スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

関志雄(かん・しゆう):インフレの高騰で変調する中国経済 2008/4/17

中国のインフレの現状と見通し
今年の第一四半期の消費者物価指数は(CPI)前年比8%の上昇でほぼ12年ぶりの高い水準。
中国におけるインフレの今後の見通しをめぐって楽観論もあるが、私は個人的にインフレの高騰による景気への悪影響を心配している。

楽観派はこのインフレは一時的なものであり加速することはないと見ている
    その根拠は以下の4点、
  1. インフレの主な原因は食料品価格の上昇による。それを除けばインフレは低水準。先進国では気候変動などに左右される食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率が重要視される。
  2. 人民元の切り上げペースが加速している。それにより輸入価格が抑制される効果が期待される。石油を始めとする原材料の輸入依存度は高いが、ドルベースの価格が人民元の切り上げである程度相殺される。
  3. 景気循環の観点から、今過熱の状態からソフトランディングに向っている。それに伴い需要が弱まりインフレも弱まる。
  4. 一部業種で設備投資がのびて生産能力の過剰が顕在化している。製品の供給が需要を上回る状態になっている。このような市場環境では、賃金・原材料価格などの投入コストが上昇しても、産出価格への転嫁は困難ではないか。

    私は次の理由から物価の上昇が食料品にとどまらずに全面的インフレに発展するリスクを警戒する。
  1. 食料品価格の上昇は天候要因ではなく中国経済の工業化と都市化が進展する中で、耕地が急速に減っていることを反映している。石油価格が上昇している中で代替エネルギーとしてトウモロコシからできるバイオ燃料が注目され、そのための耕地の転用も食料価格の高騰に繋がっている。この傾向は中・長期にわたって持続する。
  2. インフレと賃金の悪循環が懸念される。中国はまだエンゲル係数(家計支出全体に占める食料品の割合)の高い発展途上国。CPIに占める食料品の割合は33.6%で、たとえばアメリカの13.9%と比べて高い。食料品価格の上昇は直ちに実質所得の低下を意味し、社会不安にも繋がりかねない。これを防ぐには名目賃金の上昇を容認せざるを得ないが、これは逆に生産コスト、ひいてはインフレを抑える(編者注:「押し上げる」ではないかとおもう)要因にもなる。
  3. サプライ・チェーンの川上に当たる石油を始めとする資源価格の上昇は、タイムラグを持ちながら次第に川下の消費財に波及すると見られる。
  4. インフレは、教科書にかかれているように常に貨幣的現象(インフレの原因は通貨供給量の急増という貨幣的な側面と、物資の不足・需要超過という需給面があること)。人民元はいま強い上昇圧力にされされている。中国当局はこれを抑えるため人民元を売り、ドルを買っている。その結果、中国国内でのマネーサプライが急速に増えてこれはインフレの圧力にもなっている。当局のこのような介入を止めない限り、言い換えると変動相場制に移行しない限り、この過剰流動性の問題は解決しない。

中国政府のスタンスは、天安門事件のおきた1989年のようにインフレの高騰は社会を不安にさせる要因にならないのか、ということを懸念して、中国政府にとってインフレをおさえることは最重要なマクロ経済の課題となっている。
2008年に開催された全人代において、温家宝首相は今年の消費者物価指数を昨年の実績と同じ4.8%前後に抑えるという目標を発表している。しかし、足元のCPI指数の上昇は既にこの数値を大幅に上回っている。
インフレ抑制のため、当局は金利を引き上げなどで金融引締め政策を実施すると同時に、最近になって人民元の切り上げペースを加速させている。しかし、このような政策はサラなる資金の流入を誘発し、インフレ要因の一つである流動性の膨張に拍車をかけかねない。この政策は有効性が限られている。
そのうえ、利上げと人民元の切り上げを受けてこれからの景気の減速も懸念される。

世界経済の減速と人民元の切り上げを受けて、中国の輸出の伸び率は最近になって鈍化している。しかも貿易黒字も減り始めている。その上株価がこの半年で約50%近く急落し、不動産価格もやや調整局面にかかっている。その結果として、投資と消費も鈍化するだろうと見ている。これらをあわせて考えると、もはや中国において成長率の低下が避けられないという状況になってきている。

このように、中国オリンピックの開催も待たずに中国経済は景気の転換点を迎えようとしている。


2008年 4月 17日 木曜日 野村資本市場研究所シニア・フェロー 関志雄(かん・しゆう):インフレの高騰で変調する中国経済 


編者感想:関志雄さんの話しは毎度明快で分かりやすい。経済だけでなく政治の面から見たコメントもあるので新鮮だ。
関志雄氏プロフィール 香港出身の人でした。 http://www.nicmr.com/nicmr/researchers/rs_kwan.html











テーマ : ビジネス展望
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

FC2カウンター 2008/3/24~
プロフィール
当ブログの編集者は東京都在住40代後半男性(現在失業中)です。就職したら頻繁には更新しなくなるかもしれません。

ニタリクジラ

Author:ニタリクジラ
写真上のプロフィールを編集できないのでそのままです。派遣やバイトでつないでいますが、状況としては変わっています。
また形式を変えてはじめます。

カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
リンク
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
小さな天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カテゴリー
RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
携帯電話からもご覧になれます
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。