると、農業請負耕作などで余剰生産物を市場で自由に売ることが出来るようになった。農家が現金収入を得ると日用品に対する需要が急増した。計画経済で動いていた国営企業はこの需要に対応できず、日用品の需給不均衡が(中国全土で)生じた。
このことにいち早く気づいたのが各地を歩いていた義烏の行商人だった。彼らは飴の代わりに日用品を交換するものにした。一部の行商人は国営企業から製品を買い集めたり、また自ら簡単な機械を購入して自分で作るようになって、それを他の行商人に売るようになった。行商人の中から卸売りと生産に携わるものが出てきた。

義烏には定期市(ていきいち)があったが、常設の市になっていった。それが最初に行った「中国小商品城」として整備されていった。整備されていくと、沿海部の温州など他の地域の商人も義烏での取引に参加するようになった。さらに中国各地に分市場を作り、中国小商品城から商品を入れて2次卸の機能を果たすようにもなった。2000年以降は海外へも日用品を輸出している。これが周辺での日用品の生産拡大を促していった。

商人は販路を用意しただけでなく、1990年代から商品の差別化が必要になり、自ら生産するようにもなった。自社工場、現地事務所、販売代理店などを整備して活発に活動している会社もある。

かつて日本でも産地問屋が活躍していた。その後衰退してしまった地域が多い。残っていても逆に中国製品の輸入を手がけているだけで、必ずしも地元の産業発展に貢献しているとはいえない。(日本の産地問屋は)日本の産業集積発展のために新たな商業機能の復活が望まれる。


2008年 5月 8日 木曜日 黒瀬直宏(くろせ・なおひろ):中国の発展を支える商人活動


編者感想:知らなかった。既に日本の駐在事務所というか現地法人まであって日本人スタッフを通して「中国小商品城」と商売が出来るようになっていた。
中国の人は商売がコスモポリタンです。水草からDVDプレーヤーまで様々なものを扱っています。日本で似たようなことをしているといえば(総合)商社でしょうか。商社の場合は物を買い付けて卸すというブローカー的な活動が主だけど、義烏の商人達は地元の生産力を背景に世界に輸出している特長がある。
中国小商品城の日本語ホームページ http://www.basic-china.com/
同じくその紹介 http://basic-china.dreamblog.jp/12/9/

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十市勉(といち・つとむ):次世代自動車の普及促進に向けた動き 2008/5/7

経済産業省は先月25日環境にやさしい次世代自動車として期待されている電気自動車と家、庭用の電源で電池を充電することが出来るハイブリッド車(プラグイン・ハイブリッド車)の普及促進を図るための検討会を立ち上げた。今日はその背景と今後の課題などについて伺います。(山下アナウンサー)

電気自動車とかプラグイン・ハイブリッド車タウン構想推進検討会という名前の会。自動車会社、電力会社、研究機関、有識者が参加して今年度内には結論を出そうという事にしている。
次世代の電気自動車とかハイブリッド車は電気モーターが動力源になる。しかも電気は外から供給する。そうなるとCO2排出の大幅な削減が出来る、その切り札にしようとしている。
電気自動車はガソリン車にくらべてCO2の排出量は4分の1。電気自動車は直接はCO2を出さないが、電気を作る発電所でCO2を排出する。ハイブリッド車のCO2排出量はガソリン車の半分。
電気自動車の問題は、一回の充電で走れる距離がまだ短い。また、蓄電池の寿命・耐久性・信頼性が今一番の課題になっている。今の電気自動車・ハイブリッド車に使われている蓄電池はニッケル水素(Ni-H)電池が中心。新しい技術でリチウムイオン(Li-ion)電池が開発されていて、小型で軽量化できてたくさんの電気を蓄えられる。これを使って三菱自動車、富士重工業などは来年には次世代の電気自動車を販売する、トヨタでは2010年にはプラグイン・ハイブリッド車を販売するという計画を発表している。日産、ホンダも力をいれて電気自動車の販売を計画している。
    課題は
  • 電気を車に供給するのを家庭のコンセントだけでなく、町の中でガソリンスタンドのように充電できるインフラの整備をどう整えていくか。
  • まだリチウムイオン電池のコストが高い。初期のユーザーのコスト負担をどう減らしていくか。
  • ドライバーが買いたいと思うような意欲をどう高めていくか。

充電のインフラ設備のポイントは充電時間。あまり長く掛かると実用にならない。急速充電器を開発する必要がある。また、町の中に(100v,200v)のコンセントで充電できる設備を作る。スーパー、ファミレス、百貨店、ホームセンターなどある程度の時間駐車する所に充電設備を設けることが計画されている。
利用者へのインセンティブ(優遇措置)は、税制面で優遇したり、高速道路・駐車料金の割引もインセンティブになるかもしれない。

こういう(インフラ、インセンティブなども含めた)事も含めて実際にやってみる必要がある。国内で地域を決めて実証プロジェクトをやろうとする計画がある。
    電気自動車・ハイブリッド車などのエコカーの導入に熱心なのは青森県と神奈川県。
  • 神奈川県は現在県内にハイブリッド車が3000台ほど普及しているが、2014年度までに電気自動車を3000台普及させたいという目標を掲げている。そのために2010年までに県内に30箇所に急速充電器の設備を設置し、2014年度までには1000個所まで拡大したいと計画している。
  • プラグイン・ハイブリッド車については青森県がモデル地域として計画を推進している。7月の洞爺湖サミット前にG8のエネルギー大臣会合が青森県で6月の7,8と開かれる。そこでこのプラグイン・ハイブリッド車をデモンストレーションしようとしている。プラグイン・ハイブリッド車に供給する電気は風力発電によるものを蓄電池に蓄えておき、100%自然エネルギーで作った電気で車を動かすことになり、これについても走行試験をやろうと計画している。

このように神奈川県、青森県ではエコカーの普及促進にかなり力を入れているということで、具体的にこういう(電気自動車・ハイブリッド車の)導入計画が動き始めているというのが現在の状況だ。


2008年 5月 7日 水曜日 日本エネルギー経済研究所専務理事 十市勉(といち・つとむ):次世代自動車の普及促進に向けた動き


編者感想:出力調整の難しい原子力発電所の深夜余剰電力を使ってプラグイン・ハイブリッド車や電気自動車の電力供給ができたり、自動車がブレーキを掛けたり坂を下る時に搭載した蓄電池に充電して運動エネルギーを回収したりなど、なかなか興味深い技術的なターゲットもある。なにより街中の空気がきれいになって、例えば246の車道を自転車で走行しても不快にならなくなったらいいな。

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霧島和孝(きりしま・かずたか):デフレとインフレの二つの顔を持った物価 2008/5/6

3月の消費者物価指数は変動の激しい生鮮食品を除いたベースで前年同月比にくらべ1.2%も上昇した。消費税率が引き上げられた98年3月以来の上昇率になった。
その要因は石油製品と食料品の価格上昇。
原油価格は昨日120ドル/1バレルを突破した。前年比ガソリンは19%、タクシーは5.8%、航空運賃が4.8%上昇した。
食料品でもスパゲティが26.6%、チーズが22%、マヨネーズが17.5%、食パンが10%など上昇した。穀物価格の上昇で、穀物を原料とした食品、飼料とした動物の肉・乳製品の上昇が目立つ。

物価上昇の始まりは原油・穀物・鉄鉱石などの資材だが、それを発端とする物価高の裾野がかなり広がってきた。

今後の展望は、4月はガソリン価格が値下げになったが、5月は3月の時点より上がっている。物価上昇基調はさらに強まるのではないか。
流れとしては日本の物価はデフレからインフレへと変ったように見えるが、統計を見るとけっこう微妙な所だ。

デフレに後戻りすることはないと思う。そうかといって、あらゆる物価がどんどん上昇していくというインフレの状況も想定できない。
3月の消費者物価の細かい品目(580品目くらいある)で、前年同月に比べ2%以上上昇した品目は142ある。逆に2%以上下落した品目も84ある。例えば、ノートパソコンは38%以上下落、カメラも26%くらい下落、薄型テレビが20%下落。IT関連の製品が下落したものには多い。「今の物価はデフレインフレ二つの顔をもっている」と評するエコノミストもいる。

賃金など経済の現象の二極化といわれるが、物価もまさにその状態にある。今後の物価を予測する大きなポイントは、一つは賃金。消費者物価のウェイトの半分以上はサービス。サービスはほとんどじんげひで成り立っている。製品についてもかなり人件費の占めるウェイトが大きい。
人件費・賃金は厚生労働省の統計によると、2007年の現金給与総額は0.7%の下落をしている。景気回復していると言われているのに賃金が上がらない。企業は国際競争力が下がらないように人件費を上げていない。賃金が上がらないので、物価の核となる部分は大きく上昇することは無いと思う。それで本格的なインフレにはならないので金利は上がらず、地価も特別なところ以外は上昇しないと見ている。

賃金以外には景気の行方、特に世界経済の景気の行方が重要なポイント。サブプライムローンの問題で欧米経済は減速気味。心配なのは北京オリンピック後の中国経済。今年後半くらいから世界経済は調整色が強まってくる。すると、原油・穀物・資源価格も一服し、デフレが顔をのぞかせるのではないか。

逆に幸いにも世界経済が危機を免れ、再加速するようになれば今の景気がデフレインフレ二つの顔を持つ傾向を強めていくのではないか。その場合心配なのは、現状で起きている、貧しい国・低所得者・中小企業こういったところが大変厳しい状況になる。そこに配慮した政策が必要となるのではないか。


2008年 5月 6日 火曜日 城西大学現代政策学部教授 霧島和孝(きりしま・かずたか):デフレインフレ二つの顔を持った物価


編者感想:IT関連の家電製品は安くなった印象はある。もともと売り始めがバカ高く、5年10年経って市場全体に行き渡ると安くなる。今がその時期なんだろう。価格が下落した商品を作っているメーカーの下請け企業や、その工場に製造ライン装置を納入している企業はさぞ大変だろうな、忙しいばっかりで儲からなくて。そんなことを思いつつ、8年目のノートパソコンのキーボードが壊れたのでそろそろ買い替えようか、外付けキーボードで代用しようかと迷っている。

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高木勝(たかぎ・まさる):ドル全面安の展開 2008/5/5

ドルは円、ユーロ、ポンド、人民元に対して安くなっている。世界的に見てドルは全面安。
主要7つの為替レートを輸出金額で加重平均した実効為替レート(ドルの総合力をみる)は最近の6年間で36%低下している。
    ドル安の原因は2つある。
  1. サブプライムローンを契機にしてアメリカ国内で金融不安が起こった。アメリカのファンダメンタルが悪くなってていることがドル安の原因。
  2. FRBが短期金利レート(フェデラル・ファンド・レート)を連続的に下げて 3.25% まで下げた。各国との金利差が縮まり、逆転したものもある。

円も、対ドルで急上昇し、今年の3月には 1ドル95.77円までになった。昨年の6月末は 123円台だった。22.4%も円高になった。

円の実質実効為替レート(日本の場合は15か国に対する輸出額で加重平均し、物価指数で実質化したもの)で見ると、対ドルでは円高だが他の通貨では円安。実質実効為替レートはトレンド的にいまだ大幅な円安状態にある。1995年4月と比べると40%前後円安。今回の円高ドル安が全て、日本のファンダメンタルズは少しも改善していない。

これまでの経緯は 
1999年1月1日にEUが通貨統合をスタートさせ、単一通貨ユーロが誕生。当初 1ユーロ=1.1789ドルだった。
しかし、先般4月22日には 1ユーロ=1.6020ドル対ドルで最高値を更新した。36%もユーロ高になった。

ユーロ高の原因は、ユーロの実需が増えた貿易決済の増加・外貨準備に占めるユーロ比率の上昇などユーロの存在感が高まっている。

ユーロの実効実効為替レートは上昇トレンド。ドル以外の通貨、円に対してもユーロ高

中国の人民元は2005年の7月21日からドル固定相場(ドルペック制)から通貨バスケットを参考とする管理変動相場制に移行した。そのときまでは 1ドル=8.2765元 だったが、中国当局は 2% 切り上げ、1ドル=8.11元とした。その後、人民元は緩やかな上昇トレンドを続け、今年の4月23日には 1ドル=6.9825元 まで行った。この間の累計の元の上昇率は 15.6% になり、現在も最高値を更新中。
ここに来て中国のアメリカ向け輸出が減少し始めた

サブプライムローンの問題がきちっと片付かないとドル安は続く。各国の輸出が抑制される。世界経済にマイナスの影響が及ぶのは避けられない。一方、ドル安なのでアメリカは輸出しやすくなるが、世界が景気減速しているので結果的にはアメリカの輸出も伸び悩む可能性がある。

先般出たIMFの世界経済見通しでは、先進国全体の経済成長率は昨年は 2.7% だった。それが今年は 1.3% になり、来年は 1.3% いう事で、大きくスローダウンするだろうと見ている。
一方、金融面では、ドル価値の持続的な低下からドル資産離れが進む可能性がある。そうなると通貨の分散が進む可能性があり、中東産油国もドルペック制の見直しをする可能性がある。投機マネーも今までのドル運用からさらに原油・穀物市場に向う可能性もある。

ドル価値を維持するにはサブプライムローンの問題とかアメリカの対外不均衡の是正が急務になってくるのだと思う。


2008年 5月 5日 月曜日 明治大学教授 高木勝(たかぎ・まさる):ドル全面安の展開


編者感想:強いのはユーロのみ。円高だけど、実力じゃない。そんな状態になって久しいが次の動きはどうなるだろうか。サブプライムローンの問題が長引き、そのうちに中国のアメリカ向け輸出がダウンしていき、経済のグローバル化の旗を振っていたアメリカ自身が止めてしまい、ブロック経済(北アメリカ地域)に変っちゃうかも。

テーマ : ビジネス展望
ジャンル : 政治・経済

藤原直哉(ふじわら・なおや):経済の常識が変るとき 2008/5/2

今月に入ってバターは上がる、パンは上がる、小麦粉は上がる、油(ガソリン)は上がる、生活必需・ガソリン価格はどんどん上がってきました(浜中アンカー)

ガソリン1Lの値段は4月中は120円~130円だったが、昨日あたりから158円になった。ガソリンだけでなく食品、鉄鋼関係、建築資材も上がった。不況と物価高の流れは加速している。
景気も建築関係は引き続きひどい不況、小売関係も昨年の12月からぱったりと止まっている所も多い、輸出はアメリカ・中国経済の減速と円高で量・収益ともに急に厳しくなっている。

ではリストラをしよう、さらにボーナスを減らそうという話があちこちで出ていている。生活者にとっては希望の持てない不安だらけの時代というのが大方の本音ではないか。

いま、経済の常識(パラダイム)を変えないと幸せになれないと思う。みんなが安心してご飯を食べられるようにするのが経済。ところが今は現状を無視して経済学の理論を振りかざしている。これではうまくいくわけが無い。人に満足に職を仕事を与えられないことが問題。いつの時代にも物価の上昇と仕事が無いことが大問題。衣食住が満足に供給できなくなるのは経済の仕組みに問題があるということ。

今のように市場の勝ち負け(市場原理)にまかせておけばよいとか、何でも世界中に輸出入すればいい(グローバル経済)ということをやっていると、世界中に失業と衣食住の欠乏が広がっている。さらにいくら努力しても報われない「ワーキング・プアー」と呼ばれる人々も世界中で増えている。市場原理が世界中に広まると世の中不安定になる。「市場原理はこの世で最高のシステム」ということには全くならない。

今回のバブル崩壊で今の経済システムは維持できなくなるだろう。アメリカの膨大な借金が生み出してきた市場は消える。したがって世界経済はいまの行き過ぎた状態から戻るという事を経験せざるを得ないだろう。
さらに地球に対する環境負荷が高いので、その点からも行き過ぎたエネルギー消費は戻らざるを得ない。
それから少子高齢化という問題がある。これにより経済は沈滞するといわれているが、そもそも「高齢者がいるのでどうやって食べていくようにするか」と考えるのが根本になるはず。「高齢者がいるからダメだ」といったら何の意味も無い。高齢者がいてもうまくいく経済を作るのが我々の使命。少子高齢化を(止めるのではなく)前提にして考えるべき。しかも中国も少子高齢化がすんでいる。

未来に対して経済を成熟させていかねばならない。そうすると改めて品質の時代だと思う。10人の顧客がいたら10人それぞれに取っての世界一の品質を作り分けるのが本当の品質の実力。

仕事を皆さんに配れるようにするには、一人一人の特長・強みを発揮させるしか方法が無い。教育も個性を伸ばすようなものが必要。経済の速度も人間の成長するスローなスピードにあわせるしかない。

こういった新しい経済の常識に転換させるには、アメリカ追従の政策をやっていてはダメで、日本は自分の頭で考えて行動するという日本の政府機能の復活がどうしても必要だ。

そうしたことを踏まえて、日本の未来を切り開くにはどういったことが必要でしょうか(浜中アンカー)

経済の空気(経済の常識)、政治の空気を転換させないと日本の未来は無い。昔、社会主義国が崩壊した。社会主義の(役に立たなくなった)お題目を捨てて初めて新しい時代を迎えることが出来た。市場原理主義、グローバリゼーションというお題目を捨てて初めて未来が見えてくる。

日本は品質の高さ、文化伝統の奥深さは世界のトップ水準。だから21世紀の力の源泉はあると思う。これがなくなる前に国の発展の力にすれば何とか救われると思う。だから問題は時間、急がないと日本の復活・経済の復活も手遅れになる。


2008年 5月 2日 金曜日 経済アナリスト 藤原直哉(ふじわら・なおや):経済の常識が変るとき


編者感想:日本の未来に進むべき方向を示唆しているが、「市場原理主義」「グローバリゼージョン」のお題目が捨てられてから具体的な取るべき手段が見えてくるんだろうな。自分の衣食住を時代の変化にスライドさせつつ維持するような、未来を見据えた仕事を求めて求職活動しているこの私、見方を変えれば自分の人生のパラダイムを変えられる良いチャンスかも。

2008/4/22に放送されたビジネス展望『諸富徹(もろとみ・とおる):洞爺湖サミットの課題』をアップしました。タイイトルをクリックするとその記事にジャンプします。(2008/5/3追記)

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中北徹(なかきた・とおる):英国イギリスの金融行政とその問題点 ノーザン・ロック銀行を巡って 2008/5/1

去年9月、イギリスではおよそ100年ぶりにノーザン・ロック銀行が取り付け(騒ぎ)を起こしました。この問題を巡るイギリスの金融監督行政について話していただきます。(浜中アンカー)

これは対岸の火事ではない。問題銀行の国有化、金融監督の体制で示唆に富む問題だ。

イギリス東北部イングランドにニューカッスルという町がある。ノーザン・ロック銀行はそこに本社をおいている。10年ほど前には「住宅金融組合」という一つの特殊な金融形態の組織だった。おもに労働者にむけて住宅の資金を貸し付けるのを目的としていた。ところが、90年代の半ばにイギリスで金融の自由化がさらに進んで、株式会社化(demutualization)した。さらに株式上場し、普通銀行に転換した。その後もこのノーザン・ロック銀行は住宅ローンで全英でトップグループになるくらい実績を伸ばした。
この銀行は、資金調達を大半を(株式などで)市場から仰いでおり、銀行なのに預金残高が極端に少ない。プロサッカーチームのニューキャッスル・ユナイテッドのスポンサーをやったりしてブランド形成やマーケティングにも長けていた。新しいビジネスモデルに基づく銀行だった。

昨年の9月13日にノーザン・ロック銀行がイギリスの中央銀行(イングランド銀行)に緊急融資を要請した。それはアメリカ発のサブプライムローン問題が表面化して市場の金利がはね上がり、銀行間での資金調達が困難になった。そこでイングランド銀行は公定歩合の金利で30億ポンドをノーザン・ロック銀行に緊急で特別融資することを示唆した。するとその翌日からノーザン・ロック銀行の株価が1/3に急落、それをうけて預金者がノーザン・ロック銀行の窓口に殺到し取り付け騒ぎになった。

イギリスは金融立国で先陣を切っていたのでそのショックは大きかった。

預金の比率は3割以下だった。そのときの金利で市場から資金を引っ張ってくるという、資金調達を効率化してダイナミックに行なう魅力的で斬新なビジネスモデルと思うが、市場が不安定になって不透明化したときには資金が取れないという心配がある。その心配が起きた。

事実上破綻したノーザン・ロック銀行はいくつかのファンドが買いたいと手を上げたが、つぎ込んだ国の資金との関係で金額が合わず、ダーリング蔵相は2月17日に(暫定的な期間)国有化宣言した。

日本も2000年前後に長銀が一時的に国有化した。大きな銀行は最後は国が危機管理を行なわざるを得なかった、これはイギリスも日本も同じ。

イギリスの金融行政・体制は FSA(Financial Services Authority)というのがあって、1997年に創設された。それはイングランド銀行から検査・監督部門を引き離してそれ以外の証券・保険の自主規制団体と合体させて単一の監督機関とした。このような監督機関で監督することが世界のグローバルスタンダードになった。FSA-イングランド銀行-財務省 という三角形の構造で互いに牽制し透明性を高めていて、うまくいっていた。日本(金融庁-日本銀行-財務省)、ドイツも見習った。

問題の無いときにはうまくいっているが、一旦金融危機が発生すると問題があるのではないかといわれている。それはFSAの担当者はノーザン・ロック銀行の検査をして経営破綻を知っていたが、迅速な措置を取らなかったという疑いがあるから。イギリス国会では責任を追及しているが、FSAは対応するツールが無かったといいのがれている。またイングランド銀行は7ヶ月もかけて国有化したので国民の資産を減らしたと批判されている。

グローバル・スタンダードのイギリスの金融監督体制が問題含みになってきている。我々としても無関心を装うことは出来ない。目をそらしてはならないと思う。


2008年 5月 1日 木曜日 東洋大学大学院教授 中北徹(なかきた・とおる):英国イギリスの金融行政とその問題点 ノーザン・ロック銀行を巡って


編者感想:問題の無いときにはうまくいっていたが、危機になるとうまくいかないというのは全く役に立っていないことになりはしないだろうか。その危機のために作った組織じゃないの?旧暦のエイプリルフールに金融危機の訓練をしたらどうだろうか、マジで。

FSA(Financial Services Authority のホームページ http://www.fsa.gov.uk/
日本の金融庁のホームページ(金融庁も FSA と呼ばれていました。知らなかった!) http://www.fsa.go.jp/

ノーザン・ロック銀行(事実上)破綻の影響の現地レポート http://sonomatasonoue.blog44.fc2.com/blog-entry-137.html

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