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金子勝 金融危機は峠を越えたのか 2009/05/20

 (経済指標の)数字が悪くなっているのに、不思議な楽観論が行きかっている。5月7日にガイトナー財務長官とバーナンキFRB議長がアメリカの金融大手19社に関する「ストレス・テスト(銀行検査)」を行って金融機関は万全だと強調された。それから(楽観論が行きかっている)だ。
 計算上の仮定が甘い。まるでかつての日本を見ているようだ。IMFの見積もりはそうではない。中古住宅価格が安定したというが、半分近くは差し押さえ物件や譲渡販売で、ローン価格の半分の価格。2011年まで「ゆとり返済」の金利変更(アップ)があるが、借り換えが進んでいないので債務不履行が進んでいると考えられる。
 商業用不動産の下落も続いている。フィナンシャルタイムズによると商業用不動産の半分近くは焦げ付くといわれている。次の地獄があるのではないか。(金融機関の)2009年の第1四半期の決算は軒並み黒字だったが、複雑な証券商品の評価ができないので、ごまかしていたのではないか。まるで昔の日本を見るようだ。
 時価会計法の適用緩和、決算の日付変更(12月分の損失が丸々抜けている。)などをやっている(それで数字をよく見せている)。証券化商品の市場が収縮している。半分になった。
 (日本は)もはやオバマ頼み(米国経済の回復によって日本の景気を回復させる)では無理。日本産業衰退を直視してが独自の戦略、環境・エネルギー、福祉・医薬といった日本独自の産業戦略を立てなきゃいけない。

慶應義塾大学教授 金子勝(かねこ・まさる)
編者感想
一般に経営者は会社の景気がいいときには経営に関する数字を隠さず発表するが、悪くなったら独自の解釈をして第三者に公表する。個人として気持ちは分かるけど、いずれ隠された損失は明らかになる。隠してたら困ったときに助ける人はいない。なんだか、アメリカの経済発表が大本営発表みたいに思えてきた。

テーマ : ビジネス展望
ジャンル : 政治・経済

金子勝(かねこ・まさる):G7の公的資金投入の行動計画は機能するか? 2008/10/15

要約:不良債権の損失が確定出来ないので、G7先進国が公的資金を注入する行動計画の効果は出ないだろう。アメリカは公的資金をずるずると入れざるを得ない。ヨーロッパの動きは速かったがEU全体での対策が出来ていない。この事態を受けて、日本は小泉構造改革路線を総括し、産業戦略・社会保障などの抜本的・戦略的な政策転換をすべきだ。

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テーマ : ビジネス展望
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金子勝(かねこ・まさる):戦後最大の金融危機をどう受け止めるか 2008/9/17

要約:リーマンブラザーズが破綻した。サブプライムローンの損失が確定しないうちにオルトAローンの危機がやってくる。問題はぜんぜん終わっていない。それなのに日本は危機感が全くない。経済対策を抜本的に見直すべきだ。

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テーマ : ビジネス展望
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金子勝(かねこ・まさる):グローバル同時不況の危機に直面している 2008/8/20

要約:欧米・インド中国を巻き込んでグローバル同時不況にはいりそうだ。日本は小泉構造改革の失政でそれに対する対応が出来にくくなっていて、とても危険だ。日本の国内的な雇用などの問題を建て直し、将来に向けた補正予算を組んで、東アジア域内で安定した経済圏を作るべきだろう。

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金子勝(かねこ・まさる):アメリカバブル崩壊は日本に似てきた 2008/7/23

要約:住宅ローン関連で危機に陥った金融機関に中途半端な公的資金注入をしているアメリカは、90年代後半のバブル崩壊の時の日本と良く似ている。スタグフレーション下のバブル崩壊でアメリカはなすすべがない。

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金子勝(かねこ・まさる):社会保障国民会議の中間報告をどう見るか 2008/6/25

政府の社会保障国民会議が6月12日に社会保障政策の方向性について中間報告をまとめましたが、金子さんはどういう風に読みましたか?(浜中アナウンサー)

まず、何をしたいのかが全然見えてこないというのが第一番目の印象。
一方で小泉政権下で決まった好機高齢者医療制度の導入、2004年に百年安心(と自ら評していた)年金制度の改革を評価するとか言っていながら、他方では社会保障費の抑制では弊害が出ている、にもかかわらず1.1兆円の削減は堅持するとか、あとで福田首相から「医療費は特別枠で」とか発言があったりして、どちらへ向っているのか分からない。

(衆議院が)郵政民営化選挙で決まったままなので、民意が反映しないままずるずる変る印象があり、インパクトが弱い。

年金改革はきちんとした選択肢が提示されていない。世界的にみて常識の選択肢がはずされている。非常識な選択肢が議論されていて、国民を誘導し、新聞も政府の誘導に同調している。

基礎年金は「全額税方式」か「現行の保険方式」かの二者択一が設定されている。

全額税方式は年間3,4兆円の拠出金を全部消費税に回すので、2025年までに最低でも消費税は9.5%になる。これだと医療費・介護費が足りなくなるし、中小企業は堪えられなくなる。さらに今までサラリーマンが今まで払っていた保険料はチャラになってしまう。また、もともとをたどると(全額税負担方式にすると、今まで重かった)法人税の負担が軽くなるということだが、先進国では日本は法人税が低いほうに属している。デンマーク・北欧は法人税が低いといわれているが環境税に変えているから(法人が法人税以外に払っているから)。個人事業税を個人所得税で取っている(そのようにして消費税ではなく、儲けているところから税をとる方式になっている)。日本はこのような検討がなされていない。

また、現行方式は若い人が4人に1人は保険料を納めていないので、国民皆年金は壊れている。年金一元化は避けられないのに、パート・非正社員を加入させる条件に週40時間の労働時間を指定していく。そうすると企業はますます短期の雇用者しか雇わなくなる。これでは今以上に雇用の不安定を強めてしまう。現行の年金保険方式は終身雇用を前提としているので、こんなに非正規雇用が増加することを想定して作られていない。根源的に作り変えないといけないが、それを認めていない。

所得比例の保険料を取って年金を一元化する、というのが多くの国で取られている方式。スウェーデン、アメリカもそう。この方式だと正社員・非正社員にかかわらず、支払っている保険料に応じて保険料をもらうし、企業側は支払っている賃金総額に応じて拠出金を出す(賃金税:アメリカ)。基礎年金に満たない場合だけ税で補填する。ということは増税は少なくて済む。

こういう広く世界で採用されている方式をなぜ無視するのか?

もともと構造改革か抵抗勢力かといった二分法にしてしまい、問題が分かったような気になる。しかし、二分法は危険だ。基礎年金は「全額税方式」か「現行の保険方式」かの二者択一は、はっきり言えば偽りの選択肢で、本当の選択肢が抜けてしまっている。

国民会議なんだから、きちんと本当の選択肢を示して議論をすべきだと思う。そうしないと脱出口が見えてこない。


2008年 6月 25日 水曜日 慶應義塾大学教授 金子勝(かねこ・まさる):社会保障国民会議の中間報告をどう見るか


編者感想: 10年以上前にアグネス・チャンがみのもんた司会の「おもいっきりテレビ」にコメンテーターとして出演し、税のとりかたについて金子勝氏と全く同じことを言っていた。負担できる法人・個人が負担して社会を支えないと社会は不安定化する。そのコメントから10年、強い立場の者が弱い立場の者を(ある程度)支える社会ではなくなってきている。秋葉の事件をみてもだいぶ不安定になっているような気がする。
 ブッシュ大統領がイラク戦争を始めるときも「テロリストかテロと戦う者か」といった二者択一の言葉でアメリカ世論を煽って戦争を仕掛けた。政治家や官僚は国民に都合の良い情報しか見せず、その中で解決方法を選ばせようとする。マスコミも「死に神」大臣と批判するくらいの気があるなら、今回の年金制度に関する中間報告にだまされるな、くらいなことは言って欲しい。









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金子勝(かねこ・まさる):アメリカ経済の悪循環が始まっている 2008/5/28

サブプライムローン問題はまだ続いている。信用収縮、貸し出しの縮小、債券市場の縮小がとまっていない。
サププライムに関連する住宅関連証券の損失が巨額に上っている。ピッチという格付け会社のレポートを見ると、サブプライムの損失が大体4000億ドルくらい。日本円だと40兆円くらい。その半分くらいは銀行が持っていて、その8割は処理したと言っている。(サブプライムローン問題の山は越えたとする楽観論は)それを根拠にしている。

しかし、大手銀行の資金不足はとまっていない。FRBの対策で一時的に止っているに過ぎない。いま猛烈に企業倒産が増えだしている。2007年の企業倒産は大体2万8300件くらいだが、2006年より43%増加している。
それから5月12日付けのテレグラフと言うイギリスの新聞記事だと、米国の企業の債務不履行が増加している。90年代初めにも不況があってそのときは40%くらいだったが、債務不履行の企業は今は75%くらいで投機格付け・ジャンクになっている企業が4分の3に昇っている。要するに住宅バブルの最後の1年半くらいは猛烈に企業債務が膨らんだ。それが今縮小に入ってきている。

石油、穀物が高騰している点が今までの不況と違うところ。ケンブリッジ・エネルギー研究所のヤーギン(ダニエル・ヤーギン)という楽観論で有名な人がいるが、この人も年内には石油1バレル当たり150ドル行くだろうといっている。ゴールドマン・サックスはこの2年以内に150ドルから200ドルになるだろうと予想している。

アメリカの石油業界の700億ドルの利潤を除くと残りの企業のこの間半年の利潤は26%落ちている。エネルギー企業が利益を上げれば上げるほど他の部分は利益が減っている。
石油メジャーの(油田)開発コストも高くなっているので、石油の1バレル当たりの利益は落ちてきている。(石油業界の好況も)持続できないだろう。

ガソリンと食料が値上がりしているので個人消費が落ちてスタグフレーションの様相を呈している。コアインフレ指数と言うものがあるが、食料とエネルギーが抜けているので意味が無い。(楽観論者は、コアインフレ指数は上がっていないので大丈夫といっている。しかしこれは無意味だ。)FRBも(そのことが分かっているので)利下げどころか利上げ説すら出てくるようなジレンマに陥っている。 

サブプライムローン問題、石油・食料高騰問題のほかに注目すべき点は何処でしょうか?(浜中アナウンサー)

景気が悪くなっているので景気が下げ止まっていない。住宅価格の下落率は15%で、ニューヨークは下がっていないが、これから下がり続けるだろうという見方は(多くの人が)一致している。

サブプライムの次に「オルト・エー(Alt-A)」というサブプライムより一つ上の中間層向けの住宅ローンがある。サブプライムの1.5倍の規模をもっている。このグループの半分くらいが担保割れになっている。また、S&Pがオルト・エーが絡んでいる住宅担保証券の格付けを下げると予定されている。また、2009年から2011年にかけて、オルト・エーの「ゆとりローン」(借りた初めは金利が安い)の上がって来る時期に当たる。この時期にサブプライムローンと同じようにどんどん債務不履行が増えてくるだろうと言われている。

さらに、商業用不動産の価格は落ちていないが、消費がこのまま冷えてくると、カラのショッピングモールが増えてきている。日本のバブル崩壊の時もそうだったように、これも下がるのは時間の問題だ。
3つある住宅金融公社に「ファニー・メイト・クレディ・マック」「ファニーメイ」と「フレディーマック」の決算では相当損失を出している。自己資本3800億ドルだが、5兆ドルもの住宅関連証券を持っているので、これも資本増強しないと危ない。向こうの新聞はそのように報じている。

こうやって見ていると、かつての日本のバブル崩壊と似ていることに気づく。
景気の悪化が住宅市場を悪化させて、住宅関連証券の損失を膨らます。すると金融機関が自己資本が少なくなるので貸し出しが減少したり、債券市場が縮小して企業倒産が増えて、また消費者もローンが組めなくなり返済が出来なくなって、損失が拡大してまた信用収縮を起こして、また住宅が下がって・・・
こういった信用収縮と景気後退の悪循環が始まったというのが現状だ。

イギリスのテレグラフの記事を読んで、一番悪いシナリオは2008,2009年にアメリカが景気回復する前にイギリス・ヨーロッパ、日本・中国が不況になるとグローバルなレベルで不況になってしまう、と言うことだった。怖いシナリオだが、今のデータを見ていると危険性はないとはいえないんじゃないか。


2008年 5月 28日 水曜日 慶應義塾大学教授 金子勝(かねこ・まさる):アメリカ経済の悪循環が始まっている


編者感想:歴史は繰り返す。目の前で日本のバブル崩壊の光景が場所を変えてアメリカで今起きようとしている。アメリカのバブル崩壊の影響は世界を覆うことになるのか?財政赤字をメタボのごとく身にまとった日本はどうなるんだろうか。

オルト・エー」を含むサブプライム問題の報告がありました。(財)日本証券経済研究所 佐賀卓雄氏による http://209.85.175.104/search?q=cache:rJlJvEPjTVUJ:www.econ.hit-u.ac.jp/~trade/jsie/papers/2007/saga.doc+%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4&hl=ja&ct=clnk&cd=2&gl=jp

米国の住宅金融公社の名前が違っていました「ファニー・メイト・クレディ・マック」ではなく、正しくは「ファニーメイ」と「フレディーマック」です。「通りすがり」の方からご指摘受けました。教えてくれて有り難う。(2008/6/18訂正)

テーマ : ビジネス展望
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金子勝(かねこ・まさる):後期高齢者医療制度の本当の問題点 2008/4/30

後期高齢者医療制度ですが、この4月15日から始まりました。いろいろ問題が出ているようです。この医療制度は75歳以上の人を分離して作るということ。それから医療保険料は年金から天引きすること。(浜中アンカー)

この後期高齢者医療には11兆円くらいかかるといわれている。その内、1兆円が(75歳以上の方が納める)保険料になる。年金天引き以外の普通徴収の人が100万人くらいいる。
この医療制度を運営する市町村は、都道府県単位の広域連合を作って運営する。扶養家族(になっている高齢者)からも2年後を目処に徐々に徴収するとしたり、70歳から74歳までは窓口での負担が1割から2割に増加するのだか、これは当面凍結された。

年金だけにたよる高齢者にとってこの負担増は大きい。しかし、(徴収を先延ばししたり、負担率を凍結したりなど)目先だけ見えなくするのはいかがなものかと思う。

本日のタイトルにつけていただいた「本当の問題点」とはどういうことでしょうか?(浜中アンカー)

当面負担が上がるか下がるかが報道されているが、問題の本質は国保が破綻の危機に瀕していること。1980年代から破綻が始まっていた。本来農家や自営業者のために作られた国民健康保険に企業からの退職者、非正社員が加入してきたから、持たないのは自明だった。
政府は医療保険の一元化することを怠ってきて、退職者医療制度とか老人保険制度とか個々の制度をつぎはぎで作ってきて、いわいる大企業のサラリーマンが入る組合健保や公務員のはいる共済組合から(資金を)繰り入れてしのいできたが、とそれも持たなくなった。今度は(医療サービスを受ける)一番リスクの高い後期高齢者の方だけを切り離す制度を作った。

国保の保険料滞納者が増えつづけている。500万世帯に及んでいる。一年以上保険料を滞納すると保険証をとりあげられ、10割負担になる。保険証の無い末期がんの人が(病院にかかれなくて)ガマンして死んでしまう事例もある。
国民皆保険というが底に穴があいている。その事実認識から出発する必要がある。

保険料が年金から天引きされると他のものが払えなくなる。生活保護を受ける人が増えると思う。しかし、生活保護の認定は絞っているので餓死者が80人前後出ている。
小泉構造改革が全体としてこういう事を生み出してしまっている。

医療給付費は35%が75歳以上だろう。すると2015年には現在より3兆円増えて14兆円、2025年には18兆円になると見込まれる。ということは公費(税金)と現役世代の保険からの繰り入れを増やさないと、75歳以上の保険料はこれから上がらざるを得ない。厚生労働省も2015年には75歳以上の保険料を(現在の10%から)10.8%にするといっている。

もう一つは、診療報酬が下がっていることがある。これは上げると医療保険の負担も上がるから、出来ない。すると医療費削減のもとで医療崩壊が進みかねない。加えて、広域連合による医療保険制度になると今まで市町村の議会で決めていた保険料の負担率が上げやすくなったり、保険証の取り上げも安易に行なわれるだろう。

国保は収入が低い人が多く加入しているので収入に対する保険料率は10%で、それは大企業の組合健保の約二倍。後期高齢者への公的負担を増やさないとこの格差はますます大きくなる。組合健保共済組合は自分達の負担が増えるのを嫌って医療保険制度の一元化に反対してきた。しかし、いずれ誰でも高齢者になる。このままだと会社を退職して高齢者になったときに悲惨なことになる。だから今こそ世代を越えた社会連帯という発想が必要だと思う。

具体的には、低所得者には保険料を税で補填しながら、組合健保共済組合などの保険料を徐々に引き上げて全国一律の保険料率にして一元化を目指す。時間は掛かるが、その上で法人税・個人所得税を含めて公正な税負担を考えて財源を捻出する。

私は最後に言いたい。古今東西の歴史を見るまでも無く『経世済民』を忘れた政治は絶対に長く続かない。10年間で59兆円も道路に使っている間に医療費を払えなかったり、病院にもいけなかったりして人が病気になったり死んだりして良いのだろうか。全ての国民に最低限の生活を保障する憲法25条の精神に立ち返ることが求められていると思う。


2008年 4月 30日 水曜日 慶応大学教授 金子勝(かねこ・まさる):後期高齢者医療制度の本当の問題点


編者感想:私が子供の頃この国から受けた教育の柱の一つは「困っている人を助けよう」だった。恵まれた人が恵まれない人を助けて社会が安定するとも習った。自分の利益、自国の利益を他者や他国に優先することは許されないと道徳の時間に教えられた。前の戦争がその結果を示したのではなかったか。そう考えない人がだんだんと増えて来ているのは確かだ。金子勝氏の視点は大いに参考になった。関係ないけど、今度韓国の大統領になった李明博(イ・ミョンバク)氏と金子勝氏は親戚なんだろうか。よく似てるなあ。

テーマ : ビジネス展望
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金子勝(かねこ・まさる):影の銀行システムが崩壊する危機 2008/4/2

普通の銀行は与貸業務、中央銀行は銀行を対象に規制・資金の出し入れ・融通をする

90年代以降、欧米の銀行は店頭取引のデリバティブ(金融派生商品)が収益源として大きくなってきている
銀行は表向きの(与貸)業務とは違う業務をやるため、連結決算の対象にならない「投資ビークル」という運用会社を作ったり、ヘッジファンドとこういう証券取引を行なう・資金を貸したりするという関係が主になってきている。
98年以降、証券化・デリバティブが膨らみ、(銀行の連結決算の対象外にある)「影の銀行システム」の部分が肥大化している。

影の銀行システム」は3つの特色を持っている。
1.オープンなマーケットを持たない。取引相手と相対で取引している。透明な市場を使わない。
2.投資ビークルヘッジファンドは非公開で実効資本規制の規制もない、金融当局の監視もない。つまり野放し。
3.高いリバレッジで運用している。しかも短期資金を調達し、高利回りの長期の債権に運用している。

今回のサププライム問題では、サブプライムローンを担保にしてコマーシャルペーパーを発行して資金を調達したり、銀行から資金供給を受けたりする。(その資金でサブプライムローンなどの債務担保証券を買い)またその債務担保証券を担保にして、またコマーシャルペーパーを発行して、、、永遠に買いつづけることができる。

高レバレッジで規制の効かないここ(投資ビークルヘッジファンド=>影の銀行システム)が破綻している。債権が下落したりいっせいに解約が起きたり、逆回転が始まると資金難になり、持っている債権が投売りされてしまう。債券市場自身を麻痺させている。

世界中でクレジットクランチ信用収縮)が起きている。
3/29のフィナンシャルタイムスによると、債券発行が去年の第一四半期(2007.1~3)に2兆ドルあったのが、今年の1~3月では1兆ドルになってしまった。銀行のシンジケートローンも1兆ドル越えてたのが6000億ドルに減った。

FRBなどが猛烈な資金供給しているのはそういう背景がある。本来ありえない、中央銀行がノンバンク(ベア・スターンズ)を救済せざるを得なくなっている。
FRBは4000億ドルでTSLFという制度を実行している。
TSLFとは、銀行ではなく優良な(証券)ディーラー相手に、住宅ローン担保証券・その関連証券を担保にして28日間の担保つきで、FBRの持っている財務省証券と交換するというプログラム。
FBRがウォール街の最後の貸し手になるということ。

最近FRBが銀行だけでなく、証券会社、投資銀行を監督・調査できることが決まった。それは「影の銀行システム」が崩壊して、やったことのない博打みたいな介入(ベアスターンズのこと)をしたために起きていること。日本のメディア、学者は取り上げていないが、これは危ないこと。ドルの崩壊になりかねない。そんな危険な領域に中央銀行(FRB)が踏み込んだ。日本はまだ金融立国、構造改革とかいってぼうっとしている。失敗した人も堂々としゃべっているし、いつもだけど。

現実に起きてることと向き合って問題性をきちんと認識することが大切。20年遅れでアメリカの真似をしているとこの国の行く先はないと思っている。



(浜中アンカー)内橋克人さんはご自身の都合でしばらくの間お休みします。


2008年 4月 2日 水曜日 慶応大学教授 金子勝(かねこ・まさる):影の銀行システムが崩壊する危機


編者感想:アメリカ、ヨーロッパの株式市場が値を戻したのはそのせいか。日本の株式も今日は大きく上げている。FRBが最後の貸し手になったまま、うまくこの危機を乗り切れなかったらドルの崩壊、アメリカの凋落へとつながる。そうなったときに日本はどうするか。東アジアで孤高を保つか、中華システムの一部になるか、オーストラリアなどと組むか、どんなふうになるんだろうか?












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金子勝(かねこ・まさる):日銀の総裁人事で問われるもの 2008/3/12

現在はスローパニック 政府や中央銀行が政策を打つたびに株価は上がるが実体が悪くなるので下落する。

金融不安が出てきているので、金融機関の破綻を防ぐために流動性を供給(資金供給)し始めている。

証券会社傘下のヘッジファンドはもはや債権では資金調達できないので、商品先物で投機をしている。このことが物価上昇圧力になっている。

FRB議長は実質マイナス金利になる1%台まで金利を下げなくてはならないのではないかと思う。
これから円高が進むことを覚悟しなければならない

このような状況でこれまでの日本の経済政策は良かったのか、日銀・政府は政策の総括がないまま政局がらみで総裁人事が行なわれている
日本の経済は円高に対して無防備になっている。ひたすら超低金利政策で輸出がらみの経済回復を図ってきた。それが円高に振れて逆回転して作用している。

ITバブル崩壊後も、為替介入で円安誘導していて一兆ドルものアメリカ国債を外貨準備として抱えている。ドル安が進むのにこれ以上米国債を買いつづけても損失が膨らむばかり。
これまでの経済政策でほんとに良かったのかと考えざるを得ない。

超低金利政策により円を売ってドル・ユーロを買う円キャリートレードがおこなわれ、資金が日本から出て行き、アメリカの住宅バブルを支え、円安になった。
結局それが輸出に有利に働いて景気回復してきた。
一方で構造改革と称して賃金や雇用も上がらない、社会保障費を削っているので内需に転化しないで経済のけん引役は輸出だけになる。

小泉改革は小さな政府を目指していたが、膨大な財政赤字を作り出していた。99年の大企業減税、金持ち減税を続けていた。
小泉政権下では、財政赤字が540兆円から830兆円まで膨らんみ、そこに橋本、小渕政権で発行した10年債が借り換え期を迎える2008年問題が待ち受けていた。
もし金利を正常化させて引き上げていると国債の利払い費がかさんで財政破綻になる可能性があった。
小泉政権期の「小さな政府」の財政赤字政策には背後に異常な低金利政策があった。
この低金利の継続により(意図したわけではないが)円安となって輸出主導の景気回復になった。

日銀の金利政策は政治的な状況から手段が縛られた状況にある。金利引下げ、為替介入の余地も非常に小さく、なすすべも無い状況になっている。

日銀人事に問われているのはこうした経済政策のあり方と責任の問題だとおもう。私は人心の一新が必要だと思っている。
インフレターゲット、構造改革で財政赤字を支える政策でよかったのか、今後のリスクを回避するためにどういう政策を取るべきか、そこの所信を次の日銀総裁には問いたい。

日銀の独立性などの抽象論や人物の経歴についてだけの表層の議論になっている。いかがなものか。

2008年 3月 12日 水曜日  慶応大学教授 金子勝(かねこ・まさる)


編者感想:政治家の発言は日銀の独立性、人物の経歴ばかりで、どんな金利政策をとるのかの議論が出てこない。このまま政府の無策の尻拭いをして低金利、それとも正常化するの?

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