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金子勝(かねこ・まさる):G7の公的資金投入の行動計画は機能するか? 2008/10/15

要約:不良債権の損失が確定出来ないので、G7先進国が公的資金を注入する行動計画の効果は出ないだろう。アメリカは公的資金をずるずると入れざるを得ない。ヨーロッパの動きは速かったがEU全体での対策が出来ていない。この事態を受けて、日本は小泉構造改革路線を総括し、産業戦略・社会保障などの抜本的・戦略的な政策転換をすべきだ。

先週土曜日のG7で先進諸国が共通して公的資金を注入する行動計画に合意して、ひとまず株価は急反転という状況のように見えますが、この合意行動計画は実際に効果を発揮するかどうかと言う点で震源地のアメリカではどんな効果が現れるでしょうか?(浜中アナウンサー)

私は効果を発揮するかどうか疑わしいと思っている。特にアメリカの金融安定化法は、政府の買う債権・証券に明示的に銀行株が含まれてはいないが、実は法案成立直前の議会討論で銀行株を買えることが確認された。どたばただ。不良債権化した住宅関連証券を買い取る方法は入札だが、これも結局は(破綻しそうな)金融機関に実質的に(みずから)手を挙げさせるしかない。

日本の失敗の経験では、98年に1.8兆円入れたが、長銀、日債銀はつぶれた。あわてて竹中平蔵氏が主導したけ経済戦略会議の中間答申に基づいて経営者の責任を3年間棚上げして7.5兆円再び入れた。しかし、金融不安は止らずにデフレに突入してしまった。
結局、何が問題だったかという事を総括する必要がある。最大の日本の失敗は、経営責任をあいまいにして厳格な不良債権の査定をせずに、損失額を確定しないまま公的資金を入れたことだった。つまり、不良債権の損失を確定できなければ、いくら公的な資金を注入しても金融機関への信用は戻らない。特に景気が悪化している状況では損失がどんどん拡大していくのでそういうことが起こることを示している。

アメリカは投資銀行のビジネスモデルと言うことですが、この場合不良債権の額を確定させるのは困難だと言われています。この理由は何でしょうか。(浜中アナウンサー)

いくつかあるが、

  • 証券化のプロセスが複雑なので公正な入札価格がつけられない。つまり、正確な損失をそれ自体で付けられない。
  • 銀行や投資銀行の下にヘッジファンドや投資ビークルを作って連結決算の外で膨大な証券取引をしている。これを影の銀行システムと呼ぶが、ここに大量の不良債権化した証券が眠っている。それが今回は買い取りや損失評価の対象になっていないので、いま信用収縮が止らないとこのヘッジファンドがつぶれていく。去年かにら80を越えるヘッジファンドや投資ビークルがつぶれている。つぶれるたびに損失がドンと表に出て来る。おまけに、LBOという企業買収の市場もこのファンドがやっているのでこれも危ないと言われている。(企業買収の市場は)1兆ドルの規模ある。
  • FRBによると、影の銀行システムといわれるファンドや投資ビークルが10兆ドルくらいあるだろう、不況になるたびにこの損失が表に出て来るだろう。
  • おまけに、家主に対するローンの救済が無いのでノンリコースローンといって、住宅を放棄すると借金もチャラになるので住宅価格の下落はしばらくは止らない。
  • 商業用不動産ローン、消費者ローン、自動車ローン、企業融資ローンこういうものはみんな入っているのでこれが焦げ付くたびに損失の範囲が広がっていく。

日本と少し違うが、損失を確定が難しいまま公的資金をずるずると入れざるを得ない、と言うことが続くのではないか。

アメリカの政権が新大統領になるとどうでしょうね?(浜中アナウンサー)

オバマが新政権についても、1から1.5兆ドルの財政赤字が必要になるだろうと言われている。
アメリカの貯蓄率はほぼ0になっているので、この財政赤字をまかなう米国債を外国、とりわけ中国・中東・ロシアに買ってもらわなきゃいけない。そういうことでオバマはめちゃくちゃな外交政策はしないと思う。ドル暴落の危険があるというのが最在のリスクになると思う。

一方でヨーロッパ・EUの状況はどうでしょうか?(浜中アナウンサー)

国有化がアメリカと違ってやりやすくて、早くもイギリスは6兆円の公的資金導入を決めた。ドイツでもそういう動きが出ている。動きとしてはアメリカより早いが、楽観できない要素もいくつかある。

  • ヨーロッパ中央銀行ECBは個別銀行の救済策を実施できない。なので救済が個々の国レベルでとどまっていて、この間アイルランドに始まってドイツまでが預金全額保護に動いた。自分の国だけが生き残ろうとしている状況がある。EU全体で救済策をまとめようとしているが、これは難しい。
  • 欧州の12の最も大金銀行のリバレッジ(元手に対してどれだけ資産を運用しているか)が35、アメリカは25だから欧州の銀行は元手に対して資産運用の規模がべらぼうに大きい。これが多分根本的な問題。ドイツ銀行のレバレッジは50、アメリカの2倍以上ある。負債は2兆ユーロ(ファニーメイより大きい)でドイツの国内生産の80%に当たる。UBS至るとスイスのGDPの5倍。国有化すると国がつぶれてしまうくらいの大きさ。
  • 欧州の住宅バブルの崩壊はアメリカよりも深刻。90年代半ばから90年代の10年を見ると、アイルランドで207%、英国で201%、ノルウェーで184といった具合で大幅だ。アメリカは58%だからはるかに上回っている。イギリス・アイルランド・スペインは住宅バブルが崩壊しているので、金融システムの破綻は防げても短期で景気回復するというのは相当難しい状況だと思う。

この事態をうけて日本が考えなければいけない視点はどういうことでしょうね?(浜中アナウンサー)

  • 何より小泉構造改革路線の失敗を総括しないと脱出口が見えない。アメリカでは5つの投資銀行が全て姿を消してしまったのに、相変わらず日本はそれをモデルにした金融立国路線を続けている。(アメリカでは)破綻しているのに。貯蓄から投資へとか金融立国とか止めずにいる。
    この国は何で食べていくかといった産業戦略を失っている状態だ。欧米では自然再生エネルギーへの転換を中心にした環境エネルギー革命で雇用や需要を創り出そうとしているが、この点でも小泉政権はブッシュ政権に追随してきたので国際的に立ち遅れている。
  • 二つ目は、インフレターゲットと言うことばはあったが、「物価が上がるまで金融緩和を続ける」と言うことで、超低金利を続けて円安で輸出を伸ばしてきた。そういう成長のあり方だった。世界でGDPで言うと2/3で深刻な同時不況に入っていくと輸出主導ではとてももたない。しかも雇用や社会保障の破壊で格差がひどくなって内需は盛り上がらない。ここでの抜本的な改革をしっかりやらないと、とてもこの状況を乗り切れない。
  • それから、0金利政策を続けたりして、実は小泉政権は財政規律を大事にしたといっているが膨大な財政赤字を創り出して財政金融政策が麻痺した状態なので、とる手段がきわめて限られた中で産業戦略とか社会保障とかの抜本的・戦略的な政策転換と言うのやっていかなくてはならない。

非常に苦しい状況にあるけれども、そこ(産業戦略とか社会保障とかの抜本的・戦略的な政策転換)にしか活路を見出すことは出来ないのではないかと言うのが私の意見だ。

2008年 10月 15日 水曜日 慶應義塾大学教授 金子勝(かねこ・まさる):G7の公的資金投入の行動計画は機能するか?


編者感想: アメリカ・EUともに上手い対策が取れないようだ。来年はオルトAの住宅ローン破綻が予定されているし、世界同時の落ち込みは数年以上続くのだろう。世界中でどの国・地域が最初に回復するだろうか。他人事ではないけれど政策のコンテストが行なわれようとしている。経済の専門家によくよくそのプロセスを記録してもらい、後々に評価してもらいたいものだ。
 それにしても、経済のグローバル化を気合を入れて受け入れ、あの小泉構造改革路線と称し単に郵政民営化だけを取り上げた選挙で大挙して自民党に投票した国民にその付けが回ってきている。きちんとした総括をした上で、政治や経済のトップにいるプレーヤー達をチェンジして活路を見出すべきだろう。

テーマ : ビジネス展望
ジャンル : 政治・経済

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