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黒瀬直宏(くろせ・なおひろ):アジアの中小企業を比較する 2008/7/31

要約:日本・韓国・中国の中小企業について質的な発展要因について調べた。情報共有を元にした情報発見活動の有無について日本・韓国と中国に大きな差が見られた。情報集約的に発展するためには日本にも中国にも変える必要のある点がある。


前々回になりますが、工業化や市場経済化の歴史の浅い中国やASEAN諸国では若木が成長するように中小企業が伸びている、次に韓国台湾などのようなアジアNIES(Newly Industrializing Economies:新興工業経済地域)諸国が続いて、アジアの中で最も工業化の歴史の古い日本では中小企業が停滞している、と専修大学で行なったアンケート調査を元にお話した。

今回は個々の中小企業の質的な差、特に中小企業の発展要因に差はあるのかないのか、ということに焦点を当てて、日本・韓国・中国について比較してみたい。

一言で言うと、日本・韓国の発展している中小企業は、いわいる情報集約性が発展要因になっている。

私は日本のように高度に発展した資本主義国の中小企業の発展要因は、共同体的な企業化活動、企業の構成員相互が濃密に情報共有を元にして、それによる情報発見活動を行なっていることにあると考えている。
情報共有に基づく情報発見活動とは、「企業の構成員が新しい情報の発見に必要な基礎的な情報をまず共有する。そして企業の外からいろいろな技術を取り入れてそれも共有する。そしてそれをみんなで有益な情報に変換する」ということ。

アンケートでの企業の情報集約性を判断した方法は、経営計画の作成について

  • A:年間の経営計画に一般従業員も参加している
  • B:年間の経営計画は幹部層だけで決めている
  • C:そもそも年間経営計画は決めていない


の三つに分けた。

Aの「年間の経営計画に一般従業員も参加している」は計画を一般従業員も自分自身の物として良く知っている。一般従業員も経営計画に参加するので経営幹部も一般従業員の持っている情報を共有できる。従業員同士での情報共有も濃密に行なわれる。一般従業員も経営計画に参加している企業は、Bの幹部層だけで経営計画を決めている企業よりも情報共有が濃密だといえる。
Cの「年間経営計画は決めていない」は共有すべき情報がないので、情報共有の密度が一番低いということ。

国別にA,B,Cの割合を比べた。
「経営計画に一般従業員も参加している」というAの割合が一番高かったのは日本と韓国で、一番低いのは中国だった。

日本の場合、Aを指摘した企業はいろんな面で優れていた。

  • 企業の売れ上げ伸び率がほか(B,C)より高い
  • 給与も他(B,C)より高い
  • 自社ブランド製品を生産している企業、自分が提示した価格を貫くことができる企業が多い
  • 強みとして他社にない加工技術を持っている、製品開発力を持っている、販売力を持っている、開発専門のスタッフを置いている

これらのことは技術や需要に関する情報発見活動を活発に行なっている、ということ(をAの企業が実施していることが示された)。

日本では情報共有の濃密な企業は情報発見活動が活発で、従って経営成績もいい、という結果がはっきりと分かった。

韓国についてもほとんど同じことが言える。

全従業員も参加するということがポイントで、毛細血管まで血液が流れているということになりますよね?(山下アナウンサー)

おっしゃる通り、いい表現ですね。

中国は日本・韓国と対照的だった。一般従業員も経営計画に参加している企業が割合として非常に少なかった。10%も無かった。
では、そういうわずかな企業の成績が良いかというと、そういう傾向は見られなかった。

その理由は、中国では出来高払い制をとっている企業が70%以上を占めていること。こういう制度のもとでは、労働者が言われなくても自ら労働強度を高めて自ら労働時間を延長するようになる。これは確かに企業の成長を支える要因であった。
ただ、問題は労働者を情報発見の主体としては位置付けていない。単純な労働資質の担い手として位置付けている。労働者の側に立っても同じで、情報発見なんかをするよりも少しでも出来高を増やしたほうが得になる。

出来高払い制」というものが中小企業の情報集約性を低めていると思う。

では今、中国で発展している企業はどんなものかといえば、管理面で一般中小企業と差をつけて品質のよさを保っている企業なんですね。
中国では1978年末に改革開放政策が始まった。それまで絶対的な物不足が背景にあったので市場が急拡大していった。ところが90年代に入ると物不足が解消した。この変化が管理を高度化して品質を上昇させないと発展できないということになった。
ただ、その製品は日本・韓国のように情報集約的であることを必要とするものではなくて、言わば低コストを訴求点とするもの。

中国でも独自の情報に基づいて製品の差別化に力点をおいている企業が現れている。そういう企業に共通することは脱「出来高払い制」を図っているということ。出来高払い制を廃止して情報集約度を高めていく。今後、他の企業も労働者というものを情報発見の主体として企業の中に包摂(本来外にあったものを取り込むこと)して行かなくてはならない。
そのためには労働管理の革新が必要となり、経営者能力が向上し、新たな労働管理を受容できるような労働者が必要になっていく。そういった労使の能力開発をいかに遂行するかということがこれからの中国の中小企業の重要な課題だ。

改めて日本の中小企業の課題と言うとどんなことになるでしょうか?(山下アナウンサー)

日本の中小企業は情報集約度は高かった。ただ、技術面に偏っていた。従って、市場は大企業に頼るという問題があった(いわいる下請けということか?)。

今後は日本の場合、マーケティング面にも情報集約性を広げていって新しい市場を開拓していって、市場面で大企業から自立するということが課題になると思う。


2008年 7月 31日 木曜日 専修大学商学部教授 黒瀬直宏(くろせ・なおひろ):アジアの中小企業を比較する


編者感想:中国の企業が出来高払い制を取っていることには驚いた。共産主義と労働の主体性を取り戻すことは相容れないということか。なかなか難しいことなんだね。
 日本の中小企業にとってマーケティング面にも一般労働者が参加する情報集約性を広げていくことがこれからの重要な課題だ、という話は面白かった。本来民主的でない企業というものが、部分的にせよ民主化に似た活動を一般労働者がすることによってその企業の発展に繋がっていくという。確かにそんな気もする。そう考える私はそんな企業を探して失業中だ。

テーマ : ビジネス展望
ジャンル : 政治・経済

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大体正しい?

「ビジネス展望」の感想をblogに書く時は、通勤中、しかも運転しながら頭に残ったことを後で素早くまとめるというタイプなので、果たして正しく理解していたか、自信がないことが多いです(汗)

実はこのサイトをみて、ちゃんと正確に理解していたか、確認している次第。
ま、今回は大体正しかったような(笑)

人の話を聞くのは結構難しい

私も番組の話を書き起こしてみたとき、耳で聞いただけの話の印象とだいぶ異なることがあります。
こういうブログを作っていると、人の話を聞くのも、人に話をするのも結構難しいことだと知らされます。

私はよく画像解析を仕事でするのですが、最初の生データーが2MBでそれから必要なデータを選択すると200KB. さらに文章にすれば2KBにもなりません。

人の脳の機能は、この情報の選択と情報同士の結合だと思うのですが、その過程で殆どの情報は捨てているわけです。 しかも選択は主観が入ります。難しい問題ですね。
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