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関志雄(かん・しゆう):加速する人民元の切り上げ その背景と日中経済への影響 2008/5/15

2005年の7月に人民元がドル連動制(ドルペック制)から簡易変動性へと移行した。その後元はドルに対して上昇傾向をたどっている。
簡易変動性へと移行したとはいえ、為替政策の重点は変動よりも管理におかれていた。このため為替レートは単に市場の需給関係だけではく通貨当局のスタンスにも左右されている。

急激な元高に伴う輸出や雇用への悪影響を懸念する当局は、ドル買い人民元買いで介入することにより何とか切り上げのペースをおさえようとしてきた。
こうした為替介入に伴う通貨供給量の拡大はインフレに拍車をかけている。今年の2月以来消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年比8%を越えている。これをおさえるのが中国の重要課題になっている。こうしたインフレ抑えるために当局が元高を容認するようになった。
    人民元の切り上げによってインフレを抑えていくとは次の3つの作用による。
  1. 原油など輸入に依存している資源の価格がドル建てで急騰しているが、人民元がドルに対して上昇すれば人民元で換算すれば値上がり幅が抑えられる。
  2. 他の通貨に対して安くなっているドルの安定にこだわれば日本やヨーロッパからの輸入品の価格が高くなる。人民元が対ドルで上昇するとドル安に起因するインフレ圧力が幾分緩和されれる。
  3. 人民元の切り上げ幅と為替市場への介入規模はトレードオフ関係にある。元高を容認すればそれだけ市場介入する規模が減少し、それにより貨幣供給量の上昇に歯止めがかかる。

インフレを抑えるために当局は利上げをはじめとする金融引締め政策を取ってきた。世界中が低金利の時に金利が高いと中国に大量の資金が流れ込み、その結果(通貨)流動性が抑えられるどころか逆にいっそう膨張する。そこで当局は利上げでなく元切り上げを重視するようになった。

人民元の切り上げは中国経済にインフレ抑制の効果が期待される一方で経済成長率にはマイナスである。中国の輸出の伸びは抑えられる。輸入は増えるが物価の低下にともない国民の実質賃金の上昇により消費が増えると思う。

人民元高は外需主導型成長から内需主導型成長への転換のきっかけになると思う。

数年前、中国脅威論が盛んだった頃、日本とアメリカは同調して中国に対して人民元の切り上げを求めた。しかし、元高の恩恵を受けるのは中国と競争しなければならない企業か一部の産業か、中国で現地生産・現地販売をしている企業だけ。中国で生産し日本や第三国に輸出する多くの日系企業にとっては元高は国際競争力の低下を意味する。

人民元切り上げによる日本産業全体への影響は、日本政府の期待に反してむしろマイナスではないか。さらに日本の消費者にとって中国製品が高くなるより安いほうが良いに決まっているので、元高が日本のためにならないのは明らかだと思う。


2008年 5月 15日 木曜日 関志雄(かん・しゆう):加速する人民元の切り上げ その背景と日中経済への影響


編者感想:円が固定相場制から変動相場制になって外国の通貨に対して大きな変動を繰り返してきた。その荒波を技術革新や経営努力によって日本企業は乗り越えてきた。それが日本の経済を評論する人々一般の日本経済への評価だとおもう。それって内需主導(消費者重視ともいえる)の経済へと転換する努力を無視し、馬鹿の一つ覚えともいえる輸出依存・外需主導型成長を信仰のようにもちつづけてきただけのことではないかと思う。
中国は人口も国土も大きな国だから、この人民元高をきっかけに内需主導型成長へと転換すると長く繁栄する時代に入るではなかろうか。
日本は明治維新より今日まで全体としてみると輸出を重視した政策の方を優先して取っていたと思う。円の変動相場制移行が内需主導型成長への転換のチャンスだったがそれを逃した。中国は日本の過去を「他山の石」と見て欲しい。








テーマ : ビジネス展望
ジャンル : 政治・経済

関志雄(かん・しゆう):インフレの高騰で変調する中国経済 2008/4/17

中国のインフレの現状と見通し
今年の第一四半期の消費者物価指数は(CPI)前年比8%の上昇でほぼ12年ぶりの高い水準。
中国におけるインフレの今後の見通しをめぐって楽観論もあるが、私は個人的にインフレの高騰による景気への悪影響を心配している。

楽観派はこのインフレは一時的なものであり加速することはないと見ている
    その根拠は以下の4点、
  1. インフレの主な原因は食料品価格の上昇による。それを除けばインフレは低水準。先進国では気候変動などに左右される食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率が重要視される。
  2. 人民元の切り上げペースが加速している。それにより輸入価格が抑制される効果が期待される。石油を始めとする原材料の輸入依存度は高いが、ドルベースの価格が人民元の切り上げである程度相殺される。
  3. 景気循環の観点から、今過熱の状態からソフトランディングに向っている。それに伴い需要が弱まりインフレも弱まる。
  4. 一部業種で設備投資がのびて生産能力の過剰が顕在化している。製品の供給が需要を上回る状態になっている。このような市場環境では、賃金・原材料価格などの投入コストが上昇しても、産出価格への転嫁は困難ではないか。

    私は次の理由から物価の上昇が食料品にとどまらずに全面的インフレに発展するリスクを警戒する。
  1. 食料品価格の上昇は天候要因ではなく中国経済の工業化と都市化が進展する中で、耕地が急速に減っていることを反映している。石油価格が上昇している中で代替エネルギーとしてトウモロコシからできるバイオ燃料が注目され、そのための耕地の転用も食料価格の高騰に繋がっている。この傾向は中・長期にわたって持続する。
  2. インフレと賃金の悪循環が懸念される。中国はまだエンゲル係数(家計支出全体に占める食料品の割合)の高い発展途上国。CPIに占める食料品の割合は33.6%で、たとえばアメリカの13.9%と比べて高い。食料品価格の上昇は直ちに実質所得の低下を意味し、社会不安にも繋がりかねない。これを防ぐには名目賃金の上昇を容認せざるを得ないが、これは逆に生産コスト、ひいてはインフレを抑える(編者注:「押し上げる」ではないかとおもう)要因にもなる。
  3. サプライ・チェーンの川上に当たる石油を始めとする資源価格の上昇は、タイムラグを持ちながら次第に川下の消費財に波及すると見られる。
  4. インフレは、教科書にかかれているように常に貨幣的現象(インフレの原因は通貨供給量の急増という貨幣的な側面と、物資の不足・需要超過という需給面があること)。人民元はいま強い上昇圧力にされされている。中国当局はこれを抑えるため人民元を売り、ドルを買っている。その結果、中国国内でのマネーサプライが急速に増えてこれはインフレの圧力にもなっている。当局のこのような介入を止めない限り、言い換えると変動相場制に移行しない限り、この過剰流動性の問題は解決しない。

中国政府のスタンスは、天安門事件のおきた1989年のようにインフレの高騰は社会を不安にさせる要因にならないのか、ということを懸念して、中国政府にとってインフレをおさえることは最重要なマクロ経済の課題となっている。
2008年に開催された全人代において、温家宝首相は今年の消費者物価指数を昨年の実績と同じ4.8%前後に抑えるという目標を発表している。しかし、足元のCPI指数の上昇は既にこの数値を大幅に上回っている。
インフレ抑制のため、当局は金利を引き上げなどで金融引締め政策を実施すると同時に、最近になって人民元の切り上げペースを加速させている。しかし、このような政策はサラなる資金の流入を誘発し、インフレ要因の一つである流動性の膨張に拍車をかけかねない。この政策は有効性が限られている。
そのうえ、利上げと人民元の切り上げを受けてこれからの景気の減速も懸念される。

世界経済の減速と人民元の切り上げを受けて、中国の輸出の伸び率は最近になって鈍化している。しかも貿易黒字も減り始めている。その上株価がこの半年で約50%近く急落し、不動産価格もやや調整局面にかかっている。その結果として、投資と消費も鈍化するだろうと見ている。これらをあわせて考えると、もはや中国において成長率の低下が避けられないという状況になってきている。

このように、中国オリンピックの開催も待たずに中国経済は景気の転換点を迎えようとしている。


2008年 4月 17日 木曜日 野村資本市場研究所シニア・フェロー 関志雄(かん・しゆう):インフレの高騰で変調する中国経済 


編者感想:関志雄さんの話しは毎度明快で分かりやすい。経済だけでなく政治の面から見たコメントもあるので新鮮だ。
関志雄氏プロフィール 香港出身の人でした。 http://www.nicmr.com/nicmr/researchers/rs_kwan.html











テーマ : ビジネス展望
ジャンル : 政治・経済

関志雄(かん・しゆう):中国三農問題への処方箋 2008/3/27

三農問題 中国の「農業」、「農村」、「農民」にかかわる問題
現在でも中国では7億人が農村部に住んでいる。農業従事者は3億人を超えている。

中国の都市部と農村部の格差は大きい。2002年に登場した胡錦涛(こ・きんとう)主席・温家宝(おんかほう)首相の政権は成長一辺倒から調和のとれた世界を目標としている。
そのためにも三農問題を解決しなくてはならない。

新農村建設計画に乗り出した。租税減免・補助金による所得向上、インフラ整備・公共サービスの拡充が主な内容。ただ、これだけだと不十分。
一人当たりの所得を向上させるには、分母に当たる農民の人口を減らすことが必要。
従来の戸籍制度では農業戸籍を持つものは勝手に都市部に移住することは出来ない。都市で働く場合は国内版の査証(ビザ)で短期の滞在しか許されない。
出稼ぎの農民は低賃金、公共サービスを受けられない、失業保証を受けられない、生まれた子供は農業戸籍のまま。出稼ぎ農民は多くの差別を受けて都市部での貧困層を形成している。

出稼ぎ農民が加わり、三農問題は四農問題へと変貌している。

中国政府はこの戸籍制度を改革に取り組み始めた。
一部の地域では農業戸籍と都市戸籍の区別を排除した。多くの小さい都市では、現地に固定住所・安定した収入さえあれば戸籍をえることができるようになった。

多くの国と同じように、経済発展とともに中国も都市化が進む。

改革解放路線に転換して、30年前には都市人口はわずか1億7千万人だった。昨年は5億9千万人になった。全人口で見ると18%から45%に都市部の住民の割合が上昇した。特に21世紀になってから。

都市化は需要と供給の面から中国経済を牽引している。
供給:第二、三次産業に多くの雇用機会を創出して農村部の余剰労働力を吸収している。それにより全体の労働生産性を上げている。経済活動の集積効果も生産性を高めている。
需要:消費の拡大。家族で都市にすむようになると、住宅需要が拡大する。インフラ(交通・電気・水道)の整備、教育・医療の公共サービスの充実を図らなくてはならなくなる。

2006年から始まった中国の第11次5か年計画では4千500万人を農村部から都市部へ移住させ、2010年の都市化比率を47%に引き上げることを目指している。
中国の都市化率は先進国だけではなく発展途上国と比べても低い。従って遅れている分だけ高まる余地がある。

さらなる戸籍改革で都市化と経済発展の好循環が定着し、三農問題も解決する方向に向かうでしょう。


2008年 3月 27日 木曜日 野村資本市場研究所シニア・フェロー 関志雄(かん・しゆう)


編者感想:関志雄さんの話しは明確で分かりやすい。日本語の使い方も正確で、頭の切れる人なんだろうと思う。日本も高度経済成長期に同じような状況だった。但し、戦後のアメリカとソ連の勢力均衡の上で平和を謳歌できたことと、日本はある程度の農村へのインフラ整備・社会制度整備をしたので不況の際に都市で失業した若者を一時的に農村に吸収できたことが経済発展を長期化できた原因だと思う。中国が不況に見舞われたとき、失業者があふれて「なんとかの乱」と呼ばれるような内乱が起こらないとも限らない。「太平天国の乱」のきっかけも似たようなものだったし。今チベット問題が出ているけど、その程度では中国は揺れないはず。問題は不況、エネルギー(石油)・環境危機がいつ中国を襲うかだと思う。

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関志雄(かん・しゆう):調整色を強める中国の株式市場・バブルの崩壊が始まったのか 2008/2/28

上海指数は一時6000ポイントを越えた。2年4ヶ月で6倍になった
米国のサブプライムローン問題で急落し始めたが、当初の調整は小幅だった。
中国は成長しているのでその影響を受けないという「デカップリング」現象が注目された。
しかし、サブプライム問題が世界の景気にも及ぶに連れて世界同時株安の波は中国市場にも及んできた。
1月中旬以降の上海総合指数の下げ幅は大きく、昨年10月のピーク時と比べ約30%下がっている。
最近は日本市場などは持ち直しつつあるのに、中国の株価はまだ下落傾向が続いている。

中国の株価下落原因は3つある。
1.企業の実力以上の株価となっている。PERは70倍になっている。1980年代後半の日本のバブル時に匹敵する水準。
2.証券市場における需給関係が悪化している。中国の株価市場の7割を占める非流通株のロックアップ期限がせまっている。日本における持合解消と同じく株価を押し下げる。
3.インフレ加速を背景に当局が金融引締めの基調を深めている。今年の消費者物価指数は7.1と高くなっている。天安門事件がおきた1989年のように物価の高騰は社会の不安化させる原因になりかねない。

金融引締めに伴い株価だけでなく,一本調子で上がってきた不動産も変調を見せ始めた。これまでの好循環が下落の負の循環に変わりつつある。

バブル崩壊の兆しが見え始めた。
株とともに不動産バブルが崩壊すれば、日本の例にあるように銀行の一部の融資が回収不能となり不良債権が増えて貸し渋りに繋がるかもしれない。
中国はアジア金融危機の後、国有商業銀行の不良債権を処理するためにすでに巨額な公的資金を導入している。その後、国有商業銀用は外国から相次いで出資を受けているため、今回は公的資金でこれらの銀行を救済することは政治的に難しい。
マクロ経済の面では投資家の資産が目減りし、企業の資金調達のコストが割高になり投資も鈍化する。

中国経済は今年のオリンピック開幕(2008年8月8日)を待たずに転換点を迎える可能性が大きいと見ている。

2008年2月28日木曜日  野村資本市場研究所シニア・フェロー 関志雄(かん・しゆう)


編者感想:今年の8月までに中国経済はピークを打って下落と予想しますか。うーん隣国のことなので影響が心配。そのとき日本は何ができるか。

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当ブログの編集者は東京都在住40代後半男性(現在失業中)です。就職したら頻繁には更新しなくなるかもしれません。

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